久住女中本舗

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2009年 01月 10日

フリーサウンドノベルレビュー 『絵本の幽霊』

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今日の副題 「しっとりとした優しい童話風ノベル」

ジャンル:童話風小説(?)
プレイ時間:~1時間
その他:選択肢なし、一本道。
システム:Live Maker

制作年:2009/1/4
容量(圧縮時):29.0MB



道玄斎です、こんにちは。
今日は朝からゲームを。季節的にも今がぴったりな作品かもしれませんね。
優しい手触りの作品ですが、カラリとした明るい作品ではなくって、雪が降り出しそうな空の暗さを感じさせるようなもので、案の定私の好みでした。
或る意味で、パーツパーツを見ていくとどこかで見たことのあるような部分はあるものの、私は結構好きなタイプの作品です。
というわけで、今回は「NOTEBOOK」さんの『絵本の幽霊』です。
この作者様の作品では、このブログを始めて間もない頃に『VOICE』という作品を扱った事もありましたね。
良かった点

・作品の雰囲気が良い(というか私好み)。

・作中物語みたいなものもあって、中々複雑な構造を。


気になった点

・閑話をどのように位置づけたら良いか、少し分かりづらい。

ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
12月。
季節は冬。
けれど雪が降るにはまだ早く、紅葉がやっと散りだした、秋と冬の間。

「何を書いてるの?」

新しい町と新しい生活。
そんな中で僕は彼女と出会った。

メインストーリーの「絵本の幽霊」はもちろん
閑話として短編を一話分収録した、ちょっとお得なノベルゲーム。

絵本の幽霊

こんな感じ。

あっけらかんに明るい作品よりは、どちらかといえば少し暗く陰を落とすような、そんな作品の方が私は個人的に好きです。本作もその例に漏れず、童話風でありながらほんの一匙、暗さというか悲しさみたい雰囲気を感じさせますね。
そういえば、前作(処女作?)の『VOICE』からの進歩は目を見張るものがあります。
『VOICE』に関しては、オイシイ所はあったものの、少し舌足らず的な、「もう少し説明が欲しい」と思う所がありました。が、本作は「説明の無さ」が気にならないというか、そこが逆にアクセントになっているというか、そういう印象です。
童話的な作品ですから、カッチリとリアリティがあると却って作品の良さが失われてしまいます。うんと分かりやすい例で言うと、『赤ずきん』という作品があって、赤ずきんちゃん一家がどのように生計を立てているのか、なんてのが描写されちゃうと、それは蛇足なんですよね。そこまで描写してしまうと、童話独特のファンタジックでリアリズムを越える表現を阻害してしまうわけです。
本作に関して言えば、具体的には、主人公のバックグラウンドとかですよね。どうやら絵本作家を目指して、アパートにて独立した、というのは分かるものの、それ以外の情報が殆どありません。けれども、本作が童話風の少しファンタジックな作品である以上、寧ろその方が作品に上手く設定がとけ込むように思えます。


さてさて、主人公の男性は、絵本作家を目指していて「そこのアパートに入居すればデビュー出来る」という、トキワ荘的なアパートを見つけ出し入居する所からストーリーはスタートします。
ボロいアパートらしいのですが、寧ろ、それが小綺麗なマンションとかだったら或る意味台無しですからねw

私もボロいアパートについては一家言持っていて、というのは自分が入居していたわけじゃないのですけれども、大学の時、友人がまさに「ボロアパート」と呼ぶのに相応しい所に住んでいたのでした。東京のど真ん中、新宿区にあって、家賃は3万円を切っていました。
但し、トイレ共同、風呂無しです。お風呂に入りたい時は歩いて三分の銭湯に行く。ちなみに、そのアパートはネズミが良く出ますw 彼の家に泊まった時、夜中にネズミがガサガサ言う音でロクに眠れなかった記憶が……。

ま、それは兎も角、そんなちょっぴり風情のあるアパートでの暮らしが中心になって物語が進行していきます。
で、この手の作品の常として、出てくるわけですよ。幽霊の女の子がw 『Moonlight Blue』という作品がありまして、まさにこのタイプ。アパートだかに入居したら、女の子の幽霊が居て奇妙な共同生活が始まってしまうわけです。

ただ、本作の場合、ラブコメみたいなものに発展するわけでもなく、更に幽霊を名乗る女の子は10歳。例の大橋のぞみが9歳とかですから、恋愛ストーリーが発展するわけがないw
まぁ、10歳にしてはちょっと大人びた印象はあるものの、設定上10歳ですからねぇ。
大まかに説明すると、その幽霊の女の子冬実ちゃんと、一緒に暮らす事で、主人公は「自分の書く絵本に足りなかったモノ」を見つけ出す、というのがストーリーの流れになります。
勿論、その間に色々な事件とかがあって、その事件を乗り越えていくあたりが物語の見せ場の一つになっています。


で、実は本作、今まで語ってきた幽霊少女との同居生活を挟むように、別のお話が時折顔を出します。ラストへの布石になっているパートなんですが、ラストを読むと、意外とありそうでなかった感じがして妙に新鮮。

所で、読み進めていくと「閑話 ○○が追加されました」というようなメッセージが出てきます。
作中で語られる絵本の中身を独立して、スタート画面から読むことが出来たりする仕組みです。ただ、ラストまで読むと「空へ」という閑話を読む事が出来るのですが、この「空へ」という作品を、どう本作の中で位置づけていったらいいのか? そこが少し分かりづらい。
完全に独立しているモノなのか? 或いは、例のアパートに入居した男が「実際に」リリースした絵本の中身なのか? 更にどうも、この「空へ」に関しては書いている人も違うようです。
所謂「本編」との接点が見つけづらいと言いますか、その点が少し気になりました。

どうも、紹介文を読んでみると独立した存在のような……。
もし、そうだとするならば、やっぱり「彼」がその後書いた絵本、という事にして、本編の中での整合性を持たせても良かったようにも思えたりします。或いは『絵本の幽霊/空へ』というような二本立てである事を明示するとか。


本作の良さは、ちゃっちゃかクリックして読み進めていくのを躊躇うくらいの、優しい雰囲気を持っている所にあるのではないかと。
暖かい飲み物でも用意して、じっくりと読んでいく。そんな作品だと思います。
Live Maker使用ですけれども、マウスホイールでのバックログ閲覧が出来ないのはちょっと難点かな、と最初は思ったのですが、じっくり読めば大丈夫。いつもは私、かなり高速クリックで、読み進めていくタイプなので……。

立ち絵も一枚絵もないですけれども、こういう作品、とっても好きです。
雪の降る日にでも是非是非。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-01-10 12:46 | サウンドノベル


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