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2009年 01月 20日

フリーサウンドノベルレビュー 『茄子と秋刀魚の美味しい世界』

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今日の副題 「意外と深い仕掛けが詰まってます」

ジャンル:ミステリー的メタストーリー(?)
プレイ時間:1時間半~2時間くらい
その他:選択肢なし、一本道。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2008/?/?
容量(圧縮時):34.1MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、先日からちょこちょことプレイしていた作品をご紹介。
元々は、2008年度早稲田祭にて、頒布されていた作品をフリー化したものです。
というわけで、今回は「早稲田大学公認サークル、経営情報学会(MIS.W)」さんの『茄子と秋刀魚の美味しい世界』です。
良かった点

・様々な所に仕掛けがあり、ラストで吃驚。

・私の可愛い(?)後輩達の作品w

気になった点

・割と人を選ぶタイプの作品かも。

ストーリーは、サイトから引用しておきましょう。
「楽しいことがあると無性に死にたくならない?」
そんなことを笑って言う"彼女"と僕の、不安定で壊れた日常。
――さあ、ひきこもろう。世界へ。
だって、茄子とか秋刀魚っておいしいんですから。

こんな感じ。

珍しい、大学のサークル発のノベルゲームです。
本作、先にも述べましたが、2008年度の早稲田祭にて頒布されたものらしいです。
面識やらは全くありませんが、後輩がこうやってノベルゲームを作って、更にフリーのものとして公開してくれてあたしゃOBとして嬉しいよw
恒例の脱線ですが、私が在学していた時は、早稲田祭は停止していました。まぁ、色んな大人の事情があって。で、毎年「今年こそはやろうぜ!」って有志が集まったりしていたのですが、結局、復活したのって割と最近ですよね。

で、そもそも大学のサークル発のノベルゲームって、意外とありそうでないんですよね。
私の知っているのは、本作以外には『君のいた夏』という作品ですかね。これは以前レビューを書きましたね。こちらは筑波大学ですけれども。

ストーリーを補足しつつ、内容に入っていきましょう。
先ず、主要キャラは主人公というか視点人物の牧野君、そして、ちょっと壊れた感じの美人、そしてリストカット癖ありの旗幟舞依。牧野君の幼なじみの姫路さんと、舞依の妹茜、大体この四人が登場人物という事に。
そして、ひょんな事から舞依に関わってしまった牧野君は、彼女のリストカットを阻止すべくいつも彼女の側に居ます。一体、なんで彼女はリストカットをするのか? 死のうとしているのか? それとも? 色んな謎が一気に示されます。それを追っていくのが一つのストーリーの軸になっています。
先に示した、ストーリーを見ると、何となく不条理青春ノベル、みたいなのを想像するかと思いますが、そうでもないというw

本作の特徴の一つは、文章の特異さ、でしょうか。
元ネタが分からないとついて行けないようなものがあったりしますし、IRCのマクロの反応速度とか、分からない人もいるかもしれません。
IRC、確かインターネットリレーチャットの略で、昔はチャットといったらこれを指しました。IRCクライアントを使って接続してやるんですけれども、システム的なレスポンスは早いし、膨大な数のチャンネルがあるのでとっても奥の深いチャットです。興味のある方はIRCとか検索してみて下さいな。

それは兎も角、文章の特異さは、前述のキャラクターの発話内容も含みます。
かなり高度で難解な発言が多い。「本当にお前等高校生かよ……」と言いたくなるくらいのw
で、最重要なのは、地の文です。
私が今回、プレイしていて真っ先に気がついたのは、この地の文の特異性でした。
普通のノベルゲームの地書きって、「主人公である俺/僕がまさに今体験している事、体験していく事を書く」というスタイルが多いわけですが、本作の場合は一味違います。

というのは、かなりメタレベルでの発言が多いのです。
「読者が~」なんて突然、主人公がこちらに語りかけるが如く、発言をする事がたまに、この手のノベルゲームではありますし、本作もその例に漏れません。
しかし、それを遥かに超えるレベルでのメタ発言が多いのです。

プレイしていくと示される本作の体裁とは、僕の身に過去に起こった事を僕が、物語=ノベルゲームとして再構成する、というようなもので、実はこの語り掛けの構造は奥が深いのです。
だって、主人公であるところの僕がWindowsのIMEを使って「このノベルゲーム」を書いている、のが地書きで示されるのですから。

ね? ちょっと不思議でしょ?
ちなみに、Windows標準のIMEはすっげぇ使いにくい上に馬鹿なので、私はATOKを推奨しておきますw 
んでもって、普通に文章自体、かなりトバしていて、所謂一つのギャルゲ的なノリも持っています。

それは兎も角、「何だか、不思議な作品だぜ……」とか思いながらプレイしていたら、物語は段々とシリアスな方向に。ラストまで見て、やっとプレイ中に感じた違和感、というか矛盾というかそういうものの正体に気がつきます。
「ここ、矛盾してない?」とか言おうと思ってメモっていたのが無駄になってしまいましたw けれども、中々壮大な仕掛けで、これはこれで面白いですね。

本作は、半分ミステリーな部分があるので、詳しい言及は避けますが、本編を見ただけでは、ラストが尻すぼみなんですよね。クリア後に出てくるエクストラを見る事。
そこで、初めて本作の最大の仕掛けに気がつくというわけです。この最後の装置、賛否両論はありそうですが……。
ラストの終わり方が、少し救いようがないというか、どうしようもない感じだったので、私なんかはエクストラで救われた、と思いました。尤も、エクストラで判明する本作最大の謎は、それまでのメタレベルでの発言を見ていけば、うっすらと予想出来たりします。
ただ、まぁ、ここまであっけらかんと出されると、正直面食らってしまう部分もあって、やっぱり吃驚しますよねぇ?


強引にジャンル分けしようとすれば、多分、ミステリーに近いと思うので、ちょっと変わったミステリーとか、そういうのがお好きな人は是非どうぞ。立ち絵のレベルも高いですし(一枚絵がないのが残念!)、音楽もオリジナルのモノを使用。
あっ、そうそう、あんまり茄子とか秋刀魚、関係ないよw

というわけで、今日はこのへんで。
それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-01-20 19:01 | サウンドノベル


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