2009年 02月 27日

フリーサウンドノベルレビュー 『シグマの世界』

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今日の副題 「永遠に忘れられた世界」

ジャンル:SFアドベンチャー(?)
プレイ時間:トータルで3時間くらい。
その他:選択肢アリ。バッドエンドと思しきものも。本レビューは全年齢版にてプレイ。
システム:Nscripter

制作年::?(15禁版が2007年だったので少なくともそれ以降)
容量(圧縮時):60.9 MB



道玄斎です、こんばんは。
今日、東京は雪が降りました。ちらっと降った事は以前にもあるのですが、感覚的に今日が初雪、という感じですね。雪が降ると、寒いし、歩いててこけるし、良いこと無しですが、今日も今日とてゲームを楽しみます。
というわけで、今回は「サイコロード」さんの『シグマの世界』です。
SFチックな作品で、尚かつちょっとダークな感じで終わるので、私好みでしたよ。
良かった点

・理解しやすい描写。

・イラストは可愛いし、背景なんかも気合いが入っている。

・ちょっとダークなラスト。個人的にこういうのも好きw


気になった点

・誤字とかが微妙に気になる。

・エンドリストがあると良かったかも。

と、こんな感じです。
ストーリーは、サイトにリンクを張っておきましょう。こちらからどうぞ。


というわけで、久々に長目の作品をプレイしました。
しかも、結構好きなSFテイストの作品、尚かつ微妙に、というか結構ダークな世界観で面白かったです。

意外に選択肢があって、バッドエンドと思しきものに進んでしまったりする事もあるのですが、(多分)コンプリートするのはそこまで難しくないのではないかと思います。元々は15禁版が先行してリリースされていたようで、そちらの方はかなりルートの数が多かったみたいですが、全年齢版はそういう15禁ルートがふさがれている為(そっちに進もうとするとバッドエンドになる)プレイしやしやすいみたい。

最初、プレイした時は、所謂「近未来人類衰退型」のノベルかと思っていたんですよね。
実際、それをほのめかすような描写が沢山出てきて、或る意味定番の展開かと思っていたら……。
本作の良い所の一つは、そうした世界観の説明が非常に分かりやすい、という点です。

最初に提示した「A」なる世界があって、けれども、実はそれは本当は「B」なる世界だった。けれども、そこには実は「C」という要素と「D」という要素が入り込んでいて、実は「A」は単独で「A」ではなく……的に、設定がドンドン上乗せされていき、何だか良く分からなくなってしまう事が、SF作品ではたまにあります。
尤も、それは私が馬鹿で脳みそで設定を消化しきれないだけだったりしますがw

しかし、本作の場合、最初に提示された世界に設定が上乗せされて、重層的になっていくわけですが、凄いすんなりと理解出来るものになっています。
ちゃんと会話文の中で、それを分かりやすく解説してくれたり、或いはどちらの世界もしっかりと描いてくれ、尚かつその二つの世界の境界点なんかで、世界観の示唆が行われたりと親切設計。

敢えて、本作の作品世界の構造的な面を述べるとすれば、例の入れ子構造というものになります。ただ、単純なAを包むBが存在している、というだけでなく、Bという世界にもそれを包含するB’がある、という感じかしら? そこらへんの事情はオマケシナリオをプレイする事で理解出来ます。
と、云ってもBとB’は同一世界なんですが、構造的に、という事で。
更に全体を簡潔にまとめるとすれば、「箱庭」の入れ子という感じでしょうか? 入れ子構造自体はそんなに珍しいタイプではないのですが、SFでは定番の構造ですし、普通に面白いから不思議。
単純に私が入れ子構造が好きっていうのも勿論、あるんですけれどもね。


さて、もうちょっと中身に踏み込んでいきましょう。

結構、キャラクターの趣味指向というか、そういうものが倒錯しているような、そんな印象がありますね。
主人公(?)の友人役ある、七緒と直兎の関係とか、はたまた、後半から出てくる、ナツキとその姉の関係とか。詳しくは言及しませんが、こういうある種の「倒錯」的な設定があっても、不思議と違和感を感じなかったというか、寧ろ作品を面白いモノにしているように感じました。ちょいと近親相姦的な要素もあるわけですが……。
で、なんでそこまで違和感が無いのだろう? と五分くらい考えて気がついたのは、その手の手法が古典的だから、という事実です。勿論古典的というは、古くさいという意味ではなく、日本の古典文学的、という意味ですな。
流石に本作ほど、複雑に絡み合っている訳ではないものの、それに近いもの、或いはもっと云ってしまえば、それの原型となっているような、そういうものは古典を読むとちらほらと散見されます。ま、それは蛇足ですね。

で、まぁ、バッドエンドが出たら、都度別の選択肢を摂ると、何とかエンドまでいけるのですが、最後に「HAPPY END」と表示されるものが出てきます。んが、見てみると全然ハッピーエンドじゃないというw
そこでも、別の選択肢を選んだりすれば、更なる世界を見ていく事が可能。

けれども、やっぱり本編のみだと、少し捉え所がないような、そういう印象があるのは確か。
オマケシナリオの方を読むと、一気にいままでの伏線が繋がっていくように。ただ、オマケシナリオの一発目は起動すると「できればシグノエンド後に読んでくれ」との文字が。されど、エンディングリストとかが存在しないので(先ほど述べたように「HAPPY END」なんて文字はたまに出てきたりしますが)、果たしてそれを見たのか否かがイマイチ微妙な気が。
ただ、それを見ても、ちゃんとストーリーは繋がるようになっていたので、きっとシグノエンドは見ていたのでしょう。多分……。
欲を言えばエンディングリストなんかがあると、便利だったと思います。いくつかのエンド(バッドエンドを含めて)を見る事で、世界の全体像が見えてきたりするわけで、そこまでシビアな判定ではなく、全然正規エンドにたどり着けないなんてことはないのですが、ちょこっとそういうリストがあると良かったかな、と。

んで、気になった点は、意外と誤字が気になりました。
「なお、○○である」という文章があった場合、普通「尚、○○である」と漢字変換します。が、「直、○○である」とか、そういう誤字があったように思えます。あと、これは商業のゲームでもよく見られるのですが、クオテーションの問題。
「俺は、“たこ焼き”が大好き」なる文章があったとして、それを「俺は、”たこ焼き”が好き」となってしまっているという。「“○○”」とすべき所を「”○○”」になっている、という事ですな。そんなに気にする所ではないのですが、一応。


大体、こんな所でしょうか?
イラストは可愛らしいですし、背景なんかも力が入っていて、ビジュアル的にも楽しめるのではないかと思います。ストーリーも私好みのSF風味。
クオリティは高いと思いますので、是非興味を持たれたらプレイしてみて下さい。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-02-27 21:51 | サウンドノベル | Comments(0)


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