2009年 04月 21日

フリーサウンドノベルレビュー 『affettuoso』

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今日の副題 「ギュッと詰まった感動短編」

ジャンル:短編感動系ノベル(?)
プレイ時間:30分程度
その他:選択肢なし、一本道。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2009/4/14
容量(圧縮時):37.9MB




道玄斎です、こんばんは。
ちょっとここ数日、疲れました。今日はその代わり目一杯遊ぼうと思ってストックしておいたゲームをプレイ。
見たことのない作者様だな、と思っていたら、『こんな物語』等をお作りになられているケイトーさんが、新規に立ち上げたサークルという事みたいです。
本作もちょっと『こんな物語』に通じる所もある、泣かせるストーリーになっていました。更に私個人の体験だとか思いとか、そんなものと共鳴して、危うくラストで泣きそうになってしまったという。
というわけで、今回は「wwww」さんの『affettuoso』です。
良かった点

・短くても良く纏まったシナリオ。

・切なく、泣けるシナリオ。


気になった点

・ハッピーエンドではないので、人を選ぶ部分も。

ストーリーは、今回は私が軽く纏めておきましょう。
真哉は、幼なじみの真奈美に自らの想いを伝えるべく、彼女への想いを込めた曲を作る。
その曲を彼女に聞かせ、想いを告げようとしていたのだが、喀血し、倒れてしまう。
彼女へ想いを伝える事は出来るのか? そして真哉の容態は……?

と、こんな感じのストーリーです。


本作、「サンドウィッチ」でした。
起動して最初に語り出されるストーリーは「現在」の主人公の状況。そしてその「現在」の時間に挟まれるように「過去」のストーリーが展開していきます。そして「現在」、更にラストでは「未来」まで見せてくれるという。そういう時間の違いを上手く使った作品だったのではないでしょうか。

ストーリーは、『こんな物語』とは違うのですが、やっぱり同質の香りがしてきます。
ラストでの盛り上げもちゃんとありますし、良い意味で、「らしい」作品だったな、と。短編としての纏まりも上々だったのではないでしょうか? 大体25~30分程度で読了可能なのですが、プレイ時間に反比例して中身はギュッと凝縮されているような感じ。

主人公真哉は、病弱で、且つ父親を早く亡くしており、更に父親譲りの持病があって……という設定になっています。で、何度か作中で彼は自らの死を意識するというか、死を見つめていくわけですが、「血筋が絶えてしまう」とか、そんな事もちらっと思ったりしていました。
それは、父も母も亡くしており、天涯孤独の身だからこその感慨なのでしょうけれども、何となくそういう感覚、私も分かります。

で、そこでいきなり気になった点なんですが、良く纏まっているとは思うのですが、一方で、もう少しヒロインたる真奈美に関する情報、補足が欲しかったな、と。
兎に角、主人公は天涯孤独の身であって、そんな中で自分を支えてくれたのが真奈美なわけです。ですので、もう少し、一つでも良いから、真奈美と真哉のふれあいとか、お互いがお互いを思いやるようなエピソードとか、真奈美に惚れるきっかけとか、そういうものを過去のエピソードとして入れても良かったのではないかと思います。
多分、そういう装置を作っておくと、ラストの感動や説得力も更に増すのではないかと。

ストーリーを見て貰えれば分かるように、ハッピーエンドじゃないんですよね。
しかも、ちょっと持ち上げておいて落とす、みたいなw 安直にキャラクターが死亡するわけではなく、ちゃんと必然性があるので、そこまで私は気にならない所ではあるのですが、ハッピーエンドが大好きだったり(私もハッピーエンドは好きです。バッドエンド風味みたいのも好きなのですがw)すると、もしかすると、合わない部分があるかもしれませんね。


一方で良かった点も沢山あります。
「最後の退院」なんて、某著名作品っぽいですけれども、その時の主人公の心の動きを丁寧に追っており、そこは好印象。「年月が過ぎて、他の人と結婚したとしても、時々墓参りくらいは来て欲しい」なんて主人公は想うわけですが、やっぱりこれもジワッとくる感じですね。
これは、多分どっかに書いてあったのだと思うのですが、人間が死ぬ時って、きっと心臓が止まる時ではなくて、誰の記憶からも無くなってしまった時なんだろうな、と私は思っています。自分が居なくなっても、少しでも、そしてたまにでも、思い出してくれるのならば、私はそれで満足です。
逆に、大切な人の事を、私は少なくとも自分が死ぬまでは、忘れず(と云っても忘れられる訳ではないのですが)時々思い出してあげたいな、と。

最後のデートで、沢山、色々な所を見て回りたい、なんて文章も出てくるのですが、ここが真奈美と主人公の美味しい過去を入れるポイントだったのかもしれません。
私が主人公の立場だったら、きっと最後のデートだったら、沢山色んな所を回ったりせず、思い出の場所一箇所で良いような気がします。
そういうね、主人公とヒロインを強固に結びつけているスポットとか、そういうものをエピソードと共に、最後のデートに取り入れても良かったかなぁ、なんて考えました。妄想爆発ですが。
先にも書きましたが、ギュッと詰まって、密度は高いのですが、もうちょっとヒロインと主人公の関わりの部分で、作品が広がりを持っていても良かったかな、という事ですね。


大体こんな所でしょうか?
短編作品で、本当にさっくりとプレイ出来るものですが、やっぱりラストシーンはジワッとくる、良作なのではないでしょうか? 手軽にプレイ出来、且つ中身もある感動モノをお探しの方は是非、プレイしてみて下さい。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-04-21 21:33 | サウンドノベル | Comments(0)


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