2009年 04月 24日
道玄斎です、こんばんは。 なんか、フリーゲームに関する催し(しかも結構アカデミックな感じ)が開催される、という事です。 コメント欄にて教えて頂きました。 http://www.igda.jp/modules/news/article.php?storyid=1633 結構お金掛かるんだなぁ……。 ごめんなさい、間違って明日と書いてました。正確には5/2です。誤記スミマセン。。 ざっと見てみると、前半は研究会というか、まぁ、一種の学会的な催しで、後半はゲストのお話、そしてディスカッションという流れみたい。有名な方(知らない人の方が多い……)がお話下さるようですよ。この界隈でも著名な化方もパネリストとして参加しているので、興味のある方はチェックしてみて下さい。 こうした催しが開かれるという事、これは素直に「フリーのノベルゲーム/サウンドノベル」のファンとしても素直に嬉しい所。会合の成果を一般に還元してくれたら云うこと無しですね。工業系の大学の先生なんかが司会をなさったりして、かなりアカデミックだ!! で、まぁ、今回は「箸休め」なんで、色々語らせて貰おうと思いますけれども、今回、上に書いた会合が「工業系」の大学が主催というか、或る程度牛耳っている感触でした。 で、私の不満は、何故そこに「文学系」のプロパーの人が参加しないのか、という辺り。確かにシステム面や、ゲームの進歩や進化という意味で、工業系の人間が語れる所は非常に多いだろうし、又、それはとても有意義なものだと思っています。 しかし、ゲームってのは、ノベルゲームにせよ、シューティングにせよ或いはRPGにせよ、文脈というか、もっと分かりやすい言葉で言えば「シナリオ」、或いは「ストーリー」が或る意味で命です。 そこをもうちょっと文学系の人に語って貰ったり、そんな催しがあってもいいんじゃないかなぁ? なんて思ってしまいますね。 何度も何度も語っていて、アレなんですけれども、私が大好きなノベルゲームは、恐らくかなり「日本文学的」だという話とかもね、きっとその内誰かがしてくれるのではないかと思って今から期待しています。 で、ここまでが話の枕。 こっからが、今回の本題。 ■表記の揺れはどのようにしておきるのか? というわけで、大上段に振りかぶってテーマを掲げてみました。 表記の揺れ。これは特にテキストが命のノベルゲーム制作に於いて、恐らく真剣に考えるべき問題だと思います。今回は、ちょいと今までと思考を変えて、日本語学的というか音声学というか、まぁ、そんな観点から、その一端を考えてみようという企画です。 表記の揺れとは、そのまんま、「表記が揺れ動く」現象です。 つまり、或る箇所では漢字として記述していたのに、特別な意図が無く、別の場所でそれが平仮名で表記されている、とかそういうケース。 私もブログを書くときは、そうした面にあまり気を遣わず「表記揺れ」をやってしまう事も屡々。 例えば「いう」。英語で言うところの「say」なんですけれども、私の場合「云う」と「言う」を結構混在させている気がします。或いは「という訳で」と「というわけで」を混在させたり、ね。 けれども、きっと皆さんもこうした表記揺れはマズイという認識を持っているわけで、結構気を遣っていらっしゃるハズです。先ずは、どうやったら表記揺れが防げるのか、という当たり前のお話を。 ・ルールを最初に決めておく 例えば「というわけで」という言葉を使う際には、「いつも平仮名にする」というルールを決めておく。 或いは「~なこと」という時も「いつも平仮名で書く」とかね。 こうしたルールを決めてからシナリオを書くようにすれば、行き当たりばったりに書くのに比べて、格段に表記揺れが減るハズです。 ・表記リストを作る 最初にルールを決める、という話をしましたが、決めたルールをテキストファイルか何かに纏めてリストにしておいても良いかもしれません。 或いは、「今書いている作品では、こういうルールも付け加える」とか、都度のルールなんかも記述して、一回的に使う表記リストを用意するなんてのも良いアイデアかも。 ・検索する シナリオが出来上がった状態で、表記が揺れそうな単語なりを、検索してチェック。勿論、表記リストと見比べながら。 こんな事をやって、更にデバッグをしてってやっていけば、表記の問題は殆ど起きないのではないかと思います。意外とね、商業作品でも多いのが引用符とかの表記ミスですよね。表記の揺れとはちょっと違う話ですけれども。いっつも書いてますが「“○○”」とすべき所を「”○○”」としているケースが商業、同人問わず多く見受けられます。別にクリティカルな部分ではないのですが、何となく気になる人も私みたいにいるんじゃないかしら? そういう時は最後に「”」とかで検索を掛けて、引用符を使っている所をチェックしていけば。 いや、実はまだ本題じゃなくてw で、こっからが本当に本当の本題。 一般的な表記の揺れは上記に書いたような事で防ぐ事が可能だと思います。それでもやっぱり残ったりする事もありましょうが、それはまぁ、しょうがないというか。。 で、問題なのは「何故か表記揺れ」が生じてしまう場合です。 今回、取り上げたいのは、外来語です。 例えば、日本語で言う所の「寝台」って普通、なんて言いますか? 或いは「鞄」をなんて言います? 恐らく、大多数の人が「ベッド」、「バッグ」と答えると思います。なんだけれども、この手の外来語、何だか表記が揺れそうな気がしません……? あるシーンでは「ベット」って書いて、また別のシーンでは「ベッド」って書いたり、或いはあるシーンでは「バック」と書いて、別のシーンでは「バッグ」と書いたり……。 筆の勢いに乗ってガシガシ書き進めている時、先に述べた「~なこと」とか「というわけで」などは熱くなっていても、頭の中でセンサーが働いているから意外と気をつけていたりするものです。 なんだけれども、つい「ベッド」を「ベット」、或いは「バッグ」を「バック」なんて書いちゃいそうじゃないですか? 私もきっとやっちゃいます。 普通の会話でも「ベッド」を「ベット」と呼んでいたり、「バッグ」を「バック」と呼んだりしちゃっていません? 私はきっとやっていると思います。つまり、「発音と表記すべき字に齟齬が生じる場合」があるんですね。 勿論、元々の英単語に戻してみれば「bed」で、「bag」です。「d」と「g」の音だから、「ド」になり「グ」になるハズですよね。なんだけれども、何故か普段口頭では「ト」と「ク」と濁音にせず清音にしてしまっているわけです。 んで、こういう現象、日本語と関わりがあるんです。 というのは、日本語では、「促音の後ろには、無声子音しかこない」んです。これは勿論、純粋な日本語、というものでは、という事。 ちなみに無声音というのは、声帯を震わせないで出す音です。 Wikipediaから無声音の項目の一部を引用してみます。 子音のうち[p][t][k][f][s]などの破裂音・摩擦音は無声音である。 と書いてあります。 だから、例えば、 ・「一発」→「いっぱつ」→「イッパツ」 →「ッ」の後ろは[p] ・「一体」→「いったい」→「イッタイ」 →「ッ」の後ろは[t] ・「奇怪」→「きっかい」→「キッカイ」 →「ッ」の後ろは[k] と、私が適当に挙げたものでも、ちゃんと規則通りになっています。 [f]の音の前に促音が付くのってパッと思いつきませんねぇ。 [s]だったら、単位の「一升」→「いっしょう」→「イッショウ」 →「ッ」の後ろは[s]なんて言えるんですけれども。 是非、純粋な日本語で、上記のように「ッ」を挟み込む言葉を探してみて下さい。恐らく、全て「ッ」に続く音は[p,t,k,f,s]になっているハズです。 で、本題に戻りましょう。 だから元々が「bag」だろうが「bed」だろうが、「ッ」の後に現れる「グ」と「ド」みたいな有声の子音は、日本人は元々発音する規則が無かったんですな。というか、そういう言葉が日本には無かったんです。 だから、きっと誰でも英語で綴りが書けるであろう「bag」や「bed」も、ちゃんと最後が「g」と「d」で単語が終わるのを分かっていながらも、発音する時には無声音にして「ク」「ト」にしてしまうのでした。 そうなると、表記の上では「ベッド」「バッグ」が正しいと思いつつも、口で喋る時には有声音を使わず、無声音にして喋ってしまいますから、ついつい表記する際にもそれに引きずられて「ベット」「バック」にしてしまうのではないかと。 更に補強しておくと、Googleで「バック」「バッグ」それぞれ検索してみて下さい。 右側に例のアドワーズ広告が出てくるでしょう? 「バック」で検索した時と「バッグ」で検索した時では、出てくる業者の広告が異なっているハズです。これもやはり我々は「bag」という語に或る意味で「バック」と「バッグ」という二つの音を混在させて使ってしまっている事を示しています。 まぁ、今日はそんなお話でした。 又、最初に話しが戻りますけれども、飽くまでこうした「表記と口頭での音(や表記)が異なるのは、「外来語」です。元々日本には無かった音の単語だからです。ですので、表記揺れをチェックする際に、外来語をチェックしていくと、以外と色々問題が見つかるのではないでしょうか?? ガシガシ書いてる時ってこういうミスをしちゃうと思うんですよね。 以上、何だか例によって衒学的な、私の怪しげな「日本語学的、音声学的な視点から見るノベルゲームのシナリオに於ける表記揺れの諸問題」でしたが、如何でしたでしょうか? や、勿論、私、そっちは全然専門じゃなくて、分からない事だらけなんですけれども、今日ちょっとその手の本を読んだり、コピーしてきたんですが、折角だったら「ノベルゲームと関わる形で記事にしておこう」と思い、表記揺れの問題と絡めてみました。 多分、私の7000倍くらいそっちに詳しい方とかもいらっしゃるハズなので、間違いなどがあったら、どうぞご指摘お願い申し上げます。 それでは、今日はこのへんで。
by s-kuzumi
| 2009-04-24 21:56
| サウンドノベル
|
Comments(4)
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akino
at 2009-04-24 23:08
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こんばんは~
自分の文章を書き上げて、いざこちらに来てみたら同じ作品を取り上げていたのが、なんだかショックで。 勢いで書き込んでしまいました。すみません。 さて、表記揺れのことで少しお聞きしたいことがあります。 「」で括った文章(せりふ?)で、知的レベルを表現するために表記を変えたり、 地の文で視覚的に文章がくどいと感じたときに、意図的に標記を変えたり(ここはひらがなが良いな、とか)するのは、やっぱりルール上よろしくないのでしょうか。 「3点リーダの数」とか、「記号の後に一字あける」とかは気を使ってるんですけどね~
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面白い記事です。促音は確かにおっしゃられるとおりですね。
また、「フィルム」の「フィ」なんて発音は、そもそも 日本語にはなかった訳で(それを言うと、フランス語には ハ行がないとか、韓国語には語頭に濁音が来ないとかあるけど)、私自身は、実はあまりこだわってないんですけども。 だって、日本語自体ぐちゃぐちゃですし。テレビ見てても、 東京風の「平板アクセント」が、気持ち悪い事この上ないんです よ。東京に住んでた頃は「こんな言葉でしゃべる人たちが 実在するんだ」と、別の意味で感動しましたが(笑)。 結局、ノベルゲームで日本語のどうかはあまり関係ない気が します。表現の材料より、表現そのものではないかとね。
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s-kuzumi at 2009-04-25 22:03
>>akinoさん
こんばんは。 >「」で括った文章(せりふ?)で、知的レベルを表現するために表記を変えたり、 これはアリなんじゃないでしょうか? 子供を描く時なんかで、意図的に使っていれば問題ないように思えます。ただ、例えば高校生と大学生で使用漢字を使い分ける、となるとどうかな? と思ったりしますし、物凄く使い分けが煩雑になるのでは? と愚案致します。 寧ろ、表記というよりは「知的レベルに合わせて、使える単語や表現を吟味する」方が大切かも。 たまにありますよね。無気力で成績があまり宜しくない高校生の主人公なハズなのに、何故かやたらと哲学的に語りだしちゃったり、とっても難しい言葉を使っちゃったり。そういう部分を工夫してみると良いかもしれませんね。 三点リーダとか、記号の後の一字空けなんてのは、一応出版とかの「ルール」というか基準なので、ゲームでは必ずしも厳密に使っていない事もありますよね。 商業のものでも三点リーダは「…」と一個だけにしているものをよく見かけます。飽くまで「基準」というくらいに捉える方がいいのかな??
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s-kuzumi at 2009-04-25 22:09
>>NaGISAさん
こんばんは。 奈良時代に「ファ」はあったような気がするのですが、確かに「フィ」はないですねー。勉強になりました。 >テレビ見てても、東京風の「平板アクセント」 うーん……恐らく私もその「平板アクセント」だと思いますw やはり東京圏外の方から見ると、違和感を感じるものなんでしょうか?? そういえば、ラジオを聴かせて頂いた時、アクセントに抑揚というか、言葉の表情が豊かだったような気が……。 >表現の材料より、表現そのもの これは仰るとおりだと思います。 シナリオだったり、コンセプトそのものだったりが骨太だと、プレイしても満足感が高いですし、しっかりとした作品が多いと思います。あとは「丁寧な描写」とかも重要な要件ですよね。 |
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