2009年 04月 28日

フリーサウンドノベルレビュー 『小さな記事の裏側』

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今日の副題 「変わったカフェで、変わったお話」

ジャンル:とっておきの短編集(?)
プレイ時間:小一時間程度(2009/4/18日のヴァージョン)
その他:選択肢は、「お話」を分岐させる為に。一般的な意味での選択肢は無し。若干グロい描写もあるので、苦手な人は要注意。
システム:NScripter

制作年:2009/4/18
容量(圧縮時):49.7MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、ご紹介して頂いた作品です。実は私も気になっていて、ダウンロードだけは済ませていました。近い内にプレイしようかな、と思っていたのですが、折角なので今日プレイしてみました。で、予想とは大分違うストーリーでちょっと吃驚しています。
というわけで、今回は「そらとくもとかぜ」さんの『小さな記事の裏側』です。
良かった点

・メニューはアメリカン珈琲のみ、そしてとっておきの「お話」を売り物にするカフェの設定は興味深い。

・ちょっとプレイヤーに何かを考えさせるような作品かも。


気になった点

・登場する女性キャラが結構酷い……。

ストーリーは、今回は私が軽く纏めておきましょう。
アメリカン珈琲しか出さず、メニューリストが存在しないカフェ。
このカフェは、ウエイター、そしてウエイトレスの語る「お話」がウリとなっている。
そして、今日も一人、この店に客が来て……

とこんな感じ。
で、本作は、ウエイター/ウエイトレスの語る二つのお話で構成されています。
一つは「ママ大好き!」。
もう一つは「初恋ってなんだっけ」
です。これは、恐らく今後もアップデートするにつれ、お話が追加されて……というタイプの作品ですね。この手のスタイル(ストーリーがアップデートで追加されていくタイプ)で有名なものには『茜街奇譚』があります。これも近い内にプレイしなおしたい作品です。

さてさて、中々レビューというか感想を書くのが難しい作品だったな、というのが正直な印象。
先にも書きましたが、ウエイター/ウエイトレスの語る「お話」を包み込むように、カフェでのやりとりがあるわけです。だけれども、肝心なのは彼らの語る「お話」なのでした。
ちなみにウエイトレスは、中々可愛いぞ。

で、彼らの語るお話ってのは、まぁ、何て云うか少なくとも現段階で公開されている分は「スッキリ!」とか「感動!」とかそういう雰囲気ではなくて、どちらかと云えば「暗い」とか、「もやもやする」というか、そういう後味を残します。けれども、だからといって悪いとか、そういうわけではないですよ?

じゃあ、今回は、短編二本立てというスタイルなので、それぞれについて軽く語ってみましょう。


先ずは「ママ大好き!」から。
20歳にして子供を産んでしまった女性が、夫と別れ、娘一人を連れて色々な問題を抱えながら生活をしていく、という感じのストーリー。
新聞記事でも「三行」しか載っていない事件の、その裏側を見ていく事に。

タイトルを見ると、何だか物凄くハートフルなイメージを持たれる方もいらっしゃいますでしょうけれども、あんまりそういうのでも無かったかな、とw
娘が六歳になりかけていて、自分は25歳。そろそろ薹が立ってくる頃かもしれませんがw まだまだ現役で特に女性だったら美しさが最大になる辺りでしょうか。

子供を作っておきながら、「まだ遊びたかった」「もっと恋愛をしたかった」と、心の中でずっと考えて、娘に対しても鬱陶しく感じ始めています。勿論、生活事情が結構苦しいという生活面からの圧迫もあるのですが、寧ろ本作の視点人物である母親は、「精神的」な面からの圧迫があり、鬱屈としているようです。

んでもって、娘をほったらかして昔の男と逢って関係を持ったり、或いは自分が勤めている会社の男性上司に言い寄られて、それはそれでまんざらで無かったり、「娘さえ居なければ、もっと素敵な人生が」なんて考え出した時点で私はかなりイライラっとしてしまいました。女はおっかねぇ、女は信用ならねぇ……w

けれども、このストーリーは最後に救いがあるんですよね。
遅すぎたかもしれないけれども、ちゃんと娘に対して愛情を持つようになった母親、それを描いて物語は幕を下ろします。


次に「初恋ってなんだっけ」です。
先の「ママ大好き!」とは直接的な関係こそないものの、やはりどこか内容的にリンクしているような、そういう感触がありますね。

これはブッたまげました。紹介してくれた方も仰っていましたが、女の子の危機感の無さというか、「今時の女の子」というか、そういう部分で、です。
私の知る限り、そして教育現場に居る知人から聞いた所によると、女性の初体験年齢は下降傾向にあって、今は14歳前後がかなりの割合を占めるようになったそうです。

ん? 何でそんな話をするのかって?
「初恋」というと甘酸っぱい何かをイメージするかもしれませんが、本作では、高校一年生の男の子と、中学二年生の女の子、この二人の幼なじみが付き合っているのですが、普通に肉体関係があって……という少し過激な部分もある、そういうストーリーだからです。

男の子が考えているように、「手順」を踏むって事はやっぱり大切なんですよね。
ですが、今の女の子は「付き合う」=「肉体関係」と直結している、という描写が出てきて、物語としての「フィクション」というかね、「誇張」の部分であって欲しいなぁ、と願いつつも、仄聞する所によると、やっぱりそういう傾向はあるみたい(なんかもう私としては、信じたくない、という感じなんですが)。

で、案の定男の子は女の子から「生理がこない」と云われて……。
あんまり説教するのは厭なんだけれど、責任を取れる年齢ではないのに、そういう事をするの、ホントやめて下さいよ。

でも、でも、当の女の子は、何だか妙にぽやーっとしていて、全然現実的な危機感を感じていないというか、「良くあること」的な感覚として捉えているあたりが、なんとも、ね……。
兎も角、妊娠という現実の前に、男の子は苦悩して、あれこれ調べて「命」の意味とか、「命の尊さ」みたいなものを体感する、という感じになっています。
現代的な考え方では、精子が卵子に着床した段階を以て「生命の始まり」と見るようですから、「命を生み出す」という行為については、もっとみんな真剣に考えてもいいんじゃないかと思うわけです。
本作では、女の子だけじゃなくて、それに応じてしまう男の子も十分悪いと思う……。いくらなんでも高校生が中学生と、ってのは、どうなのかなぁ? と思わなくもない。

で、色々と事件があって、ちょっと衝撃のラストがw
んー、こういう感覚は、本当に現実のものであって欲しくなくて、又、もし現実にあったとしても極々一部の人の感覚であって欲しいなぁ、と思います。
そうそう、例によって余計な突っ込みをしますけれども、やっぱり「!」「?」の後は一字空けをした方が良いんじゃないかな??


ただ、ね、本作って二つのお話、どれも結構考えさせられるというか、そういう面が凄くあるのではないでしょうか? 寧ろ、若い方がプレイして色々考える材料になりうる、そういう作品だと思っています。
そういう意味で、あんまりスッキリとした感じこそないのですが、心にしこりを残すような、そういう考えさせるものになっていたかな、と。

気になった点は、やっぱり、出てくる女性キャラがみんな(と云っても、本ヴァージョンでは二人ですが。あっ、カフェのお姉さんはカウントしていません)ちょっと、アレな感じで、私は結構イライラっとしてしまいました。
「2009年現在の現実」ってのは、こういうもんなのかなぁ? なんて少し寂しい気持ちになったりしましたよ。でも、だからこそ若い方にはプレイして、何かの考える材料にしてもらったら良いんじゃないかな、と思うわけです。

カフェの設定自体は、非常にゆかしいものですし、後書きを読んでみると、まだ「お話」が追加されるようですし、次のお話は、ちょっと毛色が変わったものになるという事で、期待しています。本当は、もう少し「お話」が揃った段階でプレイしてみるともっと色々見えてくるものがあると思うのですが、現段階ではこんな所でしょうか?


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-04-28 22:07 | サウンドノベル


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