久住女中本舗

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2009年 05月 09日

フリーサウンドノベルレビュー 『はなしぐれ』

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今日の副題 「ちょっと新鮮女性向け」

ジャンル:女性向け平安時代アドベンチャー(?)
プレイ時間:1ルート20~25分程度。全てのルートを見ても小一時間くらい。
その他:選択肢アリ、大凡四つのエンドに分岐(一応全部で六つありますが、バッドエンドっぽいものは除外してカウントしています。)。
システム:LiveMaker

制作年:2009/4/1
容量(圧縮時):7.44MB



道玄斎です、こんばんは。
予告通り、久々のゲームプレイ。あれから眠くて眠くて、コンビニ行ってもおつりを落とすは、買ったモノを落とすはで、結構フラフラでした。けれども、よくよく考えてみたら、「本人である所の私が『眠りたい』と思う時に眠られず、『起きていたい』と思う時に死ぬ程眠くなる」というのは、何だか頭にきませんか?w
結局、眠れないのも、又眠くなるのも自分のせいであるわけですが、「俺の主導権は俺が握るのだ……」と、何故か自分への対抗心を燃やして「絶対に、許容出来る時間が来るまでは目をつぶらない……」と頑張っています。あと数時間乗り切れば、大手を振って眠ることが出来そう。
そんな中、久々にゲームをプレイしたわけですが、シンプルな作りですが、結構面白くて色々と気付かされた作品のご紹介。
というわけで、今回は「red planet」さんの『はなしぐれ』です。
良かった点

・女性向けゲームのオイシイ所に気付かされる心中描写。

・意外と遊びでがある。共通部分が多いのに、満足感が。その辺の処理も上手いのでは?


気になった点

・選択肢が割りと多めなので、既読スキップのあらましかば……。

・ちょいと、浮いてるエンドがw

ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
「だからな、あやね。お前の結婚相手が決まったぞ!」
兄から突然言い渡された結婚。
もちろん、相手のことなんかこれっぽっちも知らない。
「いやだ。橘がいねぇとつまんねぇもん」
このままでは、心の支えである友人とも会えなくなる。
「そりゃ、私だっていやよ。だから…」
兄の言葉に従い結婚するか。友の手を取り、逃げ出すか。
タイムリミットまで、あと四日。

こんなストーリーになっています。

平安時代(だよね?)のお姫様あやねがヒロインです。
史実のお姫様宜しく、いつの間にか結婚相手が決定した、とそこから物語が始まります。

完全な政略結婚の場合、本人がまだ幼い内から、結婚相手なんて決まってしまう場合もあり、又、通常の(?)恋愛的な手順であっても、手紙のやりとりでコミュニケーションは実は完結してしまいます。
ですから、この時代の結婚って、「相手の顔を見る時が、結婚する時」なんですよね。尤も、こうした事って割と近年まで行われていたようですよ?

さて、本作の場合、姫君の父は既に他界してしまっています。
よって、姫君の将来の決定権を持っているのは彼女の兄貴。本当は、それ相応の地位にいる父親がいないと、中々結婚とか厳しいんですが、ゲームですから、そこまで気にする事はないでせう。
その兄貴が、自分の知り合いと妹との縁談をいつのまにか取り決めてしまった、という訳です。

以前、似たようなテイストの作品もプレイした事があるのですが、本作の方がより積極的に、その時代の風習なんかを取り入れているような感触ですね。
例えば、「女性は名前が分からない」(分かる人もいるんですけれどもね)というような事を上手く、恋愛のシナリオの中に入れていたり、「三日夜餅」の風習なんてのもさりげなく出して、世界観の根底を固めている感じ。

所で、「三日夜餅」なんですが、ご存じでしょうか? 本作では「三日餅」と表記されていましたが、多分……一般的には「三日夜餅」(=みかよのもち)と表記するんじゃないかな?
まぁ、つまり、当時、結婚が決定すると、男が女性の家に三日連続で通い詰めるんです。や、勿論姫君の寝所に、なんですが……。
で、その三日目に結婚の儀式終了的な意味合いを込めて、新婚の二人はお餅を食べる。そんな風習の事です。

ぱっと思いつく限りだと、『源氏物語』でも紫の上(まだ幼女です)と(半ば強引に)契りを結んだ光源氏は、ちゃんとお餅の手配をして、紫の上のお付きの女房は「そこまでちゃんとして下さるなんて……」的にちょっと感動するシーンがありますよね。
他にも、そうね……。ツンデレ? 若しくはヤンデレっぽい作品だと『蜻蛉日記』という作品があります。これは日記なんですが、日記の著者である所の右大将道綱の母は、藤原兼家という人と結婚します。だけど、この人、悪い癖がありまして、「奥さんが妊娠すると別の女と浮気する」というとんでもねーヤツw
そんな彼の浮気を示唆する場面として「三日続けて来ない日があった」なんて記述があったかと思います。これは、自分の夫が、他の女の元に三日連続で通い詰めた、という事を意味しているわけですね。

っと、久々に脱線多めになってしまいました。
ともあれ、結構、頑張って「リアル」な要素を入れようとしているなぁ、と思いましたね。
一方で、本当にリアルにしちゃうと、トキメキ的な要素はゼロになってしまいますからw 当然ギミックというか、そういうものも。例えば、ヒロインは、割とお転婆な感じがありますし、町娘に変装しちゃうし、森に遊びに行ってしまったりします。けれども、それは「ゲーム」である以上必然性がありますし、ヒロインは魅力的なんですよね。

で、作品を大きな流れで捉えると、兄貴が決めてきた結婚相手の「清原さん」のルートか、森にいるちょっとワイルドな男の子「てんじ」のルート。この二つの大きなルートがあり、それに追加して二つ、派生エンドがある、という考え方が分かりやすいと思います。
個人的には、「清原さん」のルートの方が一番好き、かな?


さて、本作、私があまりプレイしない「女性向け」で、当然シナリオをお書きの方も女性だと思われます。
今回、ちょっと吃驚したのは、恋愛の描写だったり、或いは女性の心中表現、心中描写が普段プレイしている「男性向け」のそれとはかなり異なっていた事です。
数こそ少ないですが、女性向けも何作かプレイしていますし、ここでご紹介した事もありました。しかし、恋愛的な描写は、あんまり男性向けと変わりないというか、そういう部分で引っかかる事はそこまで無かったんですね。
だけれども、今回、プレイして「何か、ちょっといいんじゃない?」と感じてしまったのでした。

女性の内面っていうか、急に結婚が決まって揺れ動く心とか、期待と戸惑いなんかの感情が混ざり合っているような、そういう複雑な乙女心の描写に割と筆を割いて丁寧に描いている印象を持ちました。
だから、凄く新鮮で、特に「清原さん」のエンドなんて、かなりセンシティブっていうか、ちょっと男性向けの恋愛作品には無い感じでとっても良かったです。途中で挟まれるエピソードは割と男性向けでもお馴染みの云ってしまえばベタな感じ。だけれどもそれが妙に新鮮に映りました。単純に男女が逆になっている、という事もあると思いますけど、やっぱり書き手の性別が影響している所も大きいんじゃないかな。やっぱりヒロイン視点ですから、そこで男性では描けないような描写や心中表現が行われると、「いつものアレ」がかなり化けますね。
女性向けの作品も、まだまだ研究の余地がありそうな……。
正直、色々と気付かされましたね。


メインのヒロインならぬヒーローは「清原さん」か「てんじ」の二人なので、お好みの方から攻略してみて下さい。
ちなみに、選択肢が若干多めです。ただ、そこまで複雑なものではないので、恐らくこの二人のエンドは問題なく見られると思いますよ。
問題は、サブのエンドというか、そういうヤツです。ちょっとそこに遊び的な要素を入れているのかな? というのは分かるのですが、「それはないだろ~」と云いたいようなエンドが一個あってw 是非、どんなエンドか確かめて下さい。あと既読スキップがちゃんと付いていると、もっと円滑にプレイが出来そう。
兎に角、選択肢が出たらかたっぱしから、セーブして、二回目に別の選択肢を試してみる、と何度かやればすぐにこれらのルートに入れると思います。
ネタバレはしないでおきます故、是非ご自身でどんなエンドなのか見てみて下さい。
あと気になった点を敢えて挙げるならば「雰囲気作り」の為と思しいのですが、結構難解な漢字とかもルビ無しで使っていらっしゃいます。例えば「囀る」とかね。もうちょっと漢字を開いてもいいかな? という気がしないでもない。


たまに女性向けのゲームをプレイする事で、色々と気がつく事もあると思うので、何か面白そうな女性向け作品があったら教えて下さい。ちょっと女性向けの恋愛モノ、侮れないですねぇ。


女性は勿論、男性にもプレイして貰いたい作品です。
或る意味でベタベタな所もあるのですが、時代設定が平安時代っぽいという事や、女性の心中表現の可能性が見えてきたりして、ちょっと新鮮な印象でした。
色々参考になると思いますし、尺自体は割と短めで、結構共通部分が多いのにも関わらず、遊びでもあって、ストーリー分岐なんかも意外と上手いんじゃないでしょうか?
気になったら是非是非。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-05-09 18:29 | サウンドノベル | Comments(0)


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