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2009年 09月 20日

フリーサウンドノベルレビュー 『さよなら C.C Summer Days』

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今日の副題 「病弱妹モノでも爽やかな読了感」

ジャンル:病弱な妹と、医者の兄貴の感動ストーリー(?)
プレイ時間:1時間半くらい。
その他:選択肢アリ。いくつかエンドが分岐。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2009/8/26
容量(圧縮時):44.4MB



道玄斎です、こんばんは。
今日はこっそり江ノ島とかに行ってきた訳ですが、少し日に焼けてしまったのかどうか心配しています。
で、昨日からちょこちょこっとプレイしていた作品を先ほど読了したので早速レビューを。
というわけで、「ヨーグルシンジケート」さんの『さよなら C.C Summer Days』です。
良かった点

・タイトルが秀逸。思わずプレイしたくなるような、タイトルではないかと。

・「見せ方」が上手い。作り慣れている感がヒシヒシと。


気になった点

・奈津希がもうちょっと、ストーリーの中に深く関わってきても良かったのでは?

・後書きを見ると、感動が半減しますw

ストーリーは、ベクターの紹介文の方から引用しておきましょう。
舞台は小さな地方都市。
そこに、仲の良い兄妹がいた。
妹は、小さい頃から身体が弱く、
兄は、そんな妹の為に医者になった。

「僕が医者になって必ず治してやる」

これは、17回目の夏を迎える兄妹と、
町を訪れた少女とが織りなす幾重もの約束の物語――。

こんな感じです。


病弱な妹モノ、なんて聞くと、それだけで何となくラストまで予想できちゃう所があるわけですが、良い意味での「期待通り」の部分、そして「他の病弱妹モノとの差異」がちゃんと存在していて、バランスが凄く良かったですね。

そして、タイトルが個人的にかなりヒットでした。
なかなかこんなタイトル、出てこないんじゃないでしょうか? ちょっと大島弓子的な気配があって、こういうタイトルワーク凄く好きです。

さて、ストーリーを補足しつつ、解説めいた事を書いていきましょう。
割とオーソドックスな「病弱妹モノ」のそれと同様に、妹つぐみは幼い頃から病に臥していて、命の危険が。で、そんな彼女を助けるため、幼い頃から医者を目指した兄貴である所の譲。
そして、つぐみの臓器提供者となった奈津希。
この三人が、主要人物っていう事でいいのかな? 譲の同僚の医者とか、つぐみと譲の父親とか、サブキャラも結構充実しています。

本作のオイシイ所は、つぐみの臓器提供者たる奈津希の存在でしょう。
ネタバレしちゃうと、美味しさが半減してしまうので、敢えて伏せておきますが、オリジナリティのある設定で、私はアリだと思いました。
んが、かなり奈津希っていうのは重要人物なんですが、今ひとつ、ストーリーにガツンと関わってこないような感触があるのも確か。キャラとしてのオリジナリティや設定上の重要性もあるのに、基本、つぐみと譲のちょっとアブナイ(?)兄弟愛の比重が高め。俗っぽい云い方をすれば、つぐみはブラコンで、譲はシスコンな訳ですw
ただ、やっぱり奈津希をもうちょっと、ストーリーの中に積極的に関わらせていけたら、全体としての纏まりももっと良くなったんじゃないかな、と愚案する次第。

舞台は……熊本あたりかな?
後半に出てくる、名所みたいな場所は確か熊本にあったハズなので。

そういえば、この作者様の持ち味もちゃんと生きています。
割と、今まで「独特な勢いで迫ってくるネタ」が、作品の中核になっていて、本作ではそうした部分が作品の性格上、かなり薄くなっていました。
が、抑えても抑えきれない何かってのが、個性ってもんでして、やっぱり所々に、キラリと光る、この作者様ならではのネタが散りばめられていますw

一個だけ、ネタを紹介しておきましょう。ノベルゲームそのもの、に関係があるしね。
というのは、つぐみと譲がデートというか、ちょっと二人で街に出かけるシーンがあるのですが、映画館で上演されている映画に何と、『OH!威信慕』がw
「本当のクソゲー」と自ら語る、この作品、ノベルゲームファンなら、きっと一度はプレイした事があるハズ(?)。
一応、未プレイの方向けに書いておきますが、『OH!威信慕』は「おーいしんぼ」と読みますw そう、あの料理屋に行く度にいちゃもんを付ける、新聞社の駄目社員が主人公のあのマンガのパロディです。
個人的には、10巻くらいまでの、誰彼構わず攻撃的になって文句を付ける山岡さんが好きだったのですが、巻数を重ねるにつれ、彼は大人しくなってしまいましたw 最初は「単に厭なヤツ」だった山岡さんの実のオヤジこと海原雄山も、いつのまにか「大物」的なキャラに。って、これは元ネタの『美味しんぼ』の方ですねw

そういえば、この作者様は本作で三作目、でしょうか?
やっぱり、積み上げてきた蓄積、と云ったものをプレイしながら感じました。
「見せ方」っていうのかな? そこらへんが凄くツボを突いていて、「作り慣れている」感触があります。

画面を見れば分かるように、画面下部に会話ウインドウが表示され、そこに台詞や地書きが表示されるオーソドックスなスタイル。なんですが、一行30字くらいと割と長目なのに、テンポ良く読んでいく事が出来るのです。改行や、上限が「三行」程度で抑えられている事、なんかが関係しているわけですが、意外と、そういう「読みやすさ」みたいなものって重要ですからねぇ。
ちなみに、こうしたオーソドックスな文章表示にプラスして、画面全体を使い、上から文字を表示していく、所謂ビジュアルノベル方式も織り交ぜられ、それが効果的に作用していたり。そういう部分の作りは、凄く上手だと思います。


そういえば、タイトル画面。
右下にチェックボックスが……。これをチェックしてオンにしておくと、随所に相当アレなギャグが盛り込まれた作風に変化しますw このチェックボックスをオンにしないと、CGはコンプリート出来ないので、是非普通に読了した後、オマケの感覚でオンにして遊んでみて下さい。

普通に、爽やかで良い作品だったわけですけれども、後書きを読むと、結構冷めてしまいますw
リアルで妹が居ても、そんなに良いことはない、と作者様には是非お伝えしたいw


タイトルが示すように、夏が終わり、秋になるまさに今の季節がプレイにはぴったりじゃないでしょうか?
夏の余韻を持たせつつも、爽やかな秋風を感じるような作品でした。是非プレイしてみて下さい。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-09-20 17:58 | サウンドノベル | Comments(0)


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