久住女中本舗

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2009年 10月 09日

フリーサウンドノベルレビュー 『ちょこっとループ』

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今日の副題 「なかなかイカすループモノ」

※吟醸
ジャンル:バレンタインをテーマにしたギャルゲ(?)
プレイ時間:1時間くらい。
その他:選択肢アリ、バッドエンドも。1ルートのみ存在。
システム:NScripter

制作年:2009/2/14(?)
容量(圧縮時):14.6MB




道玄斎です、こんばんは。
台風が去った後、物凄く爽やかな日の光が差してきてびっくりした訳ですが、皆様は如何お過ごしでしょうか? 今日はかなり季節が外れてしまいますが、或る意味で「定番」のバレンタインモノをプレイしてみました。一時間くらいの短い作品ですが、ちょっとした小技が効いていたので吟醸に。
というわけで、今回は「ちょこっとループ製作委員会」さんの『ちょこっとループ』です。例によってVIP発のゲームになります。制作サイトが見つからない為、100%ふりげストアのリンクを張っておきます。
良かった点

・或る意味で使い古された「ループ」の使い方が上手い。

・意外と良く練られたシナリオ。


気になった点

・ユウの存在がちょっと曖昧だったかも。

・1ルートのみならば、他のヒロインっぽいキャラは出てこなくても良かったかも。

ストーリーは、100%ふりげストアの説明文から引用しておきましょう。
年齢=彼女いない暦の主人公は、親からしかチョコをもらったことがない寂しい高校生。
2月14日のバレンタインデー、彼は周囲の浮いた空気を恨めしく思いながら、下を向いて過ごしていた。
『バレンタインデーなんてなくなればいいのに』
そんな彼が呟いたささやかな願いが、大きな異変を引き起こす引き金になる!?

こんな感じのストーリーになっています。
バレンタインをテーマにしたVIP発のゲームという事でしたが、例によってかなり楽しめました。大凡、VIP発のゲームは奇を衒ったものよりも、「良くある」タイプの作品を突き詰めて、ハイクオリティにしていくというスタンスが多いような気がしますね。

本作も、大枠だけを見れば、「バレンタインだけれども、チョコを一つも貰えない非モテ系の主人公がアクセクする」という感じで、枠組みだけ見れば割と良くあるタイプの作品です。
ですが、タイトルにもあるように「ループ」という小道具、そして主人公の内的な成長がキチンと描かれていたので、良い作品に仕上がっていたんじゃないかな、と思います。

ループの使い方も、ちょっと新しい感じがします。
ループは割と、伝奇作品に使われることが多いのですが、延々と繰り返すバレンタインデーという、あまりお目に掛かった事のないループの設定で新鮮でした。
ループが出てくる際、(特に伝奇なんかだと)キャラクターはすぐにループに気がつかない事があります。何度かループする事で、初めて気がつく、みたいな。だけれども、本作は、かなりあっさり主人公がループに気づいてしまいますし、積極的に「ループを利用」しようとします。ループを利用して経験値を貯めたり、「駄目な選択肢」を見破ったり、というのは一般的ですけれども、こうした青春テイストの作品に出てくると、ちょっと面白いですね。


話が前後しますけれども、起動してプレイしてみると、何だか主人公が妙に卑屈である事に気がつきますw
もしかするとノベルゲーム史上最も卑屈な主人公かもしれないw 主人公が卑屈なだけじゃなくって、ゲームの始発部分というかイントロも妙に哀愁を帯びていたりして。
けど、こうした主人公の持つ劣等感が、作品を通して解消されていくわけで、後半やラストではかなりグーな展開を見せたりもします。ちゃんと主人公である望が、自分のコンプレックスを自覚して、それを「乗り越えよう」とループを利用して奮闘するのです。

ですから、ラストは良い意味で予想を裏切ってくれるものになっていましたよ?
何だかんだで、ちゃっかり彼女を作っちゃったり、チョコレートを呉れる女の子が出てきちゃったり、というのではなくて、勇気を出して一歩踏み込む事で初めて得られる「暖かい気持ち」というかね、そういう部分に焦点が移るので、ご都合主義を越えて、納得感のあるエンドだったな、と。

ちなみに、久々の脱線ですが、作中に出てくる「チョコレートカレー」は実在します。
確か……メキシコだったかな? 昔料理の本を読んでいたらその「チョコレートカレー」が載ってたんですよね。ただ、作中に出てくるような甘ったるいカレーじゃなくて、ビターなチョコというか、カカオのパーセンテージが非常に高いチョコを使うハズなので、そこは違うわけですけれども。
その料理の本に載っていた写真が凄い美味しそうで(何かルーが凄い滑らかな感じだった)、これも一度食べてみたい料理です。
そのチョコレートカレーを作ってくれる、主人公の母親は凄い可愛いですw キモメンでならしている主人公の母親と思えないくらいに可愛い。普通にヒロインになれるようなビジュアルでした。

で、結構ミステリーな風味があったり(ちゃんと伏線が張ってあるんですけれども、結構驚きます)、主人公の内的な成長がキッチリと描かれていて好印象なのですが、気になった点も勿論あります。
先ず、主人公に取り憑いた「母親以外からチョコレートを貰った事がない」という未練で幽霊になっている「ユウ」ですw 
このユウと主人公は、言わば二人三脚の形で行動をするわけなんですが、もうちょっと、ユウの存在というか、バックグラウンドとか、そういうものが押し出されても良かったんじゃないか、と思うんですよね。
気がついたら取り憑いていて、ラストであっさりと昇天してしまうので、もうちょっと幽霊ではあるけれども「1キャラクターとしての存在感」があっても良かったかな、と。

もう一点は、実は本作は「1ルート」しか存在しない、という所に起因する問題です。
というのは、プレイすると分かるんですが、「ヒロイン候補」みたいのが何人かいるんですよ。普通だったら、選択肢の選び方によってルートが分岐して……となるハズが、実は一つのルートしかないので、「アイツは何だったんだ?」となってしまう部分が無きにしもあらず。
もしかすると、そうしたキャラが出てくるシーンはカットしてしまった方が、現段階では纏まりが良いかもしれません。


ちょっぴり甘めですけれども、後半~ラストへの流れの良さや、男気のある主人公の描写で今回は吟醸にしてみました。
季節的にズレてしまいますが、ダウンロードしておいて、それらしい季節になってプレイする、というのもアリですよね。バレンタインに鬱屈とした想いを抱えている方は、是非プレイしてみて下さいw


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-10-09 00:41 | サウンドノベル


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