2009年 10月 19日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『僕の愛する三匹』

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道玄斎です、こんばんは。
実は、ちょっと風邪気味です。頭が重たくてそれでいて、妙にフワフワしていて。
なんか重たい作品をプレイするよりは、具合の悪い気分を少し爽やかにしてくれるような作品を探していたら、短めのものを発見しました。
というわけで、今回は「Like a spiral staircase」さんの『僕の愛する三匹』です。


久々の(でもないか)の番外編。
尺自体も大体5分~10分程度で、本当にさっくりと読むことが出来ます。ちなみに私は6分半くらいで読了しました。

さて、作品は非常に素朴な感じのものでした。
立ち絵などもありませんし、勿論ボイスなんかも付いていません。そんな中で妙に存在感を放っていたのは実は「タイトル画面」です。ノートに書いた「小説」というか「シナリオ」のプロットと実際の文章と思しきものを写真素材として使っています。

プレイしていけば分かるのですが、本作に急に出てくる「動物」は比喩、ですよね。
それはアイデアだったりキャラクターだったりの、という事ですが、詰まるところ、本作は「(ストーリー性を持った)文章を綴る事」について述べた作品だったという事に。
だからこそ、ノートのタイトル画面画像が付いていたのでした。

脱線ですけれども、何かを書いたりする際、2009年の現在ではやっぱりパソコンのテキストエディタやワープロソフトを利用する事が圧倒的に多い。ですけれども、アナログで作業をする事の利点というのも、実はあるんですよね。
一つは誤字脱字の問題。
校正というお仕事(というか作業)があって、デジタルで書いたもの(でも)を一回アナログに出力して、人力で誤字や脱字を見つけていく作業です。私も何度かやった事があります。三段階くらい掛けて校正は行われるんですが、編集さんが校正してくれる場合と、著者が行う所謂著者校正の二つのフェーズがある、という感じ。
一字一句、文字を見ながら赤ペン片手に作業していくんですけれども、結構楽しいんですよ。誤字を見つけたら赤ペンで消して、正しい字を書き込んでおく。或いは何だか無意味に挿入されている接続詞なんかがあれば、やっぱり赤ペンで消して「トルツメ」とか書いておく。トルツメは「(その文字/言葉を)取って、(字間を)詰める」という事ですね。
「校正記号表」なんてのを傍らに置きつつ作業するわけですが、実際は、そこまで厳密に校正記号を使わない事もあるみたい。結局、「分かればいい」というような部分があって、現場によって違いはあると思いますが、意外と曖昧だったりして。

で、今ある出版物の殆ど全てがこうした校正作業を経て、世の中に出回っています。
これはデジタル全盛の時代であってもやっぱり、「人力」のアナログ的な方法が有効だという一つの証明でしょう。ですので、ノベルゲームを創る際でも、意外とアナログに出力して人力で見直す、というのは有効な手段なんじゃないかと私は思っています。ワープロソフトに貼り付けて「校正機能」を使うってのもアリですけれども、やっぱり最終的には人力が一番かな? っと。


滅茶苦茶脱線してしまいましたが、肝心の中身の方にも踏み込んでおきましょう。
まぁ、5分で読めちゃいますから、凄くドラマティックな展開を見せるとか、そうした事はなくて、ストンと読めてストンと入ってくる、という感触。
アイデアなりキャラクターなりを、人語を話す動物に準えるというのが本作のオイシイ所。どんなものであれ、何かを書いたり、或いは書かされたりする場合って、「アイデア」をどうするか、という所に最終的には行き着くわけで、「このアイデアでいいのかな?」「こっちの方がいいかな?」と、試行錯誤したりする経験、きっと誰でもあるでしょう。
ウンウンと唸りながらネタをヒネリだそうとする時に、頭の中に出てくる一つのアイデア。これはもう、堪らなく愛おしいものだったりするんですが、実を云えば複数思い浮かぶアイデアの中から「どれを捨てるのか」というジャッジが一番大事なのかもしれない、と考える今日この頃。

一方で、そのアイデアの「タネ」がちゃんとした形を取るまでに、熟成させる事も大事。人間ってのは悲しいもので、こうしたアイデアのタネは殆どの場合「土壇場」にならないと、何かしらの形を取らないので……。
けれども、そうした「本当にイケるのかどうか分からないアイデア」を慈しんで、「育ててやる」というのは凄く人間臭くて良いものです。

そんな、「何かを書く」人間にとって、その創作過程みたいなものを独自の切り口で描いた作品、という感じでした。今、何かを書いていて、だけれども「このままでいいのか?」と悩んでいる人はちょっぴり勇気が貰えるかもしれません。


ちなみに、地の分とカギ括弧で括られた会話文の間に、ブランク行があるとノベルゲームという体裁では読みやすいかもしれません。
例えば……。


その時、俺は道ばたに落ちている今川焼きを見つけた。
なぜ、こんな所に今川焼きが落ちているのか? 
なぜ、車にひかれず綺麗な円形を保っているのか? 
様々な疑問が頭を過ぎるが、今川焼きは俺の大好物だ。幸い辺りに人影はない。こっそり取って喰ったとしても誰からも文句を云われることはないだろう。よし……。


「今川焼きゲェッット!!」

「待ちなっ!」

「!?」

「その今川焼きは俺のもんだ。返してもらおうか」


振り返ると、上下ジャージの体育教師みたいな格好をした男が俺を睨みつけている。
こいつがこの今川焼きの落とし主か? 



みたいな。
ちょっと風邪気味とは云え、酷い文章ですけれどもw

ともあれ、地の文と「」の間に一行間が空いてたりすると、ビジュアルノベルタイプの作品では読みやすさが変わるような気がします。ここでは地の文と「」の間に二行開けて、「」と「」の間は一行空けています。
実際にスクリプトを当てはめてみて、読みやすい形にして「見せる」というのも大事なので、色々試してみる価値はあるかも。


んー、今日は番外編なのに凄い長くなってしまいました。
さっくり読めて、ちょっと我が身を振り返る事の出来るような、そんな作品をお探しの方はプレイしてみて下さい。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-10-19 19:23 | サウンドノベル | Comments(2)
Commented by 九州壇氏 at 2009-10-19 22:51 x
「僕の愛する三匹」の製作者で、九州壇氏と申します。この度はレビューを書いてくださり、ありがとうございました。
サウンドノベルファンである僕は、道玄斎さんとNaGISAさんのHPを毎日チェックしております。道玄斎さんの、あらゆる方向に脱線していく文章は実に楽しいです。(もちろん、皮肉ではありませんよw)
そんな憧れの道玄斎さんに、まさか自分の拙い作品を取り上げていただけるとは思いませんでした。ただ今、ひとり興奮しております。アドバイスまで書いてくださり、本当にありがとうございました! 今後は気をつけたいと思います。

最近体調が優れないのでしょうか? 季節の変わり目ですので、あまり無理をなさらないようお体をご自愛ください。
すみません、興奮のあまり文章が躍っていますねw いちファンとして応援しております、今後とも宜しくお願いいたします。
では、失礼しました。
Commented by s-kuzumi at 2009-10-21 00:13
>>九州壇氏さん

こんばんは。
わざわざの書き込み有り難う御座いました。

いやぁ、なんか毎日、ここをご覧になっているようで、ホント申し訳ないというかw
最初の頃はあんまり脱線はしなかったんですけれども、いつの間にか「黙ってられない」という悪いクセが出てきて、結局それがスタイルみたいになっちゃいました……。

又、偉そうにアドバイスめいたものも書いたのですが、何かご参考になる点があれば幸いで御座います。

最近……季節の変わり目って事で微妙に風邪気味なのかなぁ? 何となくスッキリしなくって、イマイチ調子が出ませんね……。
ま、多分、あと一週間もすれば元通りになると思います。

本当にコメント有り難う御座いました。
又、お気軽に書き込みなどなさって下さいませ。


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