2009年 11月 08日

フリーサウンドノベルレビュー 『STR』

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今日の副題 「実は割とSFしてます」

ジャンル:SFノベルゲーム(?)
プレイ時間:30分程度。
その他:選択肢無し、一本道。
システム:NScripter

制作年:2009/10/25
容量(圧縮時):33.4MB



道玄斎です、こんばんは。
初恋、そして失恋(?)の記録を書いて消耗した気力が再び戻ってきた為、今日も一本作品をプレイしました。最初はてっきり恋愛系のものだと思っていたら、実は凄くSFっぽい部分があって、ちょっとした感動モノになっていました。
というわけで、今回は「イノセントウイングス」さんの『STR』です。
良かった点

・一本の作品としてしっかり纏まっており、何気ない描写が後半で活きてきたりする。


気になった点

・後半がやや展開が急だったかも。

大凡、こんな所でしょうか。
ストーリーは、フリーゲーム総合サイトの方から引用しておきましょう。
拝啓 父さん、母さん。
情報関係の高等学校に入るために、一人暮らしを始めはや二年。
そんな俺の家に、今日から同棲生活を始める彼女ができます。

最高の女の子と同棲を始める日のこと。
放課後居残りをさせられた主人公は、急ぎつつも落ち着きながら帰宅をしていた。
自分の家まであと少しというところで、主人公は何か違和感を覚える。

そして彼の目に入ってきたのは、青の縞模様であった。

こんな感じのストーリーになっています。


てっきり、この紹介文を見て「恋愛ものかな?」と思ってしまったわけですが、どちらかと云えばSFチックな作品でした。ハードSFっていう感じではないですよ。「ノベルゲームらしいSF」って感じですね。

主人公は、情報処理関係のスペシャリスト育成の為の学校に通っている学生。
父親が凄いプログラマーであり、自身も幼い頃からプログラムに慣れ親しんでおり、自分の為の「理想の女の子ツクール」なる自作プログラムを組んでいます。所謂AIですね。
やっと、その「理想の女の子ツクール」を組み上げ、その起動式を自宅にて行おうと思っていた所に、空から女の子が降ってきて……。

ストーリーを補足しておくと、こういう感じの作品です。
少し以前ご紹介した事のある『1980円の君』に似ている部分がありますね。
で、空から降ってきた女の子は、実はAI搭載のアンドロイドで、緊急のデータ避難として主人公の持っていたノートパソコン、そしてその中に収まっている「理想の女の子ツクール」と合体してしまいます。
で、その女の子、ステラを狙う組織があるようで、否応無しに主人公はそれに巻き込まれていく、という、そういうちょっとSFチックなテイストになっていました。

ここまで来て、タイトルの『STR』ってのはステラのコードネームである事が判明。
関数の「str」と掛けている部分もあるのかもしれませんね。

ネタバレしちゃうと良くなさそうなので、ぼかしてぼかして書きますけれども、否応無しにステラを巡る争いに巻き込まれた主人公は、ステラと共に彼女を自由にする為に奔走していきます。
実際、30分程度ですから、そんなに逃亡劇が繰り広げられるとかでもないんですけれどもね。

本作で、「お!」と思ったのは、冒頭部分の何てことない所で語られる、設定というか、さりげない文章が、後半にちゃんと活きている、という所でした。伏線って訳でもないけれども、これは、なかなか読んでいて気持ちの良い綺麗なものだったんじゃないでしょうか。
「ここでアレが活きてるのか!」と素直に上手い! と思いました。


SFチックと書きましたが、やっぱり恋愛的な要素もちゃんとあります。
人間とAIの恋愛という事で、それって恋愛? それともSF?w まぁ、こういう作品の王道ではあるのですが、テンポも良いですし、作品を引っ張っていく力もあったので、すいすいと読んでいけます。

一方で、気になったのは、後半部分のやや性急な描写でした。
例によって、「もう少し、恋愛に至るまでの必然性」があっても良かったのかなぁ、という所ですね。個人的な意見としては、もう少し、主人公及びステラの逃走劇に時間を割いて、二人の中を進展させるような、そういう描写があっても良かったかな、と。
実は、先にも述べた「冒頭部を活かすイベント」が、それに相当するわけですが、もう少し、二人の距離が縮まっていく描写があると、より説得力が増すように感じました。
つまり、ラストのちょい手前でもう少し、主人公やステラの関係の積み上げや、それぞれのパーソナリティに関わる問題なんかを出すとラストも一段と感動出来ると思います。やっぱり、AIに恋する事、みたいな部分は作中でもチラリと触れていましたが、結構難しいというか難儀というか、茨の道なわけで、人間がAIに恋するのと同様にAIが人間に恋をするとはどういう事か、みたいな所まで踏み込めたら、きっと尺が長くなってしまいますが、よりオリジナリティみたいな部分が出てきたんじゃないかなぁ、と愚案する次第です。

そういう意味で、後半がやや性急だったかな? という感じ。
ただ、中々30分の作品としてはギュッと中身が詰まっていた感じもしますし、作品を引っ張っていくような、ある種の力強さも感じました。

そういえば、本作、どうやら14日、つまり二週間というリミットの中で制作されたものらしいです。
正直、それは凄いですよね。短編作品として普通に、そして綺麗に纏まっていますし、立ち絵・一枚絵だって付いてくる。
そんな訳ですから、あまりあれこれ云うのは無粋なのかもしれませんね。


少しSFチックな恋愛モノです。
プレイしやすいと思うので、SFファンは勿論の事、ちょっと気になった方も是非プレイしてみて下さい。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-11-08 20:50 | サウンドノベル | Comments(0)


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