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2009年 11月 20日

フリーサウンドノベルレビュー 『夏色のコントラスト』

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今日の副題 「優しい夏の優しい思い出」

※吟醸
ジャンル:夏の爽やか青春ノベル(?)
プレイ時間:本編20分、オマケを入れて25分程度。
その他:選択肢無し、一本道。
システム:NScripter

制作年:2009/11/13
容量(圧縮時):27.7MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は少し季節がズレてしまっていますけれども、凄く爽やかな「夏色青春ノベル」って感じの作品をご紹介。
というわけで、今回は「Fly me to the sky」さんの『夏色のコントラスト』です。
良かった点

・画像や音楽、テキストが綺麗に纏まり、夏特有の雰囲気が描き出されている。

・ヒロイン(?)の弟、健児がいい味出してます。


気になった点

・そんなにストーリー的に起伏があるわけではない。

ストーリーは、ちょっと長いですけれども、ベクターの紹介文から引用しておきましょう。
高校2年の夏休み。
中学の時にクラスメイトだった女の子から
暑中見舞いが届いた。

そこに描かれていたのは色鮮やかなヒマワリ。
ふと、あの頃の記憶がよみがえる。

美術室の匂い。
使い慣れた絵筆の感触。
指先にこびりついた絵の具の汚れ。
波の音、潮の香り。

難しいことを考えなくても、
穏やかに過ぎていた時間。

その夜。
僕は、ハガキを片手に受話器へと手を伸ばす。

そして――

そして、僕は一人、
海へと向かう列車に乗っている。

夏休み。
再会からはじまる、小さな出発の物語。

こんな感じ。

さて、本作『夏色のコントラスト』は、『弥生桜の空に笑え!』と同じ、例の短編連作企画の一つとして作られた作品のようです。『弥生桜~』が三月分、そして本作が八月分という事になりますね。

実は、この作者様の『Beyond the summer』とか『Begin with you!』とか既にプレイ済みです(かなり前に、ですけれど)。
ノベルゲームファンだったら、きっとプレイした事があるであろう名作なんですが、何となく個人的な印象では、「立ち絵などの力に頼らない文章で魅せるタイプ」がお得意なのではないかと思っています。

とは云うものの、背景素材の活かし方なんかは凄く上手で、テキストそのものをフォローしたり、空気感を演出したりと、かなりの熟練が必要なテクがさらりと使われていて、独特の存在感があります。
特に、空気感の演出が凄くいいんですよね。本作に於いても、爽やかな夏の空気感が作品の魅力になっていました。

ちなみに、本作は立ち絵、一枚絵付き。
可愛らしいイラストが付いていて、一枚絵のスクリーンショットを載せようかな? と最初思ったのですけれども、本作の雰囲気を一枚の絵で感じ取って貰うとするならば、タイトル画面が一番いいんじゃないかな? と思い、そのようにしました。
基本、スクリーンショットを撮る時は、「最初に出てくる一枚絵」を使う事が多いです。ただ、最初の一枚がギャグっぽかったり、敢えて崩して描かれているような時には、もうちょっと作品内容と絡み合った一枚絵を選択したり、はたまた今回のように、タイトル画面を使ってしまったり、なんて事をします。


話を戻しましょう。
何て云うか、兎に角「夏らしい」良い雰囲気の作品でした。今はもう冬ですけれども、夏の真っ盛りにプレイしたら、きっと又違った感触を感じられそうな、そういう感じ。
テキストも丁寧で、くどさや厭味がなく、そうした基盤の上にやはり夏を感じさせる音楽や、背景、そして立ち絵や一枚絵が載っかり、作品世界が十全に表現されていたんじゃないでしょうか。

ストーリー自体は、少し青臭い部分はあるものの、それを込みですんなり受け止められるような、そういう優しい手触り。
特筆すべきは、主人公広瀬君とヒロイン(?)めぐみちゃん、ではなくてめぐみの弟の健児です。
ともすれば、割と淡々と流れていきそうな広瀬とめぐみの関係を、田舎の子供らしい純朴さを見せつつも、絶妙なタイミングで後押ししてくれる、健児のキャラクターに好感が持てました。
又、おまけストーリーでも、かなり美味しい所をもっていくキャラですよねw ともあれ、健児がストーリーを上手に持ち上げて進展させていくような感触があって、良いキャラクターメイキングだったと思います。


そうそう、ストーリーそのものに、凄い起伏があって、とかそういうタイプじゃないんですよね。
ちゃんと流れはありますけれども、どちらかと云えば、どこか淡くて、それでいて夏の明るさやその陰影を感じさせるような、そういう雰囲気重視のように個人的には感じました。
ここらへんは、結構好みの問題かもしれませんが、もうちょいラストに盛り上がり的なものがあっても良かったかな、と。
懐かしの女の子と再開して、夏の間に恋愛して、みたいなタイプとは違って、もうちょっとエモーショナルというか、滋味溢れるタイプの作品。

他に、敢えて気になった点をあげるとすれば、「立ち絵・一枚絵が無くても良かったのかも?」という素朴な実感があったりします。
いや、先にも書きました通り、イラスト自体は凄く可愛らしいんですけれども、何となく個人的な感触としてはテキストや背景なんかだけの方が、より「らしい」感じになったんじゃないかな? という気がしないでもない。ただ、これも企画として、立ち絵・一枚絵込みでしたから、そんな事を云うのは、そもそも変な事かもしれないのですが……。


プレイ時間は大体20~25分くらい。
素敵な作品だと思いますし、「恋愛恋愛」しているタイプに食傷気味の方は是非是非。
爽やかな夏の気配と共に語られる優しいストーリーにどっぷり浸かれる事請け合いです。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-11-20 20:14 | サウンドノベル | Comments(0)


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