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2009年 11月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 『ブラックオクトウバー』

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今日の副題 「ジワリジワリと効いてくる緊張感がたまりません」

※吟醸
ジャンル:微推理? 青春ノベル(?)
プレイ時間:2時間程度。
その他:選択肢なし、一本道。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2009/10/4
容量(圧縮時):21.2MB




道玄斎です、こんばんは。
やっぱり、風邪を引いたみたいです。妙に頭がふんわり夢見心地だし、それで居て妙に頭の中に芯があるように感じられるというか。
それでも、気に掛かっていた作品をちょっとプレイしてみたら、案の定引き込まれてしまって。
というわけで、今回は「ヲサカナソフト」さんの『ブラックオクトウバー』です。ちょっぴり宣伝ですけれども、ヲサカナソフトさんは、例のノベルゲームのコミュニティにご賛同下さっている方でもあります。既にして書き込みをして下さっていますので、是非是非コミュニティの方も覗いてみて(そして参加してみて)下さい。
良かった点

・チャットを通じたやり取りの絶妙な緊迫感があり、ストーリーに没入出来る。

・キャラクターもキャラは立っているけれど、クセのある感じではなくて好感が持てる。


気になった点

・ちとラストが尻すぼみか?

ストーリーはサイトへのリンクを張っておきましょう。こちらからどうぞ。前半部分ではあまり出てこない立ち絵なんかも見られるので、そういうのも一つの参考に。


というわけで、某短編連作企画の作品が個別に、になってしまうんですが、リリースされる状況があります。バラバラであっても、一つ一つの作品は独立したものですから、それが読めるのは凄く嬉しいですね。
本作もその企画に参加していた作品で、タイトルが示すように10月担当だったシナリオですね。短編であるハズなんですが、実はプレイ時間は2時間程度。普通に尺としてたっぷりとした作品でした。

何となく、の感触なんですが、あの企画ではやっぱりある種の「青春ノベル」みたいな雰囲気の作品が多かった気がします。本作は、と云えば「裏の青春ノベル」というかね、ちょっと明朗ラブストリーとは一線を画したミステリー的な要素があったり、読んでいて沈み込んでしまうような辛い描写があったり、はたまたニヤッとしてしまうような恋愛的な要素もあったり、と作品のジャンル的な部分で云えば奥の深い作品だったのではないかと。

ちょっとガワ的な部分になるんですけれども、『HTV』で見せてくれたフラッシュを利用したOPムービーは本作でも健在。凄くお洒落な感じがいいですよね。しかも、また「ここでか!」というタイミングでOPが流れるので、ワクワクするんですよ。
BGMもお馴染みの曲あり、「あの曲が!」ってな意外な選曲があったりして、個人的に滅茶苦茶楽しめました。具体的に云えば、『エミュレーターNANA』のあの人の持ち歌「恋するヤンバルクイナ」の曲が出てきて興奮してしまいましたw 


さて、ここからは、いつものように感想めいたものを。
舞台は進学校。体罰教師の体罰を苦にして自殺したという噂の自殺事件があり、主人公はひょんな事から「体罰教師を糾弾する」事を趣旨としたチャットを見つけ、興味本位でそのチャットに参加するのだが……。

というような、太陽輝く明るい青春! ってんじゃなくて少し雰囲気暗めの学園モノになっています。
そのチャットには、管理者であると思しいアダム、あじさい、Nimitz、超紳士M、そして主人公のHNである果実酒の五人が参加して、夜な夜なチャットをして、体罰教師についての情報や、彼を失墜させる為の方策を練る、という感じ。
勿論、HNと実際の個人名が結びつく事はありません。「誰が誰だか分からない状態」でのちょっと腹に一物ある感じのやり取りが緊張感を煽ってくれます。

で、このチャットの場面が凄くいいんですよ。
実際に画面上に本当にチャットをしているが如く、文字列が出てきて絶妙な緊張感や、微妙な背徳感というか、そういうものをプレイヤーに感じさせてくれます。
前半部分は、殆どこのチャットでのやり取り、という感じになります。ただ、それも本当に冗長にならずに、グイグイと物語の中にプレイヤーを引っ張ってくれる感じですので、導入(というには少し長目だけれども)として最適だったんじゃないかな、と。
ちょっと、雰囲気としては「学校裏サイト」みたいな、そういうノリかも。


で、結局中盤、お互いの名前を隠していたチャットメンバーが顔を合わせる事になるわけですが、主人公も含めて5人しかいないチャットなのに、何故か六人の生徒が集まって……。

というように、誰が「六人目」なのか? というような部分で少しミステリーな雰囲気もありました。
ここらへんまで来ると、各個人の回想シーンが入ってきたりして、少し恋愛的な要素が垣間見えたりするんですよね。
キャラクターの魅力、というのも本作の良い所の一つです。『HTV』の主人公がエロゲ的なヤツだとしたら、本作の主人公はラノベ的というか、妙に老成しているんだけれども、やっぱり熱いハートを持っているみたいなね。他のキャラも、キャラクターは立っているけれども、何て云うか「鯛焼きが好き」とか「あんまんが好き」とかそういう感じじゃなくて、ナチュラルで気持ちの良い感じでした。
個人的にはやっぱり七田さんがベストキャラでしょう! このくらいの押しの強さみたいのがあれば、お付き合いしても楽だろうなぁ、とか考えてしまいますねw 


さて、気になった点、ですが、これは本作のシメ、つまりラストと結構繋がっているように思えます。
というのは、割とストンとオチちゃうというか、何か前半部で感じた、少しだけ後ろめたい秘密結社的な雰囲気が美味しかったわけですけれども、あまりそれがラストに直結してこないというか、何だか急に問題が解決しちゃうみたいな印象がありました。

あのままダラダラと、硬直状態が続くのはどうかな? という気もするのであの処理でも悪くない気はするんですが、何となくラストが惜しかったかな? というのが素直な印象です。



あれこれ書きましたが、かなり面白い作品だと思います。
やっぱり、個人的には前半から中盤の流れが凄く好きですね。あの独特な緊張感がたまりません。
少し重たいテーマが内包されていたりもするんですが、プレイして損はない作品だと思います。未読の方は是非どうぞ。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-11-24 20:27 | サウンドノベル | Comments(2)
Commented by Aura911@ヲサカナソフト at 2009-11-25 01:16 x
連日お世話になっております!

ほんとに、取り上げてくださってありがとうございます!
作者冥利(?)に尽きます!

道玄斎さまのおっしゃる通り、まさしくオチは本当に悩んでしまって。。。
でも、実はこういう妙な雰囲気のミステリーっぽいのを一度書いてみたくて、
書いている私が一番楽しんで(自己満足!)たという噂も。
そんなこんなで、本当にもったいない評価のようなをいただいてしまい、
恥ずかしいような申し訳ないような、嬉しいような。。。

あと、ほんとに紛らわしくて申し訳ないのですが(ほんとに!)
この作品は合作用に考えたプロットのうちの、ボツになったもので、
ボツの理由は『絵師さまが活躍できない』ことと、『50KBに収められない』というもので、
逆を言えばその二つがクリアされれば間違いなくこれが候補になったのですけど。。。

合作用は近日公開予定です!
なんか、宣伝っぽくなった。。。

これからも(DTMなんかも含めて)よろしくお願いいたします!
Commented by s-kuzumi at 2009-11-26 21:17
>>Auraさん

こんばんは。
こちらこそ、連日お世話になってしまって。

あっ、こっちがボツの方だったんですね。
合作用の作品も、近日公開して下さるとの事、大変嬉しいです。単純に、100KBで1時間くらいですから、50KBだと……完全にオーバーしちゃいますよね。逆にどんな短編が出てくるのか、今から楽しみにしています。

こちらこそ宜しくお願い申し上げます。


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