2009年 12月 30日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『She is…』

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道玄斎です、こんばんは。
何と本日四本目のご紹介。ホラー作品をあちこちで探していたらピンと来る紹介文が付いていたのでプレイしてみました。或る程度尺があるのかな? と思っていたら意外や意外、10分程度で読了してしまったので、またしても番外編。
というわけで、今回は「zusammen」さんの『She is…』です。


親子ほどに年の離れた彼女と結婚しようと思っていたら、気味の悪い女が現れ「彼女とは別れなさい……」と告げてきて……という感じのストーリー。
そして、その女は、彼女をつけねらってことある毎に殺そうとしてきます。この女の存在で「何かあるな」と分かるわけですが、その「何か」が分からないじれったさみたいなものも、本作の場合、魅力の一つでしょうか。
あんまりジラされ過ぎるとイライラっとしてきちゃうんですけれども、短編でのジラしは時に非常に効果的です。

文章も、割と堅めなんですが、それが作品の雰囲気に合ってるんですよね。
年下の彼女と結婚しようと思っている男の一人称で、一文一文が割と短く簡潔で「私は~だ」とか「~だった」とか言い切りの形が多く、どちらかと云えば小説っぽい文章なのかな。テンポも良かったと思います。
そういえば、BGMは一曲のみ。少し不穏な感じの音が延々とループしていました。ホラーというかミステリーというか、そういうタイプで延々とどこか不穏なBGMがループするってのは、案外悪くないな、と思いましたね。ループされる事で、プレイヤーは気づかない内にグイグイと作品の中に没入していく、みたいな、そういう効果がある気がしますねぇ。や、勿論音楽そのものが良いものであるとか、作風に合っていたりというのが前提だとは思いますが。

大凡、世界中どんな地域でも「シャーマン」みたいな人が居て、トランス状態に入って神様的なものや霊的な存在からのお告げを聞く、という事があります。
で、そのトランス状態に没入させる時って、大抵ドラムなり弦楽器なりで延々と音をループさせ気持ちを高めていくんですよね。
延々と般若心経を唱えるとか、一定のリズムで鈴みたいなヤツを打ち鳴らすとか何となくイメージ湧くでしょ? もっと昔だと弓の弦をベンベン弾いて、巫女さんをトランス状態にさせる、なんて事が行われていたような、記憶があります。

本当にお告げが聞けるかどうかってのはともかくとして、同じ音を繰り返し聞くってのは、やっぱり人間の感覚器官に影響を与えるんでしょう。で、そういうメソッドがゲームのループ曲にも通用しているっぽい、というのは非常に興味深い。まぁ、特に本作がホラーとかそういうジャンルだ、というのも勿論あるんだけれどもね。

も一個、本作の特徴を述べておくと、選択肢に「制限時間」があります。
これ、結構焦りますよね……。5秒のカウントダウンが行われ、最適な選択肢を探していかなければならない。実は5秒って結構長いんだけれども、それが「カウントダウン」されると無性に焦りが出てくるから不思議。
ちなみに、間違った選択肢を選ぶとすぐにバッドエンドになりますから(「結局真実に到達出来ませんでした」という英語のメッセージが出てくる)トゥルーエンドを探して右往左往する事はないと思います。

こんな風に仕掛け的な部分で凄い凝っていたんじゃないかな、と。
短い尺であること、が活きているというか。


一方、ちょっとラストまで見ても釈然としない部分があったりもします。
多分……それも含めてのあのエンドだと思うのですが(タイトルのSheってのが、婚約者の彼女と謎の女のダブルミーニングになってる?)、結局、結婚をやめるよう説得してきたあの女は何者だったんだ? という所が少し不明瞭かも。
というのは、先にも述べたように割とサッパリとした描写なので、その女は「気味の悪い女」としか描写されずに、老女なのか少女なのか、はたまた妙齢の女性なのかもプレイヤーには分からないんですよね。イメージ的にはやや歳を喰ってる感じはするんだけれども……。そういう事情もあって、ラストまで到達しても、ややしこりが残るというか、スッキリ解決、という感じではありませんでした。

そうは云っても、テンポも良いですし、そういう部分も含めた「薄気味の悪さ」みたいなものを楽しむといいんじゃないかと思いますよ。


というわけで、あと15分くらいで大晦日。
明日は今年一年を振り返って、またあれこれ書いてみようと思います。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2009-12-30 23:49 | サウンドノベル | Comments(0)


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