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久住女中本舗

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2010年 01月 04日

フリーサウンドノベルレビュー 『鬼灯籠』

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今日の副題 「ありそうで無かった倒叙ミステリー」

※吟醸
ジャンル:ハートフルミステリー(?)
プレイ時間:40分程度。
その他:選択肢アリ、バッドエンドやハッピーエンド、ノーマルエンド(?)に分岐。
システム:Macromedia Flash Player8

制作年:2009/10/31
容量(圧縮時):18.2MB




道玄斎です、こんばんは。
何だか、ここの所ミステリー風味の作品が面白いですねぇ。Novelers' cafeの方で「倒叙ミステリーを描いた作品はありそうでない」みたいな話題が出ていたのですが、何気なく本作をプレイしてみたら、まさにその倒叙ミステリーというヤツでした。
リアリティガチガチのミステリー、ではなくて、ちょっとファンタジックな要素もあったり、ハートフルな部分もあったりで楽しんでプレイ出来ました。
というわけで、今回は「下僕天国」さんの『鬼灯籠』です。
良かった点

・ありそうで無かった倒叙ミステリー。

・ミステリーとファンタジックな部分、そして感動的な部分が上手く同居している。


気になった点

・Flashなので、若干使いづらい部分も。

ストーリーは、ふりーむの方から引用しておきましょう。
スパイに刺され瀕死の主人公。
残された時間は夜明けまで。

彼は、死ぬまでに犯人を暴き妻と娘を守れるのだろうか。

コロンボ形式の犯人がわかっているタイプのミステリです。
どうすれば犯人を追いつめることができるのかを楽しんでください。

こんな感じです。
コロンボ形式、というのが倒叙ミステリーという事だったわけですね。いや、恥ずかしながら倒叙ミステリーなる言葉を知らなかったものでw ただ、それは術語の問題で、そうした言葉を知っていようといまいと、本作は誰にでも楽しめる作品だったんじゃないかなぁ、と思う次第。

先ず、タイトル、なんですけれども、ファイルを解凍して出てくるフォルダが「tourou」なんですよね。灯籠です。読んで字の如し、「灯の籠」ですね。
恐らく……素直に考えれば、タイトルは「おにどうろう」だと思うのです。ただ、一方で本作の影の主役(?)のたる鬼灯というキャラがいまして、これは「ほおずき」でしょう。手にほおずきを持っていましたしw

いや、作品と関係ない恒例の脱線に入るんですけれどもw
中々ね、タイトルがダブルミーニングみたいになっていて、凝っていたなぁ、と。
鬼灯……別の漢字では酸漿と当てる事もあるみたいですが、東京は下町、下町は浅草の「ほおずき市」でお馴染みですよね。ほおずきを見ると、「ああ、もうこの季節か……」と東京で育った方は思いますよ、ね? 中々風情のあるお祭りというか市ですので、まだ行ったことがない、なんて方は行ってみると面白いかもしれませんよ?


軌道修正。
要するに、倒叙ミステリーとは、最初に犯人や犯行の手口などが読者に示されており、探偵がそれを立証していく、その過程を楽しむタイプのミステリーという事になると思います。

ですので、本作でも起動後すぐに、犯行が行われてしまいます。ってスクリーンショットが犯行の現場写真ですw 或る意味でネタバレに配慮しなくていい、みたいな所はありますよねw
闇組織のスパイによって殺害されてしまった、主人公。その主人公の霊体が、死出の道先案内人(?)たる鬼灯と一緒に、「犯行後」のお屋敷の様子(主人公は旧財閥系の製薬会社の社長をしていました)などを見て回って、幽霊的な身でありながらも、犯人を白日の下に晒すべく奮闘する、という作品でした。

っと、「殺害されてしまった」なんて書いてしまいましたが、実は死ぬことがほぼ確定している「意識不明の重体」ですね……。私が犯人だったら、組織の人間を使って病院に移った後でも、何とかして早期に主人公を始末しちゃうんだけれども、そこらへんの無粋な突っ込みは無しにしましょうw

倒叙とはいえ、ミステリーですから、選択肢を選び「犯人の犯行を暴」かなければなりません。
多分……前半の「情報収集パート」での選択肢は、エンドに影響がないかな? ただ、あれは選択肢としての意味はあまりなさそうですけれども、無かったらやっぱりシマらない印象はあるので、演出の一部という感じでしょうか。

本当にエンドが分岐するのは、後半の「追い詰め作戦」の時でしょう。
多分……犯行の立証そのものはそんなに難しくないかな? いい塩梅の適度な難しさだったと思います。この間も書きましたが、難しすぎると厭になっちゃうもんね。
その立証過程によって、ハッピーエンド、バッドエンド、ノーマルエンド(?)の三種類に分岐するみたい。ヒント……を出す程じゃないと思うのですが、「ちゃんとテキストや画面を読む」という基本的なことを守れば、普通にハッピーエンドに行けると思いますよ。何しろ、私が一発でハッピーエンドまでいけたくらいですからw

一方、バッドエンドに行くと、鬼灯からヒントが貰えますし、ノーマルエンドもあれはあれで中々味がある感じ。余裕があればノーマルエンドも見て欲しいですね。

こんな感じで、霊体として犯人の犯行を立証する、というファンタジックな部分があり、且つ、幽体だからこそ、普段見えない家族の想い、みたいなものも上手くストーリーに絡んできて、「良い話だったなぁ」と思いました。それ以外にも感動ポイントがあるので、そこは是非、ご自身で確かめてみて下さい。


実は「下僕天国」さんの作品を取り上げるのは、今回で三回目でしょうか。
結構プレイしていますね……。使っているシステムがFlashで、以前は「文字が一気に大量に表示」されてしったのですが、今回は、ちゃんとクリックで短い単位ごと読み進められるようになっていました(って、何かちょっと偉そうでゴメンナサイ)。
ただ、「ノベルゲームに特化したシステム」ではないと思うので、中々難しい部分もあるみたいです。というのは、例えば「バックログ」(いや、Flashでこの機能が付いている、というのも感動モノなのですが)で過去の文章を読み返して、本文に戻ると、オートで1ページ単位で文章が送られるようになってしまったり、そういう部分で若干の使いにくさを感じるところはありました。私の環境に依存する問題かもしれませんが……。
以前のものよりも改良されていて、格段にプレイしやすくなっているのですが、一応、という事で挙げておきます。セーブ/ロード、バックログも完備されていますから、実際はそこまで使いにくいって事はないと思うのでご安心下さい。



ミステリーとファンタジック、そしてちょっとハートフルな部分が上手にとけ込んだ良い作品でした。
もしかすると、硬派なミステリーファンには物足りないかもしれないのですが(けれども、やっぱりノベルゲームでは珍しいタイプですよね?)、丁度良い分量、適度な難易度で、ミステリーに馴染みの無い方でも楽しめるんじゃないかな? と愚案致します。
是非、プレイしてみて貰いたい作品です。

それでは、また。

by s-kuzumi | 2010-01-04 00:23 | サウンドノベル | Comments(0)
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