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久住女中本舗

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2010年 02月 04日

フリーサウンドノベルレビュー 『ゆかりの早春賦』

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今日の副題 「ノベルゲーム……じゃないかもだけど」

ジャンル:ノベルゲーム風RPG(?)
プレイ時間:1時間~2時間くらい
その他:ストーリーの分岐的な意味での選択肢は無し。
システム:?

制作年:2009/11/06
容量(圧縮時):356 MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は久々にいつもの体裁でレビューを。例の『メタ女』にはまって以来、結構色んなジャンルのゲーム(フリーゲームだけれども)をプレイしているのですが、今回はちょっぴりノベルゲーム的な要素もある、そんなRPG作品のご紹介。
今までも、実はそうした作品ご紹介した事ありますよね? 『戦えメイドさん』とか。そういう感じで純粋な「ノベルゲーム」というのではないけれども、「ノベルゲームの中に入れても良かろう」というそういう判断です。
というわけで、今回は「こんすとらくた」さんの『ゆかりの早春賦』です。
良かった点

・中々目を引く素敵なタイトル。

・グラフィックやボイスなどもクオリティが高く、良い雰囲気の作品。


気になった点

・もうちょっと何か結論というか、シメ感があっても良かったかも。

ストーリーは、readme.txtから引用しておきましょう。
素敵な声やかわいいタッチのイラスト!
そして足を引っ張るゲーム部分!
ゆかりと彼女を取り巻く不思議な物体達との物語、
堪能してあげてください!

こんな感じ。
ストーリー……ではないけれども、本作の良さをスッキリ纏めてあったので、もってきました。
若干補足しておくと、ゆかりは五歳の女の子。ある朝目を覚ましてみると自堕落(気味?)な父親は布団から出てこない。お腹が空くけれども父親がいないと食べ物が手に入らない。
そこで、ゆかりの兄貴を以て自ら任じている猫のフゥと冷蔵庫まで、食料を探しに行くのだが……。
という感じ。で、当然のように猫が喋りますし、ゆかりが使用していると思しい枕や歯ブラシなども普通に手足が生えてゆかりと会話しちゃいます。
ここで「ん? 一体全体どういう事なんじゃ?」と考えてしまう事無く、ストンと「ああ、こういう世界観なのね」と妙に納得出来ちゃう所に、本作の大きな特徴だったりパワーがあるのではないかと愚案する次第。


そういえば、タイトルに「早春賦」なんて素敵な熟語が出てきて、思わずダウンロードしちゃったわけですけれども、これ「そうしゅんふ」ではなく「はるのかぞえうた」と読むみたい。今調べてみたら「賦」は「かぞえうた」と読む事があるみたい。「早春」で「はる」と読ませていますけれども、これも見たことがありますねぇ。『早春に降る雪』で「はるにふるゆき」と読ませるマンガがありました。
ともあれ目を引くタイトルでしたね。

久々に脱線しようと思うのですが、早春賦という言葉、これは3つの要素に分解出来ます。
つまり「早」と「春」、そして「賦」です。それぞれ単独で意味を持つ語で、一つ一つを「単純語」と云います。一方「早春」みたいに熟語にすると、「合成語」と呼ぶわけで多分、「早春賦」だったら3つの単純語が組み合わせられた合成語、という事になるんじゃないかと。あるいは「早春+賦」という見方をするのかな? まぁ、どうでもいい話ですねw

さて、本作、容量が300MBを超えておりかなりの大容量作品となっていました。
ツールは何を使っているのか分からなかったのですが、グラフィックの面や音楽、或いはボイスはクオリティが高いと思います。
ゆかりの元気いっぱいの幼い感じの女の子の声も、すっげぇピッタリでしたし、冷蔵庫である所のレンねぇちゃんの声も素敵。フルボイスではないのですが、色んな場面で色んなキャラが喋りまくってくれて楽しいです。

で、RPGっぽさも十分ある作品、なんですが、「ランダムエンカウント」が起こらないようですw
ストーリーを進めるだけだったら、結局三回くらい? 戦闘すればいいだけになってますが、それだとラストバトルにマズ勝てないw
ノベルゲーム風のパートがあり、RPGっぽい「コマンドパート」がありという感じですが、コマンドパートで「たたかいをいどむ!」を選択することで、ゆかりが現在居る場所にちなんだ敵とバトルになります。多分、どこか移動する度にちょこちょこっと戦っていくとレベルも上がっていい感じに。

ちなみに、パーティを作る事が出来、だれを組み合わせてパーティを作るか、が低レベルクリアだったり、早解きに重要な要素かも。仲間は本作では「こころのとも」と呼ばれ、先に書いたように枕だとか歯ブラシだとかが仲間になります。
「こころのとも」って単語を聞くと、私は条件反射的にジャイアンの「こころのともよ」ってなセリフが出てきてしまうんですけれども、皆様は如何でしょうか?w

戦闘があるっていっても、やるかやられるかの血なまぐさいそれではなくて、やっぱりどこかファンタジックで楽しげなのがいいですね。
あっ、そういえば、割と戦闘のやり方を把握するのが大変かもしれません。私も結構あとになって自分の手番に「ゆかり」のコマンドが実行出来る事に気がついたくらいで……。ドラクエ的な戦闘でもFF的な戦闘でも、はたまたシミュレーションPRG的な戦闘でもなくて、独自路線の戦闘システムでした。

自軍と敵軍の「フィールド」にそれぞれHPが設定されており(こちらはゆかりのHP、なんですけれども)、それを0にすると戦闘終了。
で、各ユニットは何本か引かれた「線」の上を移動する事になります。敵のユニットが見方のユニットが配置されていない線に居て攻撃を仕掛けてくると、自軍のフィールド(ゆかりHP)にダメージが入ってしまいます。敵の侵攻を阻止しつつ、上手く攻撃していく事が大事。
戦闘が終わると、戦闘に参加していたユニットに経験値が溜まりレベルが上がります。ここらへんは普通のRPGも結構と一緒ですね。ただ、ヴィアンクなる単位(?)があり、それをゆかりが消費する事で味方ユニットを強化したり、レベルを上げたりといった事も可能になっています。

ちょっとね、戦闘システムが最初戸惑ってしまうと思うので、チュートリアル的な戦闘が一本入っても良かったかも? と思います。


中々楽しげで、素敵な作品だったわけですけれども、もうちょっと作品の「結論」というか、シメ感があっても良かったかもしれません。
一応、目的を達成すると裏ダンジョンを示唆するような、メッセージがエンドロールで出てくるわけですが、その裏ダンジョンまでクリアしても、「ああ、終わった!」というような読後感を感じる事は無いんですよね。
PRGの戦闘的な意味で、あれこれやり込んでいける作品ではあるのですが、レベルは20で打ち止めですし、頑張って強化すれば、裏ボスもしっかり倒せます。

結構凝ったOPがあっただけに、もうちょっと「ゆかりの一日の終わり」だったり或いは、朝飯を食って「これから始まるゆかりの一日」みたいな、そういう「ひとまずこれで終わります」という感触があっても良かったんじゃないかなぁ、なんて。

どうも、私の個人的な好みなんですけれども、「余韻型」の作品であっても、取り敢えず「終端です」というのを示してくれるようなものの方が好きみたい。
「結論」みたいなものは実は無くてもいいんだけれども、ひとまずストーリーが終わりましたよ、ってな「読後感」、これがあると嬉しいですし、作品自体も引き締まるんじゃないかな。


っと、何だか結構くだくだしく書いてしまいましたが、雰囲気の良いファンタジックな作品でした。
若干、戦闘が意外と難しかったり、ストーリーにシメがあったりしたらいいなぁ、という事はあるのですけれども、世界観みたいなものはとっても好みで、声優さんも熱演していたと思いますよ。

丁度、今日は立春なので、タイトルで気になった方も是非プレイしてみて下さい。
それでは、また。

by s-kuzumi | 2010-02-04 22:43 | サウンドノベル | Comments(0)
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