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2010年 06月 02日

フリーサウンドノベルレビュー 『私立桜坂学園には幽霊が棲息している』

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今日の副題 「序章ではあれど、最終的な内容が期待出来そう」

ジャンル:幽霊少女と空気の読めない少年の交流を描くノベルゲーム(?)
プレイ時間:40分程度。
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2008/6/16
容量(圧縮時):12.2MB



道玄斎です、こんばんは。
今日もちょっと色々とあったのですが、ゲームをプレイすれば元気になる、という単純さも私のウリなので、今日も一本作品のご紹介。
実は、先日のオフ会にてお勧め頂いた作品ですね。
というわけで、今回は「Rhododendron」さんの『私立桜坂学園には幽霊が棲息している』です。
良かった点

・失敗を積み重ねて、少しづつ成長していく少年の姿が好印象。

・実は、作品の枠組みは明確に示されており、続きに期待が持てる(後述)。


気になった点

・誤字脱字が若干多めなのと、文章がやや読みにくい部分がある。

ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
私立桜坂学園には、幽霊が棲息している。
その名をゆきといい、眉目は秀麗にして識見は深く、
主に同学園内における生徒間トラブルに辣腕を揮っている。
季節は夏。
彼女を唯一知覚することの出来る生徒、佐山(プチ人間アレルギー)は
彼女がせっせと持ち込んでくれた問題を今日も解決するために
東奔西走の日々を過ごしている。

こんなストーリーになっています。


さてさて、お勧め頂いた作品、という事でプレイしたら、妙にあっさり終わってしまって、「む……?」という感じではあったのですが、プレイ後、目を閉じて暫し考えてみるに、「おや? これは意外といい作品なんじゃないか?」とw

人間アレルギーの高校生の主人公、という造型自体は非常にありふれています。
ノベルゲームの主人公の定番設定、と云っても過言ではありません。
ただ、本作の主人公と所謂普通の「人間アレルギー」の主人公の決定的な差異は、本作の主人公が限りなく「空気の読めない、妙に慇懃なヤツ」という点ですw

彼は彼なりに、何かしらの経験があって、そういう性格になったっぽいのですが、それは本作ではまだ明かされていません。
一方、そんな彼にだけ知覚出来る、学校に住む地縛霊ことゆき(美少女らしい)の剛胆にして男前な感じは、主人公と良いコンビになっていましたね。

実は、面識も無かった山下君(ちょっとプレイしていて可哀想になりましたw)の恋路を助けるべく(ゆきにせっつかれて、ですけれども)奮闘する主人公。
だけれども、そんな空気の読めなさがマックスな彼は、山下君の先輩に対する淡い思いをボロボロにしてしまいますw はっきりいえば、「余計なお世話」をガンガンやってしまって。

で、大元という事では幽霊少女のゆきがふっかけたのに、そのゆきから、何故か責められる主人公。「何が悪いのか?」「何を間違えたのか?」と彼なりに色々と試行錯誤して、行動に移すのですが、結局その奮闘虚しく又しても大失敗をしてしまうのでした。

なんか、主人公、いいとこ無しだなぁーなんて思いますけれども、後半からラストに掛けて、山下君が想いを寄せている先輩、或いは某先輩こと里枝さん(でしたっけ?)、そして主人公に好意を抱いていると思しい控えめガールの浅黄先輩といった、本作出演キャラがちゃんと役割を果たし、主人公を良い方向へ導いていきます。
そうした周囲の後押しがあり、且つ自分でも失敗を積み重ね、彼自身も成長して、「空気が読めない王様」から一歩進んで、普通のコミュニケーションが何とか、取れるようになってきたんじゃないか? 
彼自身のストーリーが、まさにこれから始まるんじゃないか? という所で幕切れです。


主人公が作中で成長していく、というのはやっぱり大事な要素ですよね。
主人公とは、プレイヤーの分身になるわけですから、或る意味でいつまでもヘタれていては困るわけですw
主人公に付きもののガッツや熱い想いで行動して、失敗してもそこから何かを学び取っていく。そうしたプロセスが丁寧に描かれており好印象でした。

もう一点、良いな、と思えた部分は、ちゃんと「内容」と「シナリオ」の区別が付いている、と思しい点です。
そもそも、主人公にしか知覚できない幽霊少女が学校に居る、というのが「内容」で、今回はそうした世界の中の一つのエピソード、つまり「シナリオ」だったわけですが、ちゃんと山下君問題が解決した後に、ゆきとの会話が入り、「ゆきにはどんなバックグラウンドがあるのだろうか?」とちゃんと読者に感じさせる事に成功させていました。これは、シナリオを通して内容に進もうとしている、という事に他ならないわけです。

一応、本作は未完……というか、所謂序章的な位置づけの作品なんですが、その序章に相応しいエピソードになっていましたよ。
ラストまで読んでしまうと、「次」の展開がにわかに気になってきます。浅黄先輩と主人公はどうなるんだ? とか、ゆきのバックグラウンドや目的ってなんだろう? とか。
まだまだ、様々なシナリオを通じて、やっぱり最終的に内容へ向かっていくような様子が想像出来てしまうんですよ。多分、本作で出てきた登場人物達も所狭しと、動き回ってくれるでしょう。
そういった、ノリシロ部分が想像出来て、完結編を期待してしまいますね。浅黄先輩は私の好みなので、是非彼女との恋愛エンドを!w


さて、恒例の気になった点ですが、
最近、あまり五月蠅く云ってこなかった誤字脱字をまず問題にしましょう。
誤字脱字とは少し離れますが、フロイトは、「オーストラリア」ではなくて「オーストリア」ですw あと「啖呵を切る」という言葉がありますが、これが「担架をきる」になってましたw 内容そのものに手堅い芯があるハズなので、こうした細かい部分をしっかり締めると、完成度が一段上がるんじゃないかしら?

もう一点は、文章が些か読みづらい、という事。
これも、ちょっとした工夫でどうにでもなる問題です。
例えば、地の文があって、会話文が始まる時には、ブランク行を入れるとか。
或いは、会話文が連続して続く場合でも、「 」 「 」の間にブランク行を入れたりすると、やはり読みやすさは向上するハズです。
特に、主人公は性別が男で、ゆきは幽霊少女ですが、割とぶっきらぼうというか、男っぽいしゃべり方をするので、彼らが言い争っている場面なんかだと、誰が何を喋っているんだ? とw
もう少し、読みやすい……というか分かりやすい「体裁」を示す事が可能だったのではないか、と思いました。クリック待ちのタイミングを増やしてみたりしても、いい感じかも。



大体、こんな所でしょうか?
やはり、まだ未完と思しく、まだ全体像が分からないので、今回は無印で。
とはいえ、中々「読ませるパワー」が存在していて、「ぞ、続編を……」という妙な期待感が膨らむので、やはり素敵な作品の原石、というかその1ピースという感じ。
完全版公開を楽しみに待ちたい、そんな作品でした。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2010-06-02 02:40 | サウンドノベル | Comments(0)


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