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2010年 08月 05日

フリーサウンドノベルレビュー 『memoRia』

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今日の副題 「こういう作品、探してました」

※吟醸
ジャンル:ファンタジック恋愛ノベル(?)
プレイ時間:凡そ30分程度。
その他:選択肢無し、一本道。
システム:Yuuki! Novel

制作年:2010/7/28
容量(圧縮時):7.48MB



道玄斎です、こんばんは。
今日もマイペースにゲームをプレイします。番外編にしようかちょっと迷う尺ではあったのですが、色々書きたい事もあるので、今日は普通のレビューにて。
というわけで、今回は「Black Hemisphere」さんの『memoRia』です。
良かった点

・久々に、“ノベルゲーム”らしい手触りを持った作品。こういう作品が2010年に出てきてくれた事、嬉しく思います。

・一枚絵は美麗の一言。


気になった点

・一人称と三人称がごちゃ混ぜの地の文。改善の余地が……。

ストーリーは、ふりーむ! の紹介文から引用しておきましょう。
残暑が厳しい九月の午後
僕にとって忘れられない… 少し遅めの夏が始まった―

夏をテーマにしたビジュアルノベルです。
プレイ時間は大体30分~50分程度。
選択肢はありませんのでゆっくりと時間のある時にでも
のんびりプレイして頂けると嬉しく思います。

こんな感じです。


ノベルゲームをプレイし出して、或いはこうしてレビューなるものを書き出してそれなりに時間が経ったわけですが、ここの所、ちょっと「ノベルゲームらしい」作品が減っているなぁ、というのが正直な気持ちとしてあったりします。

ノベルゲームらしい、っていうと語弊があるかもしれませんけれども、ノベルゲーム、それも特にフリーのもののが持っていた良さや持ち味みたいなものが、最近段々と薄れてきているような……。
凝りに凝った「大作指向」だったり、或いは割とお手軽な「コンテスト指向」の小さい作品だったりして、ノベルゲーマーとしては、少し物足りなさを感じていたんですよねぇ……。

いや、勿論、私も凝りに凝って作られた作品は好きですし、そいした作品をプレイすれば素直に凄い! と思います。更に小粒の作品もわざわざ「番外編」なるカテゴリまで用意している事からも、決して嫌いではない事お分かり頂けるハズ、というかそれはそれで非常に好きなんです。

何を言いたいのかってーと、豪華なムービーや超美麗な立ち絵やイラスト、ついついそういうものに目を奪われてしまって、フリーのノベルゲームが持っていた「ワクワク感」みたいなものが、段々と無くなってきているんじゃないか、と。
最近はプレイヤーの要求水準も上がって、「可愛い女の子の立ち絵」は絶対不可欠、くらいになってますよね? でもって「美麗な一枚絵」も必要だったり、或いはOPムービーすら必須の感がありません?
勿論、こうした潮流は長所もあって、商業作品に近づいていく事で、全体的に見たクオリティは数年前から比べて遥かに向上しました。でも、その一方で、可愛い女の子の立ち絵が付いていないような、ガワ的な意味で「地味」な作品の立つ瀬が無くなってしまったような、そういう気がして少し寂しかったんですよね。


前置きが随分と長くなりましたが、本作は、上記の私の不満を打ち破ってくれる、古参ノベルゲーマーを喜ばせてくれるような、そういう懐かしい「ノベルゲームらしさ」を備えていた作品だったのではないでしょうか。

システムはYuuki! Novelだったり、美麗なOPムービーもなく、クリア後に良くある「オマケの画像閲覧モード」もない、或る意味で地味な作品でしたけれども、とっても「らしさ」が出ていて良かったですねぇ……。こういう作品が、今でもちゃんとリリースされている事にちょっと嬉しくなってしまったので、今回は吟醸で。

地味、と云いましたが、立ち絵とか或いは要所要所で表示される一枚絵はかなりレベルの高いものです。
ストーリーそのものは、割と素朴な、誤解を恐れず云えば、良くあるオーソドックスなファンタジック作品、ではあるので、逆にイラストが美麗過ぎて、釣り合いが取れないくらいw
チラッと出てくる迷子の男の子が居るんですが、その子の母親の立ち絵なんて、ヒロインを凌ぐ程美人だったりしますしw

けれどもね、こういう(ストーリー的に)手作り感をヒシヒシ感じさせてくれるような、素朴な作品、最近じゃかなり貴重なんじゃないでしょうかね。
割とすぐ、ヒロイン葉津樹の正体も分かっちゃいますし、作品の裏に隠されたバックグラウンドについても何となく分かっちゃう部分があって、予定調和なエンドを迎える……にも関わらず、こういう手触りの作品、私は大好きです。
どこか懐かしさを感じさせるというか、素朴ながらも素敵な作品に仕上がっていたように思いますよ。


さて、一方で気になった点ですが、焦点を絞って一個だけ。
それは、地の文に於ける「一人称と三人称の混在」です。

ある時は、主人公清と同化する、つまり一人称の地の文が出てくるのですが、またある時には、主人公から離れた所で、彼を描写する「語り手」の存在が出てきてしまったりして。
例えば、地の文があって、それを語る人物の心中思惟がそれに同化してしまう、なんて事は古典文学の中にはあるみたいですけれどもね。

ただ、一般にノベルゲームだったり、小説だったり、という時に人称の混在は、(意図的なものであれ)やはり止めておいた方が無難ではないかな、と思います。
一応、目安、という意味で書いておくと、ノベルゲームでは割と「一人称」が多いです。極々稀に「三人称」がありますけれども、やっぱり少数派かな?
更に云えば、、一人称の方がプレイヤーが主人公に一体感を感じやすくて、三人称の方は、ストーリーテリングというか、「ストーリーを魅せる」のに適しているってのが一般論かしら。
勿論、必ずしもそうではないのでしょうけれども、何となくの目安ですねw

普通に文章を読んでいて、一人称と三人称が混在していると、ちょっと気持ち悪いというか、不思議な感触がすると思うんですよw これはやはり、どちらかに統一した方が良かったですねぇ。


ともあれ、久々に「ノベルゲームらしい」作品をプレイしたような気がしますよ。
OPムービーも付いていない作品はプレイするに値しない! なんて思ってらっしゃる方にはお勧め出来ませんが、古参ゲーマーや、昨今のこの界隈の作品にどこか物足りなさを感じている人には是非プレイして貰いたいですね。
夏の日差しが目に染みる、今の季節に是非お楽しみ下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2010-08-05 18:05 | サウンドノベル | Comments(0)


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