2011年 01月 05日

フリーサウンドノベルレビュー 『セイシュン真っ盛り!』

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今日の副題 「カラリと爽やか、ダメ系青春ストーリー」

ジャンル:ダメ系青春アドベンチャー(?)
プレイ時間:40分程度。
その他:選択肢アリ、バッドエンド3種類。
システム:NScripter

制作年:2010/12/?
容量(圧縮時):32.5MB




道玄斎です、こんばんは。
新年二本目のノベルゲームレビューという事で、ちょっとコミカルで楽しい作品を持ってきました。ちょっと気になってダウンロードだけしてあったものですね。
というわけで、今回は「九州壇氏」さんの『セイシュン真っ盛り!』です。
良かった点

・テンポの良い文章で、軽いノリで読む事が出来る。

・ツボにはまれば破壊力大、のギャグw


気になった点

・メタ発言ギャグを入れずに、下ネタ系ギャグで通した方が良かったかも。

ストーリーは、ふりーむ!の方から引用しておきましょう。
主人公「風間雄太」は、平和な日常を過ごしていた。
暴力的な委員長に殴られながら親友とカオスなトークを楽しみ、漫画の濡れ場でウハウハしながら自分で自分を慰める日々。
そんな彼が、不思議な雰囲気を持つ女の子に出会って……?

と、こういうストーリーになっています。
九州壇氏さんの作品も、今まで随分プレイしてきましたね。長編の『乙女心と夏の空』は、実は未読ですが、近い内に読みたいな、と思っています。

さて、私の九州壇氏さんの作品に対するイメージは、「良い意味で生真面目」とか、そういう感じなんですよね。登場人物がほぼ全員非常に善人ですし、ある種のテーマに向かっていく「まっすぐさ」みたいなものを感じていたわけなんですが……ここに来て、まさかの「ギャグテイスト」な作品が登場しました。

パステル調の優しい立ち絵素材が使用されていたり、テンポの良い会話や、ギャグなど、今まであまり表に出てこなかった、九州壇氏さんの新しい魅力が、垣間見える一作になっていたんじゃないかと思います。

学校を、主要舞台の一つに据えている作品は、世の中に数多いですが、「青春」というのは一つのキーワードになっています。
中学~高校生くらいの主人公が、時に人生に悩んだり、或いは恋愛をしたり、はたまた部活に打ち込んだり……「青春」と明言されなくとも、そこには「青春的な要素」がかなり多く盛り込まれています。
一つの青春テーマに特化した作品もあれば、複合的に青春を見せてくれるような作品、様々あるわけですけれども、本作がちょっと変わっているのは「ダメな青春」を描く、という所にあります。

そこには、人生に深刻に悩み込むわけでもなく、真摯で真面目な恋愛もなく、かといって部活動に打ち込むわけでもない、そんな主人公が居るわけです。
恋愛を打ち出しているような作品は、そこから「一人の少女と出会って、主人公が成長する」という話が多いんですけれども、本作の場合、そうした要素がありつつも、やっぱり少し位相が異なるかな、という印象です。

主人公は中学生男子、という事でちょっとえっちぃ事ばかり考えていて、友達である光一も筋金入りの馬鹿野郎w 
主人公と悪友光一、そして委員長といったキャラが織り成す「下ネタ」ギャグは思わず笑ってしまうものがあります。ただ、まぁ下ネタですから……ちょっと人を選ぶ部分が無いわけでも……ない……かなw

寧ろ、気になったのは、主人公と光一の「メタ発言ギャグ」ですかね。
それまでのノリの下ネタギャグ一本槍で通した方が、全体の統一感があるのではないかと。


先ほど「ダメな青春」と書きましたが、えっちぃ事しか頭にない主人公は、どうしようもない馬鹿な失敗をやらかして、毎度毎度、「僕って本当にダメなヤツ……」と嘆きます。
が、それは悲壮感のある嘆き、ではなくて、どこか自嘲的であったり、苦笑い的な、そういう嘆き、なんですよね。

そして、エピソード毎にその「僕って本当にダメなヤツ……」というセリフが出てきて、作品のテーマを一本貫くものになっていた、という事も併せてお伝えしておくべきでしょう。
一種のアイキャッチ的な、そういう効果も感じられて、「印象的なセリフをリフレインする」というのは、良い手法だな、と改めて感じさせてくれました。
全く、作品の内容は異なりますが、『Serenade』という作品があり、「からかってるでしょ?」というセリフが印象的に、散りばめられていましたね。


後半は、割とシリアス路線になっていくんですが、そこにも、思いも寄らない下ネタギャグが出てきて、暗くなりがちなシーンを明るくみせてくれています。
主人公は、謎の同級生吉野さんに共感を覚えるのですが、「え? 何で共感してるんだ……?」と私は、一瞬分からなくなりましたw それは、あまりに吉野さんが抱えている問題と、主人公の「ダメな性癖」がかけ離れていたから、なんですが、その齟齬があんな形のギャグになるとは……w


結局、主人公は表街道の「青春」ではなくて、ちょっとダメな「セイシュン」を続けていく事になるんですが、表街道じゃなくてもいい、というような、一種カラリとした爽やかな境地に至る事に。
そして、そんな主人公の傍には、吉野さんが居て、馬鹿野郎の光一も居る。きっと、いつもの「ダメ」な「セイシュン」が続きます。


前半のギャグから考えたら、意外なほど綺麗に物語は纏まっていきます。
中々、良い作品だと思います。尺も小一時間、というところですから、是非気軽に読んで、ちょっと笑って。そんな風に楽しんでもらいたい作品です。

あっ、そういえば、一応選択肢があるのですが、ストーリーの流れに沿うように選んでいけば、バッドエンドは回避出来ます。間違った選択肢を選べば、すぐにバッドエンドの旨、表示されますから、そちらの方も合わせて楽しんで(?)みて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-01-05 21:41 | Comments(0)


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