2011年 01月 08日

フリーサウンドノベルレビュー 『マンション前の時計』

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今日の副題 「ちょっと一息、不思議な話」

ジャンル:ちょっぴり不思議な短編集
プレイ時間:小一時間ほど。
その他:基本選択肢なし、一本道(三話目のみ選択肢はあれど、どれを選んでもエンドに影響無し)。
システム:NScripter

制作年:2010/9/19
容量(圧縮時):61.7MB



道玄斎です、こんばんは。
今日は、以前ご紹介した事のある『ユリカ』という作品の作者さんの作品を、プレイしてみました。
短編集、という事で取っつきやすく、又、ちょっと不思議なストーリーは、クスリと笑えるもの、はたまた、どこかしこりを残すものなどバラエティに富んでいて、面白かったですね。
というわけで、今回は「fragment」さんの『マンション前の時計』です。
良かった点

・少し不思議な感触を残す話が多く、どこかホッとする手触りが。

・一話一話の尺の長さがほぼ一定。どれか一つの比重が偏る事の無い作り。


気になった点

・三話目の選択肢は無くても良かったかも……。

ストーリーは、ふりーむ! の方から引用しておきましょう。
マンション管理人である広田はとある問題に頭をかかえていた。それはマンションの前にある時計のことだった。
何度修理してもいつの間にかに遅れる時計に業を煮やした
広田は、なんとかして原因を突き止めようとするが・・・・・・。

表題作"マンション前の時計"を含む短編五話で構成されるオムニバス形式ショートストーリーです。

という感じです。


少し懐かしく、ホッと出来るような、そんな感触を持った短編集です。
今、ご紹介したストーリーは、表題作で、最終話に位置する「マンション前の時計」という作品について、ですね。

普通のカッコでくくった「マンション前の時計」ではなく、それを包含する全体としての『マンション前の時計』という事ならば、きっと「ちょっぴり不思議な短編集」という纏め方が適当でしょうか。

最近、あまり見かけなくなってきた「影絵」が使用される話があったり、ジワッと感動出来る良質の短編があったり、はたまた、日常の中にある「どこか不思議な出来事」をフィーチャーした作品があったり、とバラエティに富んでいる印象です。

何しろ『ユリカ』という作品が、サイコホラーの趣がありましたから、本作もどこかホラー的な、そういう「不思議さ」なのかな? と漠然とイメージしていました。
実際、プレイしてみると、確かに第一話、第二話辺りまでは、少しホラー的なテイストを取り込んだ作品になっていたのですが、第三話目でしてやられましたね。

その三話目は、就職など、将来に対して不安を抱く大学生が、本屋のアルバイトで知り合った女の子に恋をして……というタイプの作品なのですが、短いながらも素敵な話として纏まっており、好印象でした。
タイトルも「想いは夜空に散って」とどこか詩的な感じで、とっても良いですよね。
これは、気になった点、になるのですが、この三話目のみ、選択肢がついています。しかし、どちらを選んでもエンドに変化はありませんでした。
他の作品が、全て「選択肢なし一本道」でしたから、この三話もそれに準ずる形にした方が、全体としての纏まりが良いかな? と少しだけ思いましたが、実はそこまで気にする所ではないのかもしれませんね。


そして、四話目、五話目では、「どこか不思議」なストーリーが展開されていきます。
そういえば、藤子・F・不二雄さんの「SF」というのは「サイエンスフィクション」ではなく、「少し不思議」という意味である、とどこかで聞いた事があります。
本作も、後半になると、藤子・F・不二雄的ではないにせよ、「少し不思議」と冠するに相応しいストーリーに。

結構、内容的にも出だしで「お!」と興味を惹くようなものが多いんですよ。
「食べた人が、涙を流してしまう幻のラーメンを出す屋台」がある、とか、「何故か時間が五分づれる時計」があるとか。

ラーメンのお話は、第四話の「幻のラーメン」ですけれども、強烈にスッキリとするオチが付いているわけでもないんです。だけれども、そこが一つの味になっていた、というか。
時計は、表題作なんですが、最後まで読むと「ええ!!」と軽く驚き、そして思わず笑ってしまうような、そういうオチがついていますw


本作に関して、「これは中々凄いぞ……」と思ったポイントが一つあって、それは「どの話もほぼ一定の長さ」なんですよね。
大体、私のプレイ速度では、全て7分ほどで読む事が出来ました。たまに短編集であっても、濃淡が非常にハッキリとしているタイプの作品もありますよね。例えば、一話目が10分くらいで、二話目が30分あって……とかね。
オムニバス的な短編集(ストーリー的に繋がりのある短編集)なら、そういう濃淡もあって当然、と思うのですが、本作の様に、前後に繋がりのないストーリーが何本も集まって一つの作品を成している場合、或る程度尺が揃っていると、まさに「短編集!」という感じがしませんか?
勿論、尺が揃っているから良いとか、揃っていないから悪い、とかそういう意味じゃなくて、ですよ。

ともあれ、一話一話がほぼ一定の長さ、というのは、プレイもし易いような気がしますし、本作のような短編集には向いていますね。逆に、これは一話一話の長さをほぼ一定になるように調整しているのかな? だとすれば、中々凄い技術だと思います。


そこまで派手さや、豪華さはないものの、少し不思議でどこかホッと出来る短編集です。
ちょっと一息つきたい、とか、気分転換なんかにぴったりだと思いますよ。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-01-08 21:36 | Comments(0)


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