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2011年 06月 15日

フリーサウンドノベルレビュー 『隣人』

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今日の副題 「丁寧な作りが魅力のホラー作品」

※吟醸
ジャンル:ホラー(?)
プレイ時間:一時間と少し。
その他:選択肢なし一本道。
システム:?

制作年:2009(?)/?/?
容量(圧縮時):199MB




道玄斎です、こんばんは。今日は、例の生放送にてご紹介頂いた作品をプレイしてみました。なるほど、人に紹介したくなるような、ハイクオリティな作品だったのではないでしょうか?
というわけで、今回は「Rosalia」さんの『隣人』です。
良かった点

・暗めの画面演出が、作品を盛り上げてくれる。

・そこまで長目の尺ではないが、満足感のあるボリューム。

・声優さんの演技が非常に上質。


気になった点

・割とオチの部分は読みやすい、かも。



ストーリーはサイトの方から引用しておきましょう
普通の生活をしていても、不可思議な空間と言うものは存在する。
最も安心で、安全な場所である「家」でもそれは例外が無い。

とあるアパートに入居したフリーデザイナーの悠木佳枝。
引っ越しの初日、挨拶に行った隣の部屋で佳枝は奇妙なものを目撃する。
インターフォンのノイズ。
激しく回るドアノブ。
そして、ドアから突き出した青白い手。
ところが、隣の部屋は賃貸募集をしておらず、今は誰も住んでいないという。
佳枝は奇妙な縁で知り合った上の階の住人、久松大吾と共にその謎を追いかけることになったが……。

こんな感じ。


さて、非常に久しぶりのレビューになりますが、私の大好物の一つ、ホラー作品です。
ただのホラーと侮る勿れ。縦書きで表示されるテキストは、嫌が応にも「ホラー感」を出してくれますし、ただの妖怪や幽霊と云ったものとも一味違う、「哀しさ」を感じさせてくれるものになっています。

加えて、所謂霊的な恐さ、だけではなくて、人間の持つ恐さ、みたいな所にまでちゃんと踏み込んでいる辺り、ホラー作品として、本作はかなり水準が高いものだったと思います。

また、こうシンプルなタイトルワークも非常にいいですよね。
中には凝ったタイトルで以て、読了後に「なるほどな……」と思わず唸ってしまうような、凄い作品もあるのですが、何となくの傾向で、シンプルで或る意味力強いタイトルを持つ作品は、割と「当たり」な気がしています。

元々、少しづつ連載(?)されていった作品のようなのですが、各章段にブツ切れ感はありません。
寧ろ、非常にスムーズに読んでいく事が可能。プレイ時間が、私では一時間十五分だったのですが、読む人によっては一時間程度で読めちゃえる人もいるかもしれませんね。

けど、そこに過不足を感じる事なく、本当に一本のパッケージとしてキチンと纏まっていたな、というのが凄いですね。作中では実質……5日くらいでしょうか? 一週間に満たない期間が描かれる事になるわけですが、物語の引っ張り方、演出が非常に上質な為、そこには密度、が存在しています。
故に、プレイした後に感じる余韻、そして「読み切った」という実感が持てるんです。

昔は「長編」である事が、フリーのノベルゲームの一つのウリだったりした時期もあるのですが、ただ、やたらめったら長い、というだけでは、2011年の現在では、やっぱりちょっと……。
いや、勿論、そこに必然性があり、どうしても作品を描くために長尺になってしまう、という事ならば話は別ですよ?

今の時代、良くも悪くも、ダラダラと続く長編、よりもメリハリの利いた短編の方が好まれる傾向があるんじゃないかな? なんて私なんかは勝手に思ってますけれども、皆様は如何でしょうか?


ここらへんで、作品の中身にも踏み込んでいこうと思うのですが、何故か住人から忌避されている無人のハズの202号室を巡っての物語、というのが、本作の端的な纏めになりますね。
202号室の隣、つまり、201号室に引っ越してきた女性が、マンションの住人の態度、そして実際に怪奇現象に遭遇して、202号室に対して興味(と恐怖)を持ち、それを調べていく、というミステリーっぽい要素もそこには入り込んでいます。

201号室の真上の階、301号室の住人大吾は、本作の中でかなり美味しいポジションで、この大吾が上手く前半~中盤くらいに掛けて作品を引っ張ってくれていましたね。
大吾は、決して脇役……とは云えないと思うのですが、その他の脇役にも凄く個性があって、そういう所も本作に於いて評価したい所。

実際、フルボイス作品なんですが、どのキャラクターも物凄く演技が上手いんです。
エンドロールを見てみれば、納得、何とプロの声優さんを起用しているじゃありませんか……。
更に、ちゃんとしたスタジオを使用して収録したと思しく、音質面での不満は一切ありません。スポンサーまで付いているわけですから、何か単純に「個人でやってるサークルです」とは云えないような……そういう気もしますw
ですから、スポンサーリンクとかが画面に出たりするんですが、そこはご愛敬、という事でw

基本、主人公佳枝と大吾が、協力しながら、202号室の謎を解明していく……というのが作品の大きな流れですが、実は、割と……早い段階で、オチ……というか、「こうなんじゃないか?」っていうのは分かってしまうと思います。

あまり謎が複雑すぎても、プレイしている側にとってみればストレスですが、敢えて挙げるとすれば、割とオチが読みやすい、というのを気になった点としてみました。
又、本作は、install.exeが付いていて、所謂インストールを要求するタイプの作品、なんですが、ちゃんとorigin.exeを叩いてやれば、ゲーム自体は起動しますし、わざわざインストール作業を行わなくてもプレイが可能です。

これも、毎度話しているような気がしますが、何故か「商業」のノベルゲームだとインストールに対しての抵抗感はかなり低いんですが、フリーで配布されている作品でインストールを要求されてしまうと、ちょっと萎えてしまう部分、私はありますw

フリーのノベルゲームの名作の一つ『TRUE REMEMBRANCE』も、実は最初はコミックメーカー製(だったよね?)で、コミックメーカーのランタイムを入れてやらないと動かなかった気が……。
その後、リメイク版にて吉里吉里/KAGという、おなじみのエンジンになって、プレイのし易さ、ハードルの高さが一気に解消されたんですけれどもね(オマケのシナリオも入りましたし)。


そして、謎を解決して、ハッピーエンド……かと思いきや、最後の最後でヒヤリとさせられるようなやり取りが入って、そこはもう、幽霊・お化けと云ったものを超越した人間の恐さ……みたいなものを感じさせてくれるもので、そういう演出も良かったですね。

中々、ホラーの作品でガツンと強烈なインパクトをラストに持ってくる、というのは難しい気はしていますが、欲を云えば、そうした作中随一の強烈な盛り上がり、があっても良かったのかも? と考えないわけでもありません。
先に挙げた「気になった点」や、これらの点を斟酌して、悩んだのですが、今回は吟醸で。


とはいえ、本作が、ホラーのノベルゲームに於いて、かなりの水準にある事、先にお話した通りです。
これは、やっぱり、一度はホラーが苦手な方でも、是非プレイして貰いたい作品ですね。
何の気無しにプレイし始めると、きっと読了まで止まらなくなる事、私が請け合いますw

という辺りで、今回はこの辺で。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-06-15 02:45 | サウンドノベル | Comments(0)


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