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2011年 07月 14日

フリーサウンドノベルレビュー 『仮面のセカイ』

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今日の副題 「私はヱビスの方が好きだなぁ」

ジャンル:人間の内側を描くノベル作品(?)
プレイ時間:凡そ50分ほど
その他:選択肢なし、一本道。一ルート読了すると、サイドストーリーが読める。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2011/6/25
容量(圧縮時):37.7MB



道玄斎です、こんばんは。
何か健康的な生活を余儀なくされたせいか、今凄く調子がいいです。このままガス欠にならない事を祈りつつ、のんびりまったりとノベルゲームをプレイしていきましょう。
というわけで、今回は「第三ノベル工房」さんの『仮面のセカイ』です。
良かった点

・立ち絵も一枚絵も無いが、設定の面白さでグイグイ読んでいける。

・肝心の内容も時に笑いあり、シリアスありで緩急が効いている。


気になった点

・篠田君のその後が気になって仕方がない……w

ストーリー、はふりーむからストーリーの所を抜粋し、引用しておきましょう。
『みんな、被ってます』

 高校二年生の篠田純一はある日突然、周囲の人々全員が仮面を被っているおかしな世界へ迷い込む。彼らの被る仮面はそれぞれ当人の心の偽り方を象徴しているようだった。
 仮面が見える上に、自由にはぎ取れる能力を得た篠田は、自身の好奇心を満足させるためだけに、人々を混乱のなかへと陥れていく。
 そんな、仮面のセカイのなかで篠田が見つけたものは――。

こんなストーリーです。


ある日、朝起きてみると、自分以外の人間が皆、「仮面」を付けているように見えてしまった主人公こと篠田君。試しに母親の仮面を剥がしてみると、普段抑圧されていた本性が吹き出て……。

という感じでストーリーが進んでいきます。
中々面白そうでしょ? 私は、ちょっと『僕の好きな君の顔』を思い出しましたね。こちらはある日、起きてみたら人間の顔が「数字」としてしか認識出来なくなった……というタイプ。
一見すると、ちょっと似ていますが、大きな差異がそこには横たわっています。
それは、主人公、篠田は他人の仮面を剥がし、本性を顕わにする事が可能、だという点です。

人間、誰しも何かしらの仮面を被って生活しています。仮面というのは、役割と言い換えてもいいかな? という気はしますねぇ。
多かれ少なかれ、場面場面に於いて、自分の仮面を付け替えたりしながら私達は生きています。

日常生活を送る私と、ブログを綴る私とでは絶対に「見え方」は違うと思いますしね。
ただ、脱線気味になってきましたが、割と人間の本性が見えるのは「文章を書かせた時」なんじゃないかと、私は思ってます。

「文は人なり」なんて言葉がありますけれども、何かのテーマやお題を与えてやって、それについて何かを書かせた時に、その人の為人が見えてくるような……。いや、別にこういうフリースタイルの文章でもいいんですけれどもw
上手い/下手ではなくて、言葉の選び方だったり、文章の癖だったりに、やっぱり人間性(っていうとちょっと大袈裟かも)の一端は出てきます。


っと、話を作品に戻して……。

本作、前半はコメディ、後半はシリアス、という触れ込みでしたが、実際プレイしてみると、そんな印象では無かったですね。
主人公だけに認識出来、且つ剥がす(=本性をさらけ出させる)事が出来る、っていう設定は十分シリアスだと思いますし、立ち絵や一枚絵が無くても作品世界にプレイヤーを引き込んでくれます。

それとスクリーンショットを見て頂くと分かりやすいのですが、本文中ブルーで表示される単語乃至言葉は、クリッカブルで作者さんによる解説を見ることが出来ます。
割と普通の解説だったり、時にギャグっぽかったり、「ヱビスビールじゃなくてアサヒの方が好み」なんて、或る意味どうでもいい情報が掲載されていたり、ねw

なので、シリアスでありながらも、コメディタッチな部分も上手に織り交ぜて作ってある、という感じなんですよね。ストーリーの大枠で見れば、凄くシリアスなのに、主人公が考えるアイデアが妙にバカだったりw

立ち絵や一枚絵が無くても……という文言は、最近の(でもないかな?)潮流に対する、一種のアンチテーゼです。
最近じゃ、立ち絵・一枚絵完備くらいじゃ驚かず、フルボイスの作品も多いし、下手すると豪華なムービーまで付いてきたりして、やっぱりヴィジュアル面がドンドンtoo muchになってるわけで。
でも、ヴィジュアル面だけに着目して、プレイする作品を選んでしまうと、本作のような面白い作品を見逃す事になるので勿体ないですよ! と云いたいのですw


さて、メインルートが、主人公篠田の「その後の悲惨な運命」を予感させるものになっていたにも関わらず、実はそれは作中で描かれる事は無かった、というのが、一番気になった点ですね。

ちなみに、メインルートを読了すると、最初は「?????」になっていた場所からサイドストーリーを読むことが可能になります。
基本、メインルートでサラリと流れた部分の内実、を描くのですが、このサイドストーリー集もバラエティに富んでいて良かったです。

桐山さん視点のそれは、ちょっと綺麗になりすぎていて、その点後書きでも触れられていましたね。
や、決して悪いシナリオじゃないんです。寧ろ、篠田の半ば自暴自棄の「他人の本性を暴いてやる!」という行動が裏目に出て、仮面が取れたことで、素の自分で向き合えるようになった男の子と女の子のお話……という感じでしょうか。
けれども、恋心を隠して相談相手になる、という「仮面」を桐山さんはやっぱり持っているんですよね。

次は、文学・クラシック音楽マニアという仮面を持つ男の子とオタクとしてならしている男の子のバトルの顛末……なんですが、これは何か凄く共感出来ますねぇ。
凄くいがみ合って二人がいて、本当に下らない事、バカらしい事でつい顔を見合わせて笑ってしまう。それがきっかけになって話すようになって……なんて経験、誰しもあるんじゃないかしら?
これも、本性を一度出してしまったが故、の結末なわけで、『スラムダンク』の名言を引用する辺りは笑ってしまいましたw

そして……最後の一個は……是非、ご自身で確かめてみて下さい。
コンプリートすると……おまけの……。


これも、凄く悩んだのですが、やっぱりメインルートでのラスト、篠田君のその後が微妙に暗示されつつも語られない、という所で無印にしました。肝心のメインルートがバッドエンド風味だしなぁw いや、バッドエンド風味なのは大好物なんですが、「どうなるんだよ、篠田……」と思っていただけに少し残念だった、という事ですw
けど、ツカミも上々ですし、普通に面白い作品、だと思います。

演出を参考にした作品までエンドロールで流したり、物凄い律儀な作者さんで、そんな所も妙に好感が持てました。
この作者さんは既に本作を含め、三作品をリリースしていますので、他の作品も折を見てやってみようかな、と思います。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-07-14 19:16 | サウンドノベル | Comments(0)


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