「ほっ」と。キャンペーン
2011年 08月 23日

フリーサウンドノベルレビュー 『ガールズ・ナイト・アウト』

b0110969_1929218.jpg

今日の副題 「先公なんてやっちまえ! 校舎に火をつけろ!」

ジャンル:微中二病少女ノベルゲーム(?)
プレイ時間:合計で1時間程度
その他:選択肢一箇所有り。バッドエンド、ハッピーエンドに分岐。
システム:Live Maker

制作年:2010/12/26
容量(圧縮時):53.9MB


道玄斎です、こんばんは。
久しぶりのノベルゲームレビューですね。京都に行っていたり、或いはマシンのHDDを2TBのものに差し替えたりと色々忙しかった、というのは言い訳になりますでしょうか?
実は、京都に行く前に少しだけプレイしていた作品があり、今日読了したのでその作品のレビューを。
というわけで、今回は「永遠の文芸部」さんの『ガールズ・ナイト・アウト』です。
良かった点

・ハッピーエンドでは、安直な社会批判、大人批判にならずに良かった。

・「感動させる」為ではない、死のあり方を見せてくれて好印象。


気になった点

・実は立ち絵でキャラが見分けにくい。

・序盤の中二病っぽい下りで、厭になってしまう人もいるかも。

ストーリーは、ちょっと長いですけれども、サイトの方から引用しておきましょう。
余命わずかとなった女子中学生の桜井かりんは、卒業直前に些細な犯罪を企てる。
それは最近流行りの「放火」である。自分を捨てた父親の家に火をつける。
でも、よくよく考えてみるとかりんたちの放火は決して罪ではない。
かりんの放火計画に、友人の可奈子、夏海、奈々は快く協力することになる。
可奈子たちは、決してかりんに手術を受けろなんて言わない。
そして、かりんは放火するだけじゃ飽きたらず、父親の弱みを握りたいと言い出す。
ということで、放火の前段階として父親の「弱み」を握るために、ススキノを徘徊する可奈子達。
少女達の楽しい放火計画と、ススキノ徘徊。
変態親父。クソ教師。このイカれた世界で、放火を罪だと言えますか?

こんな感じ。


この「永遠の文芸部」さんの作品、もう何度も取り上げていますが、毎度毎度出てくる設定は「舞台が北海道」です。どうも、北海道っていうのは郷土愛が強いようで、作者さんの出身地も北海道と思しき事から、郷土に対する愛情を感じますねぇ。
本作も、その例に漏れず、ちゃんと舞台が北海道になってましたし、北海道方言もチラホラ出てきてます。

いきなり、ガワからの説明になりますが、結構人物が誰が誰か、が分かりにくいんですよね。
けど、これは結構重要な問題を秘めていて、分かりにくいから「良くない」とも実は云い切れませんし、分かりやすいから「良い」とも云いにくいんです。

本作で云えば、主人公……というか視点人物可奈子と、奈々はビジュアル的に結構似てるんです。
中学校の制服を着て、同じような髪型で……となるとどうしても、差異を出すためには、「ピンクの髪の毛」にするとか「金髪ツインテールにする」とかにしないと厳しいんですよね。
や、立ち絵が存在する場合、ですけれども。

この場合、半ば記号化されている「髪の色」「髪型」が良いのか、はたまた、リアリティという面では軍配の上がる「みんな同じような髪の毛で同じような髪型」が良いのか、凄く悩む所です。
大凡、ピンクの髪の毛で割と短い子は、幼なじみ・妹系のキャラで、金髪が高飛車お嬢様系、濃い青のロングだとお姉さん系とかねw 割と思い当たる節、あるんじゃないでしょうか?

本作を最初にプレイした時、可奈子はこの中のどれなんじゃ? と一瞬悩みましたw
何しろ、立ち絵で四人、女の子が並びますから、特に奈々との差異が分かりづらかったんですよね。
けど、中学生なんてそんなもんだし、そういう所をコミでやっているのならば、それは表現の手段として全然アリなんじゃないかなぁ? なんて思うようにもなったりして。
それに、ちゃんとプレイしていけば、誰が誰か、がちゃんと分かってきますしね。

どのキャラがどれだか分かりづらいと書きましたが、少なくとも、父親の家に放火しようとしているかりんの存在感は突出していましたから、その辺りで少し救われたかな? という印象も。


大体……本作は前半20分、後半20分ちょいに分ける事が可能かな?
前半部は、「大人なんて汚い」的な、そういう主張が中学生女子のキャラクターの口を借りて語られていきます。私も「このまま、こういう感じで終わっちゃったらどうしよう……」と一瞬たじろぎましたw

又、余命一ヶ月宣告されているかりんが、かなりあっさりとその事実を認識してしまっている点、そして主人公を含めた仲間三人も動揺である点は、些か気になる部分かもしれません。
とは云え、余命宣告をされた女の子が仲間と一緒に、夜のススキノ(東京で云えば歌舞伎町みたいなもんかな?)を徘徊したり、風俗店の前で張り込みをしたり、はたまた放火を企む、なんて中々、そそるイントロじゃないですか?

あんまりにも、全うで健全すぎるより、ちょっとこのくらいスパイシーなものも時には良いものです。
昔取り上げた事のある『LEAVEs.』なんかもそんな感じでしたよね。


一箇所、後半に入ると選択肢があり、それによってエンドが分岐するわけですが、「こういうストーリーの運びだからこっちが正解だろ」と思って選んだら、ちゃんとハッピーエンドが見れて良かったですw
いや、私、選択肢選びが苦手でw 長編で選択肢たっぷりの作品になっちゃうと、もう相当キツくてw

そういえば、脱線しますが、もう八月も終わりだというのに、ホラー作品プレイしていませんねぇ。
何か一本でも良さそうなホラー見つけてプレイしたいなぁ……。


さて、ここらへんで、本作の良い点に。
前半分は、ちょっと痛い中二病的な発言が目立っていたのですが、ラスト(ハッピーエンド)では、安直な社会批判や大人批判ではなく、「大人になった自分達がどうするか」という、形で纏まっており好印象でしたね。
そう、本作は、サンドウィッチ型なのです。
冒頭部で、20歳の可奈子がチラリと出てきて、過去を回想していく形で本編が語られます。そして最後に……。

もう一点は、やはり安直な「死」による感動が無かった、という事でしょう。
かりんは余命僅かですから、どうあがいても死んでしまうんです。けれども、そこが本作の最大のクライマックスかって云ったら、話はまた別なんじゃないかな、と思います。
かりんの「死」を乗り越えていった所にうっすらと見えてくるテーマ。そこにこそ本作の描きたかったものの一端があるように感じますね。

また脱線ですけれども(最近、自重してたからね)、先ほど某Twitterで「死にたいと云うヤツは何を考えてるんだ? 構って欲しいだけじゃないか? 生きたいと思ってる子に失礼」みたいなツイートにリツイートがなされていました。
こういうの、どう考えるのか、相当困難で恐らく単一の答えは無いんですけれども、一つ云える事は、「死にたい」と思う事なんて日常的に転がってる、という事。
そして、人間は意外と簡単に死んでしまいます。「あの時、話を聞いてやれば」「連絡してやれば……」と後悔しても遅いんですよね……。

私なんかは、構ってやる事で一人の死亡を減らせたら、それはそれで良い事なんじゃないかと思うんです。勿論、過度に依存されてる、とかだったら話は別だろうけれども。
きっと、こういうツイートをする人は「死」というものに直にふれあった経験が希薄なんじゃないかな、なんて思うんですよねぇ……。それは肉親の死だったり、友人の死だったり。

「死ぬって云うのは勝手だけど、私はあなたが死んだら悲しい」
この一言だけでもいいから、伝えてあげる事って出来ないのかね。
そして、もう一点云わせて貰えれば、「失礼」というオブラートで包み込んでますけれども、「生きたいと思ってる子」に対して明らかに「哀れんで」るんですよね。しかも「子」って、ある種弱いものの象徴に転化させている辺り、何だか狡猾なような、それで居て頭が悪いような……。

って派手に脱線しているような気もしますが、死ぬという事、自殺するという事、死にたいと願う事、何もかもが厭になってしまうという事。みんな本作のテーマと微妙に関わりがあります。


前半の、中二病前回の発言でどうか引かないで下さいw
後半は、何か心に沈殿していくものが味わえると思いますよ。


それでは、また。
[PR]

by s-kuzumi | 2011-08-23 19:27 | サウンドノベル | Comments(0)


<< フリーサウンドノベルレビュー ...      なんてことない日々之雑記vol... >>