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2011年 09月 03日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『去りし日の花』

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道玄斎です、こんにちは。
本日二回目のレビュー。何の気無しに、お八つ感覚でプレイしていた(10分なのでお気軽に、とか書いてあったもんで)ゲームが、予想以上に良い出来で、こうして筆を執っています。
というわけで、今回は「Star Chasers」さんの『去りし日の花』です。



いや、これは良かった。
確かに10分という短編でありながら、作中で語られる4年間が凝縮されているような、そういう密度のある作品になっていたんじゃないかと。タイトルも私好みでしょ?w

無事、大手に就職も決まり、されどテンプレートの人生を送る事に言いしれぬ不安や、失望を同時に抱え込んでいる主人公。そんな主人公は、半ば無意識に、高校時代を過ごした街への電車の切符を手にしていたのだった……。

というのが、ストーリーの大まかな流れなんですけれども、就職して結婚して、子供を作って……というプロセスが本当にテンプレートで誰しも訪れるのならば……いいですよね……。と、もはや結婚が絶望的な私はチラッと思いましたけどw

仕事を選ぶっていうのは、或る意味生き方の選択に他ならないわけですから、ちっと主人公が青臭くもあり、又、贅沢だなぁ……っていうのはありますw
けれども、そうした人生の節目を迎えて、やはり人生の節目となった日々を思い出させる街に行く、というのは何とも風情がある……というか、非常に分かる感じがします。

そして……当時、同じように夢を追っていた女の子と再会して……というのもありがちと云えばありがちなんですが、それが10分の中にギュッと濃縮されている為、凄く良い作品になっていましたね。

又、「分かる」ものとしては、大好きなものと「一番になれるもの」は明らかに異なる、という真実です。
よほどの天才性がない限り、私達は、自分の大好きなもの、自分のやりたい事で一番になれません。私もそうでした。
そこで、方向転換を図るのは、果たして悪い事なのか、それとも夢を追ってひたむきに一番になれずとも、地道にその道を進んでいくのか……。どちらかが良い/悪い、は本作では描かれません。
そういう演出もやっぱりいいですよね。そこで、単純に「一番になれなくても頑張るのは良い事だ!」って云い切られちゃうと、それはそれで困ってしまいますw

きっと皆さんも、そうした現実に何とか折り合いを付けて「今」を生きているハズですから。
二つの生き方があって、どっちも間違ってない。だけれども、確かに夢を追ってキラキラと眩しい過去があった、という事実があるだけ。
そして、その意味のある過去が未来を支えていく、という主張は納得感があり、且つ本作の最も良い所、と云っても良いでしょう。

ちなみに、後書きなんかを読めば分かる通り、本作立ち絵は存在せず、要所要所で出てくる一枚絵に全力が注がれています。これは大正解ですね。
これで立ち絵が出てきちゃうと、何だか妙に俗っぽくなってしまうというか。
背景CGも凄い気合いが入っていて、良い感じでした。素晴らしい背景に一枚絵、そして語りたいテーマが上手く融合した、気合いの入った作品です。


人生の節目を迎えている方、に是非ご一読をお勧め致します。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-09-03 16:04 | サウンドノベル


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