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2011年 09月 08日

フリーサウンドノベルレビュー 『ランプ lamp/rumble』

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今日の副題 「シンプルだけど、そこがいい」

※吟醸
ジャンル:ランプの精と同居ストーリー(?)
プレイ時間:本編1時間半程度。おまけまで入れて1時間40分程度。
その他:選択肢アリ。バッドエンド3つ、グッドエンド1つ。
システム:NScripter

制作年:2005/5/?
容量(圧縮時):3.41MB




道玄斎です、こんばんは。
時々、このブログは思い出したかのように、昔の作品を取り上げる事があるのですが、今日もその一環で六年前の作品を持ってきました。容量をご覧下さい。なんと驚きの3.41MB! 今じゃ、OPムービーや主題歌やらどんどん豪奢になっていくフリーのノベルゲームの世界では、数百MB、下手をすれば1GBを超えてしまう事もあるわけですが、容量の大きさと作品の良さは飽くまで別個、という事を改めて感じさせてくれた、そんな作品です。
というわけで、今回は「Magicair/Air」さんの『ランプ lamp/rumble』です。
良かった点

・ヒロイン、ラシフィルのキャラクターが非常に好感が持てる。

・ご都合主義……と云えばその通りだが、暖かみのあるラストでじんわり出来る。


気になった点

・オチは割とあっさり読める。

ストーリーは作者さんのページから引用しておきましょう。
君塚啓吾、十六歳。特に特徴もない(と自分で思っている)、平凡な高校生。
ある日彼は、骨董品屋をやっている祖父から、ランプをもらう。それに啓吾は最初は嫌がりつつも、段々と気に入っていく。
そうして、その日はいつも通り眠りについた。
――――翌日。
「おはようございます、マスター」
一人の蒼い髪の少女が、枕元に座っていた。
そこから、物語は始まっていく。

こんな感じ。


大凡、男性主人公が女性と同居する「同居モノ」は、同居する(居座る?)相手は女性で、尚かつ人外だったりします。何となく幽霊が多い気がしますねw
まぁ、男性主人公の家に男性が同居したらBLになっちゃうので性別について、特に考える必要はないでしょうw

さて、本作の目新しい点と云えば、同居する女性が、幽霊ではなく、ランプの精だという点でしょう。
当然、主人公に対して「願い事を一個」叶えてくれる、というオプション(それがメイン?)付きです。その願いを決める為の期間として七日というリミットがひとまず設定してある点、評価すべきでしょうね。

毎度書いている気がしますが、兎にも角にも、ストーリーの終着点が示されていると、何か安心出来ませんか? サラリとプレイしてみたら実は一年間を描く作品だった、とかだと厳しくないですか?w 
それよりも、ひとまず、枠組みとして七日なら七日、と物語のリミットが示されていると脳内で、「まだ一日目だから、そこまで深い話にならないな……」とか「そろそろ三日目だから、何か重要なパーツが示されるぞ……」とか心構えが出来る、というか。

本作の良い点は、なんといってもランプの精こと、ラシフィルのキャラクターが厭味が無くて良かった、という点ではないかと思います。
過剰に萌えを狙ったものでもなく、天真爛漫さや優しさ、そして時折見せる真面目な姿。それらがバラバラに提示されるのではなく、ちゃんとラシフィルという一人のキャラクターのものとして統合されている、という事です。

主人公とラシフィルの掛け合いも上々で、思わずこちらもその作中の「楽しい空気」に感染してしまいます。七日というリミットの中で、二人の距離感の推移を描くのがとっても上手いです。
所々に文章にウエイトが掛かるのですが、これは演出としてのウエイトですよね。
あんまり頻繁にウエイトしてしまうと、うざったく感じてしまうのですが、本作くらいのウエイトなら飽くまで「見せるべきテキストを見せる」為に機能しているので、そこまでプレイのしにくさを感じる事はないのではないかと。

ちなみに一応バッドエンドはありますが、常識的な選択肢を採っていけば、問題なくグッドエンドにたどり着けると思います。


この作者さんの作品は何度かプレイしていますが、割とファンタジー色の強い作品がやっぱり多いですね。
本作は、その嚆矢というか、多分処女作だったハズで、割と薄め……のファンタジーですね。
日常があって、そこに非日常(ランプの精)が入り込んでくる、みたいな。他の作品は、非日常が日常として受け入れられてる世界が多いですね。

ファンタジーはファンタジーで凄い好物なんですけれども、この日常の中に入り込む不思議、というヤツも乙ですよね。
何しろ製作年が少し古めですから、凝った演出とかは少なめ。だけれども、ヒロインと主人公の暖かなやり取りで十分楽しめるものになっています。
よって、今回は少し甘めですけれども吟醸、です。


気になった点としては、やっぱりオチが簡単に読めてしまう……という所でしょうか?
ちょっとヒネリは加えてあるのですが、大凡最初に抱くであろう予想通りに落ちてきた、という感じです。それが必ずしも悪いわけじゃないのですが、もうちょいプラスアルファがあっても良かったかな? という気は少しします。

けど、慌てて付言しておきますが、セオリーがあってセオリー通りにストーリーがキチンと纏まる、とは実は凄い事です。
何事にも型っていうのがあって、型を知らずして、何か人と違った事は出来ないんですよね。型をキチンと修めて、そこから型を出て、自分の形を作っていくわけで。そして型通りに作ったものでも……丁寧に作られていればちゃんと楽しめるのです。だからこその吟醸なのでした。



という辺りで、今回はこんな所でしょうか?
もし、ランプの精が出てきて一つだけ願い事を叶えてくれるとしたら……あなたは何を願いますか?



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-09-08 22:19 | サウンドノベル | Comments(0)


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