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2011年 10月 31日

フリーサウンドノベル関係の雑記 箸休めvol.49

道玄斎です、こんばんは。

ここんとこ、少し忙しかったのですが、一段落ついたかな? という訳で、今日は久々の更新。しかも日々之雑記ではなく、箸休め、の方で。



■あの名作のリメイク&商業化について思う事

前回の日々之雑記にて、SSSさんという方から、フリーのノベルゲーム/サウンドノベルに於いて不朽の名作とも云える『TRUE REMEMBRANCE』の商業化のお話を教えて頂きました。

私個人として、この『TRUE REMEMBRANCE』の商業化について思う事もあったりするので、少し書いてみようと思います。一応、但し書きを付けておきますと、飽くまで、これは私一個人の意見・感想です。


今回、教えて頂いた情報源にアクセスして、実際に3DS版の『TRUE REMEMBRANCE』の画面やら概要やら見てみたのですが、先ず、凄く残念に思った事がありました。
それは、イラストが里見しばさんのものでは無くなっている、という点です。

私は寡聞にして知らないのですが、その筋では著名な絵師さんの手でイラスト(立ち絵・一枚絵)が一新された形での移植、という事だったんですね。
いくらその筋で評価が高い絵師さんであっても、そこはシナリオを書いている里見しばさんの絵を超える事が出来ない、と私は思うのです。

世の中には凄い人もいるもので、シナリオ、スクリプト、イラスト、果ては音楽・効果音まで全部自分で作っちゃう人もいるわけですけれども、何となくの感覚として、シナリオとスクリプトは自分でやるけれども、イラストに関しては外注、もしくはサークル内の絵が描けるメンバーにやって貰う。音楽は素材サイトから借りてくる……なんて形が割と一般的かな? と思います。

まぁ、その素材、の面で一助となるように、Novelers' Materialというサービス(?)をこちらも提供しているわけですが、それはさておき、シナリオとスクリプト、そしてイラストを自身で手がけている、という人もチラホラ散見されます。

中には吃驚する程上手な人がいる一方で、何て云いますかちょっと味のあるタイプの絵柄だったり、云ってしまえば、あんまり上手ではないタイプのイラストがついていたりもします。

けど、実はそこに単純に、上手い/下手という概念を持ち込むのは早計というもの。
何故ならば、そのシナリオ世界を創り上げた本人が描くイラストが、やはりその世界を最大限表現している、と思うからです。いはんや、里見しばさんをや、という訳です。

『TRUE REMEMBRANCE』は、ストーリーそのものも非常に高レベルで、多くの人に受け入れられている作品ですし、この界隈での知名度は抜群でしょう。もしかしたらナンバーワンかもしれませんね。
且つ、イラストも暖かみのある、レベルの高いもので、特に数年前リメイクされたヴァージョンでは、一枚絵も増え、それも又、とても美しいものになっていました(今、確認の為に『TRUE REMEMBRANCE』を起動してみたら、最初にコミックメーカー製の方を開いてしまいましたw)。

何が云いたいのか、というと、里見しばさんの絵は、そのままで十分通用するものだと思うのです。
先にも少し触れましたが、シナリオを書いた人がイラストも同時に手がけると、相乗効果で世界観を余すところ無く表現出来ます。
たとえ少々絵が下手だとしても……それでも猶、シナリオライターが書いた絵は、その作品にベストマッチするようになっている、と私は思うんですよね。

ですので、著名な絵師を起用して絵を一新させる、という点に関しては、私はどうしても違和感を覚えます。
それが、例えば、里見しばさんご自身によってもう一度書き直す、というものであれば、それは私としては手放しで歓迎出来るものだったハズです。

いくらイラストが上手な絵師でも、いくら有名な絵師であっても、『TRUE REMEMBRANCE』の世界を表現出来るのは、里見しばさんご自身によるイラストに他ならない、というのが私の持論。

フリーの名作が評価され、商業化する事になった、という点に関しては喜ばしい部分もあります。
が、やはり、その作品を支えてきた土壌の一つである、作者さん本人の絵を全て取っ払って、一新させてしまうのはどうなのか、と。
この点、非常に違和感を感じています。



もう一点、挙げるとするならば、有名な絵師を起用する、という事とも関連して、ここの所、資本を持った業者による、フリーの作品の青田買い、みたいな事が起きてるのかなぁ? なんて思ったりします。

私が確認しているだけでも『ひとかた』、『ほしのの。』なんて作品が、携帯アプリなんかに移植され、言わば商業化しています。
で、やっぱり、イラストの刷新、という事が行われてるんですよね。まぁ、『ひとかた』はイラスト元々付いてませんでしたけど。

上手く云えないのだけれども、或る著名で内容の良い作品の、美味しい「中身」だけを取ってきて、見栄えの良いガワを付けて、「商品」に仕立てちゃうような所があって、何となく、その辺りも私は違和感を感じますねぇ……。
作者さんとしては、自身の作品が商業化すれば、より多くの人に遊んで貰えたり、或いは汚い話ですが、お金が入ってきたり、とメリットはありましょう。

けど……その作品を支えて、そして不動の地位まで持ち上げてきた、フリーソフト愛好家も納得出来るような形で商業化してくれたらな、なんて思うのです。
フリーのノベルゲーム/サウンドノベルは云うまでも無く、お金を払う必要の無いフリーゲームです。だからこそ、そこで抜群の評価を得ている作品は、「本当に凄い作品」なのです。

つまらない作品であれば、すぐにプレイを辞めたっていいわけです。
一方で、8,800円出して買ってきたものであれば、お金を払っちゃってるわけですから、「一応最後まで……」という妙に貧乏性な部分が出てきて、最後の最後までプレイしてしまうのが人の常ですけれども(私だけ?)、フリーという、或る意味で、シビアな状況の中で、ずっと名作、と云われ続けてきた作品達は、それを支えてきた、人的な土壌があるんですよね。

何だろうな、そういうコンテクストを無視して商用に「仕立てる」みたいな、感覚が嫌いなのかもしれませんね、私は。
そういう意味で云うならば、『ひとかた』のイラスト付きのリメイクは、そこまで違和感を覚えません。何故ならば、元々『ひとかた』にはイラストが付いていなかったのですから、商業作品にするに当たって、そこにイラストを付与する、というのは極々自然な事だから、です。
まぁ、個人的には智恵さんの頭がおだんご、じゃなかったのが残念だったかなw

けど、『TRUE REMEMBRANCE』の場合は、既にして温かくも綺麗なイラストが付いているわけですから、それを取り替える、というのは、ちょっと『TRUE REMEMBRANCE』そのものの中身を無視しちゃってるような……そんな気がするのです。

だから、例えば、音楽はフリーの素材では無く、書き下ろしの曲になる、とかだったら全然OKです。
或いは、フリー版には無い、オマケの要素、シナリオが付く、というのもOK。
或いは、ライティングをしている里見しばさんがもう一度イラストを描き直す、というのも大歓迎です。


集約すると、既に上手いイラストが付いているのだから、わざわざイラストを変える必要は無いよね、って事。有名な絵師を起用する事で集客を狙っているのかもしれないけれども、それは却って『TRUE REMEMBRANCE』の本質から離れていってしまうような気がする、って感じかな。

又、今回の件に限らず、その作品の本質、その作品が支持されてきたコンテクストを無視して、中身だけを利用して、見栄えの良いガワを付けてパッケージングして「商品」にしちゃう、そういう商業的な、フリーゲームの青田買い、みたいなやり方が、何となく気持ち悪く感じるのでした。
多分……今後もこういう事が多くなるんじゃないかな? なんて思います。


もし、貴方の作品に商業化の話が来たら……その時、貴方はどうしますか?
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by s-kuzumi | 2011-10-31 19:57 | サウンドノベル


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