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2011年 11月 11日

フリーサウンドノベルレビュー 『電波電波カプリッチョ!』

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今日の副題 「世界で一番中二病!」

※大吟醸
ジャンル:中二病全開、学園ノベル(?)
プレイ時間:1ルート凡そ3時間程度。
その他:選択肢アリ。バッドエンド(複数)とハッピーエンドが二つ。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2011/8/13
容量(圧縮時):98.8MB




道玄斎です、こんばんは。
或る作品をプレイすると、ちょっと似たような傾向を持つ作品を何故かプレイしてしまう、という事が私には多々あるわけですけれども、今回もそんな感じ。そして久々の大吟醸です。
というわけで、「なすびあん」さんの『電波電波カプリッチョ!』です。
良かった点

・電波な中二病を、主人公の基本設定として上手く使用していた。

・又、その設定と学園ストーリーがお互いに干渉せず、綺麗に纏まる。

・電波で中二病な主人公の発言・心中思惟がひたすら面白く、そして熱い。


気になった点

・中二病、電波設定が苦手な人は、置いて行かれる部分があるかも。

・ひなたルートは、やや薄味だったか?

ストーリーは……長いのですが、ふりーむの方からドドンと引用しちゃいましょう。
▼主人公視点あらすじ
生まれつきの能力者であり、覚醒を待つ状態で始まった高校二年生の二学期。
今年の夏休みも覚醒しなかったことに失望しつつ平凡な学校生活を再開しようとした矢先、二学期初日から一人の女の子が欠席する……。
不審に思い、部下であるクラスメイト山田明夫と調査を開始した。
だがそれが発端となり様々な陰謀が白日の下に照らし出される――!
次々に発覚する事実!

闇の組織デーモンビースト、光の組織シルバークロイツ、調停機関コンツ……なんとかレアーリ、同じく覚醒の徴候を見せる一人の少女、対照的に一般人でありながら強くあろうとする少女!
悪の手は容赦無く登場人物達の肩を揺さぶり、首を絞め、爪を立てる!
信じていた仲間にも裏切られ、人間の醜態がむき出しになり、傷付き、倒れながら、それでも愛の果てに見せる行動は――!?

:客観的視点あらすじ:
とある平凡な高校で、二学期再開と同時にとっても深刻な出来事が起こりました。
一人の少女の、プチ登校拒否。
夏休みの間に大きな失敗をしてしまった内気な少女は、とうとう気に病んで学校をずる休みしてしまったのです。
ですがそれを気にしたのは、彼女と全く話した事も無い一人の少年。
少し電波の入った彼は何を勘違いしたのでしょう、クラスで唯一の友達すら疑いながら彼女に接近を始めます。
さらにさらにそんな電波な彼とは幼馴染みのクラスいいんちょも、半分は巻き込まれる形でその輪に飛び込みます。
だけど、登校拒否の少女の物語が明るい訳がありません。
辛くて、憂鬱で、悪意を持った人達が居て――暗いお話で。
だけど、電波な彼は斜め上を行く深刻さを持って、ハッピーエンドへ走り続けるのでした。

○感動したら寄付歓迎!(追って「なすびあん」のサイトにて情報更新します)

こんな感じ。

主人公視点でのストーリー紹介も、一般視点からのそれも微妙にズレていますねw
というか、ここは、主人公視点でのストーリー世界でピンとこないと、本作品を楽しめない恐れがあります。或る意味で人を選ぶ作品である事も確かなのです。
中二病、電波設定……そういうものに、激しく違和感を感じたり、ついていけなさを感じていると、最高の盛り上がりを見せる後半~ラストの流れを見る前に、プレイを止めてしまう可能性があり……そこが気になった点の一つ、かな。

けど、敢えて云いますけれども、本作品から電波、中二病を抜いてしまったら、全く味気ない作品になってしまいます。
電波設定を抜いても、楽しめる事は楽しめるハズです。けれども、それは私基準の「吟醸」ではあっても、「大吟醸」まで押し上げるものではありませんでした。飽くまで、電波・中二病が融合した学園ストーリーだから、本作は大吟醸たりえているのです。ちょっと上から目線ですけれどもw

少し脱線しますが、『無理やり主人公』という作品を最近プレイしてレビューまで書いてしまいました。
あちらは、電波で中二な設定を熟知している主人公が、それを逆手にとって主役に成り代わろうとする物語でしたね。
本作も又、同様に電波な設定を持っているものの、主人公一郎は生粋の電波野郎なので、終始電波な発言、心中での思惟を繰り返しますw 電波を扱う二つの作品ですが、こうして対比してみると面白いですね。勿論、優劣、じゃなくてね。


実は、本作、その設定を抜かせば、先にチラリと書いた通り、結構オーソドックスな学園恋愛ストーリーなんですよね。そこに気づくまで、私は一時間半~二時間くらい掛かりましたw
正直、最初は、「ストーリーがどこに向かっているのか?」が全く分かりませんでした。
クラスメイトの女子の新学期早々の欠席に、不穏な匂いを(勝手に)嗅ぎつけ、調査をし出す主人公一郎……。
そこには、一郎の、まぁ舎弟って感じのポジションの明夫、そしてヒロインの一人で、一郎の幼なじみでもあるひなた、といったキャラクターが動いて、主人公を助け、或いは電波に対して激しいツッコミを入れたりしていきます。そして、その欠席をした萌も絡んだ形で、ストーリーは進行します。

その合間合間に、一郎の時に宇宙規模まで及ぶ脳内ストーリーが展開されるのですが、まぁ、概略としては意外なほどチープですw
善なる組織シルバークロイツと、悪の組織デーモンビーストが存在して覇権を争っている。そして謎の第三者機関も存在している、と。
一郎は、自らを以てシルバークロイツの戦士であるファカルティー(もう、なんのこっちゃ良く分からないw)を任じているのだけれども、まだ覚醒していないw
更に一郎の通う学校にもデーモンビーストや、その下級構成員ダークネスイントリューガーがいるらしい……。
逆に云えば、こういう設定で、「これは笑えるぞ……」と思える人ならば、手放しで大笑い出来る事、請け合いますw

まぁ、そうやって、仲良し四人組(というには語弊があるか……主人公はアレだし、明夫もアレだしw)が、何故か遊園地に行って、結果的にダブルデート的な事をしたりするのですが、そういうガワだけ見ると、結構普通でしょ? 
けど、一郎は萌の事を同じファカルティーだと思っていたり、献身的なまでに一郎の手足となる明夫を、諜報機関の人間だと思いこんでいたり、表面だけみれば割と普通なのに、一郎の存在によって普通なハズの学園恋愛モノが明らかに変質してしまっていますw


けど、一郎が電波脳による勘違いをし、シリアスに行動に移す事が、結果的にヒロインの助けになり、彼女たちを救うきっかけになる、というのが本作の面白い所です。
そして、電波に裏付けられてはいるのだけれども、一郎がまた、熱いセリフをガンガン連発するんだ。前後の文脈を無視してみれば、本当にカッコいいんですよw

なので、中二で電波な設定と、学園青春ラブストーリーが意外な程しっかり絡み合い融合していて、どちらかが浮いている、という事がないのも、本作のポイントかもしれません。
ただの学園ラブストーリーでは物足りない。そこで何か、他の味付けをしてやる事で差異を出す。けれども、その味付けが薄味だとあまり変化はしないし、濃すぎると味が分離してしまう恐れもあるわけです。
そこに、強烈な味付けをしながらも、見事に一本の作品、として成り立っており、非常に高く評価したい所です。


ルートとしては、2種類、と考えればOK。
ヒロインの、ひなたと萌のルートですね。個人的にはひなた……の方がキャラとしては好きなんですが、ストーリーとしては萌のルートの方が好きかな?

萌ルートの方は、そのイジメの背景にある吹奏楽部での確執や、萌自身のピアノに対する自信喪失とその復活といったエピソードが折り込まれるので、シナリオが重層的になっています。

一方、ひなたのルートでは、萌ルートに存在したピアノや吹奏楽部での確執、といったストーリーを支えるシナリオが割と希薄で、やや薄味かな? という気はしますね。
ただ……ひなたルートでは、意外なキャラの意外な行動があったりと、それはそれで楽しめる内容になっている、というのも事実ですけどね。


出だしの電波全開! に引かないで、是非一時間程度でいいのでプレイしてみて下さい。そういう属性が根っからダメ、って人以外、絶対に楽しめますよ。
今回「世界で一番中二病」と、副題で書きましたが、より正確に云えば「世界で一番(カッコいい)中二病」ですw これで大吟醸じゃなかったらどうにも座りが悪いので、久々に大吟醸で!

電波だけれども、熱い一郎の行動、セリフにも注目しながらプレイしてみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-11-11 18:25 | サウンドノベル | Comments(2)
Commented by 青井えう at 2011-11-12 12:53 x
初めまして。「電波電波カプリッチョ!」のシナリオ担当、青井えうです。
この度はレビューして頂きましてまことにありがとうございます!
レビューを読みながら、自分の作品の長所と欠点をかなり勉強させて頂きましたw
すごく参考になりました!
しかも評価に大吟醸を付けて頂けて本当に嬉しいですw

それから、アンケートにご回答していただけましたでしょうか?
今見たら道玄斎さんのモノと思われるアンケートが送られていたので……。
そちらへの回答も、ありがとうございましたっ。
ではでは、これで失礼いたします。
Commented by s-kuzumi at 2011-11-14 20:17
>>青井えう さん

こんばんは、はじめまして。

こちらこそ、楽しい作品、目一杯楽しませて貰いました。結構好き勝手書いているので、果たして、お役に立つ事が出来たのかどうか、相当怪しいですw 気にくわない所など、あるかと思いますが、そういう所はサラッとスルーしてやって下さいまし。

で、アンケートにも答えさせて頂きました。
匿名……なのにバレてしまうのは何でだろうw 面白い作品で且つ、アンケートや感想募集、などしていたら、ついつい答えたり、送ったりしちゃうんですよね。そうした事が少しでも励みになれば……。

というわけで、わざわざコメント下さり、本当に有り難う御座いました。
それでは、失礼致します。


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