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2011年 11月 23日

フリーサウンドノベルレビュー 『にぃにぃ☆にぃとだうん』

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今日の副題 「ニートですけど何か?」

ジャンル:ニートの恋愛アドベンチャー(?)
プレイ時間:凡そ1ルート45分ほど。但し、羽衣のルートは1時間半くらいある。
その他:選択肢アリ。選択肢で三つのルートに分岐。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2011/11/13
容量(圧縮時):437MB




道玄斎です、こんばんは。
今日はつい先日リリースされたばかりの作品のご紹介。VIP系の作品ですので、一定以上のクオリティが期待出来ますね。
というわけで、今回は「すたじお にぃにぃ」さんの『にぃにぃ☆にぃとだうん』です。
良かった点

・ニートが集まって作ったゲームで、主人公もニート! 変わり種の作品!

・一ヶ月でこれだけのものが作れるって……ハイスペックなニートだなぁ……。


気になった点

・主人公がニートである、という設定を十全に活かし切れていない。

・ボイス音量が下がったり、上がったり不安定。

ストーリーは……公式のものがちょっとアレなので、久しぶりに私が軽く纏めておきましょうw
主人公、新居徹は所謂ニート。起床は夕暮れ、ネトゲにはまっているダメ人間。

しかし、彼の周りには、あれこれと世話を焼いてくれる愛花、親戚の中をたらい回しにされているロリ系少女のいろは、そして無愛想なお隣さんの羽衣(うい)がいる。

彼女達を巻き込んで、徹はどんな生活を歩んでいく事になるのか?

と、まぁ、こんな感じでしょうか。

ただ、一点、気になった点があります。主人公はニートである、と明かされながらも、実はマンションの管理人をしている(させられている?)という記述があるんですよね。
ぐうたらしていたとしても、管理人という「職業」があれば、それはニートではないのでは……? という疑問がちょっぴり頭を過ぎりますが、そこはスルーした方がいいの、かな?

ともあれ、ニートの徹と、その周りにいる女の子の恋愛ノベルゲーム、と捉えれば、比較的穏当な纏めになるかと思います。

ルートは全部で3種類。
先に挙げた、愛花、いろは、羽衣の三人のルートですね。各ルートに入るのも楽々です。序盤、かなり早い段階で選択肢が提示され、綺麗に三つのルートに別れて行きますので、迷う必要もありません。

さて、何しろ400MB超えの作品ですから、長目のシナリオなのかな? と思っていたらさにあらず。
愛花のシナリオ、そしていろはのシナリオは共通ルートを含めて45分程度で読了出来てしまいます。では何故、容量が大きいのか? というと、OPムービーと「主人公以外フルボイス」という作りのせいでしょうね。

ヒロインは勿論の事、主人公の友人、親戚のおばさん、おばあちゃんなどなど、所謂脇役、ほんの数行分の文章しか喋らない人物達にも全員声が当てられています。

ここで、気になった点なのですが、ヒロインのボイスの音量が急に小さくなったり、或いは急に大きくなったり、という事が起きています。多分……これは録音状態と関係していると思しいのですが、気になる人は気になるかもしれませんね。
ま、ただ、「完璧な録音状態で!!」みたいなガチガチした雰囲気よりも、「ちょっと音質悪くても、楽しく作れればそれはそれで」という緩い雰囲気の方が、フリーのノベルゲームに、そして作品を包み込むコンテクストにも合っているんじゃないかな、と思いますよ。


肝心の中身、なんですが、意外な程に普通の「ギャルゲー」という感じでした。
愛花のシナリオでは、「(ニートの)俺と一緒にいたら、愛花の人生をダメにしてしまう」と徹が感じたり、それで愛花を突き放したりする場面もあるのですが、それでもやはりサラリとシナリオが流れて、恋仲になって終了……という感じがしました。

いろはに関してもそれは同じで、「(親戚の)ロリに手を出していいのか?」という部分での葛藤があり、シナリオが展開するのですが、やっぱりちょっと物足りなかったかな。
例えば、いろはでしたら、「親戚中をたらい回しにされている」という境遇があるわけで、そういう設定をもっとシナリオの中で提示していく事も出来たんじゃないかな、と思いますね。

一方、ルートの長さで最長の羽衣ルートは、やっぱり「ギャルゲー感」は拭い切れないものの、徹、そして羽衣の過去にまつわるストーリーが挿入されていたり、或いは、羽衣も亦、不登校のひきこもりである、という隠れた事実によって、他のルートよりも重層的になっており、且つ、「ニート」という作品を貫くテーマに一歩近づいているような、そんな印象がありました。
何より、徹が少し成長する、そんな場面が微かながらも描かれていた、というのが、一番の好印象のポイントでしょうね。


本作で、私が最も気になった点は、まさに「作り手も、そして主人公もニートである」という設定が、今ひとつ活きて来なかった、という所なんですよね。

例えば、愛花のルートにせよ、いろはのルートにせよ、主人公の属性を「不真面目学生」とかにしても、全然普通に成り立ってしまいます。
羽衣ルートは……ちょっと好みのタイプだから贔屓が入っているかもしれませんが、前者に比べると、ネトゲやひきこもり、或いは過去、そして主人公の成長だったりが絡み合ってストーリーを為しているので、満足感は高いかな? とはいえ、羽衣も「実家に居場所が無い」という境遇らしいので、そういう部分ももっと、シナリオに反映させても良かったのでは? 或いはそうする事で、テーマである「ニート」への接近も可能だったかもしれませんね。

それでも、「ニート」という設定が活かし切れていない、というのはやはり気になります。
例えば、ニートとしての世の中に対しての憤りだったり、或いはニートである事の苦悩や焦燥感。そして、勇気を出して一歩踏み出していく様子。そんなものがもっと作中に折り込まれ、各ヒロインとの絡みの中で浮き彫りにされていけば良かったかな、と思いました。


ちょい、いつもより辛口ですが、それでも一ヶ月でこれだけの作品を創り上げる、というのは凄い事だと思います。主人公以外フルボイスってのも凄い。
良くも悪くも、素直なギャルゲーという感じで、それはそれで一つの長所だと思いますしね。
こっそり、おまけゲームが付いているのも面白いですね。


大体、こんなところかな。
今回はちょっと辛口でしたけれども、VIP系の作品なので、随所に拘りが感じられるハズです。
テーマも変わっていますし、結構何だかんだで楽しめちゃうんじゃないかな? と思いますよ。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-11-23 22:40 | サウンドノベル


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