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2011年 11月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 『時の故郷』

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今日の副題 「感動は時を超えて、そのままに」

※吟醸
ジャンル:郷愁とファンタジックなアドベンチャー(?)
プレイ時間:最短ならフリー部分は小一時間、シェア部分は30分ほどでトゥルーエンドに。
その他:選択肢アリ。一日の内に、どこで何をするか、を選択する選択肢と、通常の選択肢の二種類。
システム:不明(自作?)

制作年:初版は2001(?)、今回のレビューでは完全版3.10(2011/11/18)を使用。
容量(圧縮時):92.8MB




道玄斎です、こんばんは。
久々に二日続けての更新ですね。そしてやっぱり久々な「昔懐かしあのゲーム」を選んできましたよ。
というわけで、「Pleiades Company」さんの『時の故郷』ですね。
良かった点

・かなり以前から存在する作品にも関わらず、その良さを今でも保ち続けている。

・攻略情報などを「おまけ」として提示してくれ、エンド一覧、既読一覧等も完備。

・旧き良き時代のゲームの難易度。やり込み好きには堪らないハズ。


気になった点

・コンプリートを目指すとなるとかなりシビアなものが。

・“時の道具”に関しては、もう少し説明が欲しかった。

ストーリーはサイトの方から引用しておきましょう。
幼い頃、毎年の夏休みに遊びにきていた田舎の家。
大学受験に失敗した主人公は、久々に思い出の地を訪れます。

しかしそこで彼は、美しく成長した幼馴染みの少女と再会します。
主人公の初恋の人で、同い年の少女「真田ゆり子」。
夏のまぶしい日差しの下で、昔と変わらぬ笑顔を浮かべながら-

思いもよらない幸運に喜ぶ彼ですが、次第に隠された真相が明らかになっていきます。

遠い過去の記録が物語る、壮大な真実とは?
再会したゆり子との恋は成就するのか?

すべては、あなたの行動しだいなのです

と、こんな感じです。


ノベルゲームの年表を作ったり、或いはランドマーク的な作品を挙げていくとすれば、本作もきっとそこには入るでしょう。年季の入ったノベルゲーマーならお馴染み、の作品ですね。

今回、たまたまベクターの「新着」を見ていたら、本作の名前がありました。
昔々、私が浴びるようにノベルゲームをプレイしていた……そんな時代から存在している作品が、アップデートされていたのです。
これは、元々の制作年代は2001年かなぁ? コピーライトの所に西暦を書くのは慣習になってますけれども、そこには2001の文字が見えます。なので、ざっと、10年くらい昔の作品、という事になりますね。や、まてよ……PC98への言及があるから、下手したらもっと前の作品かも。

ともあれ、凄い昔から存在していて、プレイされ、そして愛されてきた作品です。
もう、かなり攻略情報、或いはレビュー等が出回っていると思いますが、やはり私にとっても大切な作品なので、ここは一つ自分なりにレビューを書いておこう、と思います。


少し前……2000年前半くらいまでのノベルゲームは、「選択肢の多いホラー」が多かった気がします。
これは『かまいたちの夜』で確立されたサウンドノベル、を継承している形ですよね。
ホラーでなくとも、選択肢が多く、そして結構複雑な作品が多かったと記憶していますが、本作はその筆頭です。

こうした選択肢に対して、「めんどくせー」と感じるか、或いは「やってやんよ!」と前向きにチャレンジ出来るかどうか、そこが本作で試されています(後書き参照)。
ただ、これって結構難しい問題で、ただ単に無軌道に難しい、だとどうしようもありませんよね。しかし、本作は「おまけ」を見ることで、どこの選択肢がまずかったのか、を教えてくれる、という親切設計。
こうした装置は『1999ChristmasEve』、『柵の淵』などでも実装されていましたね。


何だかガワの説明ばかりしているので、そろそろ作品の中身に入っていきましょう。
主人公聡志が、初恋の人であり彼の郷愁そのものであるゆり子に田舎にて再会し、その田舎での四日間の生活を描く作品……と取り敢えずは云えそうな気がします。

これも、何度も書いている事ですが、四日、と明確なリミットが設定されていると、この手の作品には本当に有り難いです。
一日につき、早朝・朝・昼・夕方・夜をどうやって過ごすのか? という選択があり、且つ、聡志の行動の中にも選択肢が出てきます。つまり、選択肢が凄い多いんですよね。
今、自分が辿っている道は正しいのかどうか、分からないままにプレイしてい事になるわけですけれども、多分、一発でトゥルーエンドを見る事は出来ないでしょうねw
けれども、二日目までは良い感じだった! とかが分かると、四日から逆算して、半分くらいまではこの選択肢でOKだ、と分かります。

こういう時間制限がプレイする上で安心感をもたらしてくれる事が、たまにあるんですよね。
ま、性質上、どうしても選択肢、エンド数が多い作品になっちゃいますけれどね。

ともあれ、一回でダメでも二度目、三度目、と試行錯誤させる為の、ヒントという名の「おまけ」コーナー」があり、「ではもう一回!」とチャレンジしたくなる気力を与えてくれる。これは選択肢、エンド数多めの作品に是非あって欲しい機能です。


兎に角、ゆり子の造型がいいですね。
ちょっと大らかな感じで、包み込むような優しさがあって。イラストもとても雰囲気の良いものでしたしね。
聡志は会えなかった時間を取り戻すように、ゆり子との一緒の時間を過ごしていく事になります。途中途中で、本来の目的である掃除、を行ったり、家の探索を行う事で、様々なアイテム、資料などを入手することに。

そして、四日目。
一緒に行くと約束した花火の日に事件が起こります。
それが何か、ここに書くと興ざめになってしまうので、書きません。まぁ、超有名作品ですから、みんな分かってるとは思いますが、念のためw
けれども、ここ凄くいいシーンなんですよ。その前の選択肢の選び方次第によっては、あまり良いシーンじゃなくなる事もあるけれども、一定条件を満たしていれば、本当にグッとくる名シーンが見られるはずです。

ここまでが前半パートと考えるといいかな。
その後、事件の真相を考える推理パート、そして、実際に推理を元に、行動していくパートが後半部に当たります。
前半部は割と穏やかなやり取りが多く、田舎の郷愁を感じさせるものになっていましたが(かなり切ない場面もあるけれども)、後半部では、キュッと引き締まった緊迫感があって、ストーリーにメリハリがありましたね。

後半部の推理を成立させ、それを実行に移すためには、前半部でシッカリと伏線を回収しておかないといけません。ですので、あれこれ試行錯誤してみる必要があるんですよね。

前半部で出来るだけゆり子と接触しながらも、あちこちに行ったり、掃除をしたりしてみる。
そして、そこで手に入る情報、それにシッカリと目を通して、ちょっと立ち止まって考えてみる。
それが出来れば、トゥルーエンドまでもう少し、です。
最後の選択肢で、バッドエンド、トゥルーエンド、グッドエンド(?)に別れるのですが、感動のトゥルーエンドは必見です。
意外とグッドエンドに相当すると思われるエンドも味わいがあっていいんですけれどもね。

トゥルーエンドまでくれば、前半部、かなり早い段階で張られていた伏線もすっきりと回収され、改めて、凝った作りになっている事、お分かり頂けるのではないかと。

実は、本作、音楽がいいんですよね。
欲しい所で欲しい音楽が流れてくる。しかもクオリティの高いものが。
場面状況、美しいグラフィック、そしてそれを引き立てる音楽が合わさって、とてつもなく印象に残るシーンもあります。


で、一方の気になった点なのですが、“時の道具”に関しては、やや説明不足だったかな? という気がしました。
「そういうもの」として受け止めるには、あまりにも意味深でファンタジックなアイテムなんですよね。どうも後書きを読むと、作者さんの「時シリーズ」をプレイする事で、そこらへんの世界観が繋がりそうなのですが……。

ただ、今回のヴァージョンでは、シェアウェアとしてリリースしていたものを、フリーで公開する、というものだったようで、シェア版の本編と対になるようなシナリオを読むことも出来ます。
そこで、少し“時の道具”について補完説明が為されていますね。

このシェア版シナリオは、人によっては蛇足、と思う人もいるかもしれません。
けれども、後書きを読んでみると、「なるほど、確かに必要だったな……」と感じてしまうから不思議w
こちらも選択肢が多めですけれども、本編ほど難しくありません。尺自体もそこまで長くないですしね。ただ、ここまで読んでしまうと、「時シリーズ」をコンプリートしないとしょうがないなぁ……。という気持ちにさせられるのも亦事実。

あとは、既読文章がパーセンテージで示されるのですが、これを100%にするには、多分相当大変だと思います。
やり込み派には良いんですけれども、全部を回収するのは流石にキツイです。私も今回のプレイで凡そ90%くらいしか見ていません。それでも、トゥルーエンドは見ているからいいかなっとw



大体こんな所、かな。
優しくも美しいイラストと、ゆったりとした郷愁、そして切り拓く事で掴む事が出来る未来など盛り沢山の内容です。時間が経っても、良い作品は良い、と云いたくなるような作品です。
もし、まだプレイしていない、という方がいらしたら、是非プレイしてみて下さい。
あっ、最後の最後になりましたが、本作「ときのこきょう」ではないですよ。「ときのふるさと」です。


それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-11-24 19:59 | サウンドノベル | Comments(0)


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