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2011年 12月 01日

フリーサウンドノベルレビュー 『8月7日の雨宿り』

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今日の副題 「雨の日・バス停・傘一本」

ジャンル:一本の傘を巡るノベルゲーム(?)
プレイ時間:1ルート短ければ5分ほど。コンプリートするには1時間くらい。
その他:選択肢アリ。短いエンドも長目のエンドも。
システム:吉里吉里/KAG(ヴァージョン3.0)

制作年:2000/8/15
容量(圧縮時):9.76MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は凄く冷え込みましたね。オマケに昨晩からぽつぽつと雨が降ってきて。
で、最近少し懐古趣味というか、一昔前の作品をプレイし直す、という楽しみが蘇ってきたので、懐かしの作品をチョイスしてきました。
というわけで、今回は「Gara Land」さんの『8月7日の雨宿り』です。
良かった点

・一本の傘、というアイテムから多彩なストーリーが紡ぎ出されている。

・柔らかく優しいイラストが全編を彩る。


気になった点

・どのエンドでも、そこまで派手な盛り上がりは無い。

・エンドリストが完備されていれば良かった。

ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
面識のない三人が雨宿りをしています。
そこには誰かが忘れた傘が一本、置いてあります。
…雨はとうぶん止みそうもありません。
さて、どうしよう?
一本きりの傘を誰が使うのか、はたまた誰も使わないのか、
赤の他人同士でぎこちない話し合いを始めます。

こんな感じです。



まだ、この作品をレビューしていなかった事に、私自身が吃驚しています。
凄く懐かしく、また話題となった作品で、ご存じの方も多いと思います。本作も亦、ノベルゲームの揺籃期に於いて名作の一つとして数えられる作品でしょう。

さて、本作、まず変わっているのが、雨降りの日、田舎の、ちょっとした小屋になっているバス停で、見知らぬ三人が一本の傘を巡ってやりとりをする、という舞台・場面設定です。

要は誰が、一本しかない傘を使うのか? という問題を取り上げていく……というちょっと異色の作品なんですよね。
登場人物は、主人公(?)のはる、家出娘のみね美、そして高校生の涼子の三人だけ。それぞれ事情があってそのバス停から移動しなければならない。だけれども傘は一本しかない。そんな状況です。

ただでさえ、何人か人が居て、何か一つのものだけがポツンと取り残されている時、妙な空気感になることってありますよね。
そう……例えば、居酒屋に行って、取り敢えず鶏の唐揚げか何かを頼んで、他の食べ物、飲み物を飲んで、話も一段落した時。唐揚げが盛られていた皿に何故か残った最後の一個。
(これ、どうすんだよ……)とか(誰が食べるんだよ……)とか、心の声が聞こえてきそうな独特の雰囲気です。

見知らぬ者同士の三人が一本の傘を巡って、そんな雰囲気となり、選択肢で誰が傘を使うかを決めていく。地味ながら面白いテーマを持った作品で、場面が終始バス停から動かないのですが、全然楽しく遊べてしまいます。

選択肢はかなり多い、と云ってもいいんじゃないでしょうか。
傘のゆずりあいを巡って、何度も選択肢が出てきます。
勿論、選択肢の選び方によっては、ヒロイン(?)の個々の事情や境遇に深く踏み込んでいくようなシナリオを見せてくれる事も。そこで「何故、傘を固辞するのか?」の理由が分かったりします。

こうした女の子達の抱える事情を見た上で、他のエンドを見ると、さりげなく「ここはあの境遇を受けての発言や行動なんだな……」と分かる部分もあって、良く練られたシナリオである事、分かると思います。

又、イラストの雰囲気がいいですね。
所謂立ち絵、はないのですが、場面場面で一枚絵が出てくる、という或る意味非常に豪華なスタイル。全編に渉って、雨降りという暗い雰囲気ではあるものの、優しい手触りのイラストがそこに入り込む事で、ジメジメっとした雰囲気が薄れています。
このイラストが無かったら、ちょっとプレイする気力が途中で萎えちゃったかもな、と思わせてくれるような、そんなイラストのあり方でした。


さて、一方、気になった点ですが、先ず、どのエンドを見たとしてもそこまで盛り上がらない、というのが挙げられます。各ヒロインの正規の(?)エンドを見ると、作品のロゴが出てくるんですが、そのエンドでも、何か強烈に盛り上がったり……という事はありません。
雨の中で、傘を巡る見知らぬもの同士のやり取りの末に、傘を獲得したという事実と、その過程であるやりとり、が重視されていて、どうしても各エンドは地味な印象に。
又、バッドエンドと思しきエンドに到達すると、ちょっと後味が悪かったりもしますw

もう一点は、やはりエンドリストがあると良かった、という所ですね。
全部で……16+1個のエンドがあるわけで、結構多めですよね? 自分が見たエンドはどれなのか? が分かれば、他のエンドも見てみよう、という気力も強くなります。当然、選択肢的に試行錯誤しやすくなるんですよね。
特に、本作は、傘を誰にゆずるか、で何度も選択肢が出てきますから、もう少し、そこらへんが親切設計でも良かったかな、と。

あとは、発話と心中の言葉の区別が付きにくい、っていうのがあるんですが、これは私だけが気になった所かもしれませんね。
通常、ノベルゲームの場合、誰かの発話は「 」で括られて、地の文や心中の言葉と明確に区別されます。が、本作の場合、発話も、そして心中の言葉も「 」無しで表記されて、一瞬戸惑う事がありました。が、あまり作品全体に関わる問題ではないですよね。



少し、選択肢が多い作品ですが、遊びでがあると思いますよ。
田舎のバス停、というちょっとノスタルジックな舞台と優しいイラスト、そして地味ながらも多彩に分岐するストーリーが魅力の一本。

有名な作品なので、プレイした人もかなり多いとは思うのですが、もう一度プレイしてみる、というのもいいかもしれませんね。
そして、まだプレイした事ない! って方は、この機会に一度プレイしては如何でしょうか?



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2011-12-01 18:32 | サウンドノベル | Comments(0)


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