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2012年 03月 01日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『Candy Box』

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道玄斎です、こんばんは。
今日は今まで名前こそ知っていたものの、何故かプレイを先延ばしにしていた作品のご紹介。もっと早くプレイしておけば良かったよ……と後悔するのもいつものこと。
というわけで、今回は「同志を待つ」さんの『Candy Box』です。



本作はどうも、iPhoneなどの携帯機でプレイする事を想定しているようで(PC版も勿論あります)、少し特殊な画面サイズをしています。いつも大体、スクリーンショットを撮ってそれを小さく加工するのですが、本作の場合原寸大、とまでは云いませんが、結構それに近い感じですね。

それはさておき。
ノベルゲームで、ほろ苦い作品と云えば、私がまず思い浮かべるのは『雨ではなく、雪でなく』です。
従姉妹の深雪と自分。そして自分の兄貴の三角関係にも似た、ほろ苦い恋愛模様が描かれる名作なのですが、ほろ苦いノベルゲームとして、新たに自分の脳内にインプットされたのが本作『Candy Box』。

何度かご紹介している同志を待つさんの作品です。
ストーリーをうんと簡単に纏めると、高校二年生の時に出会った“彼女”と主人公徹の不思議な間柄を描いていく……というものです。
何故、彼女に“ ”を付けたのかというと、彼女の名前は最後まで分からないからです。それも本作の演出の一つなのかな? という感じがしますね。
こういう作品で、ヒロインにありきたりだったり、或いは奇を衒った名前を付けてしまうと、その名状しがたい淡い部分が薄れてしまうような気がします。そういう意味で、本作の彼女が名無しの彼女であった点、高く評価したい所です。


徹と彼女は、彼女の提案により性的な関係を持つに至ります。
けれども、二人の間に恋愛感情があると云ったら怪しいのです。けれども、明るくサバサバとした彼女のキャラクターが「性的な関係を持つ」という状況を自然に演出し、尚かつ、いやらしく見せないように機能していて好感が持てました。

彼女は彼女で、色んな彼氏が居たりする。
徹は徹で、好きな人がいたり、彼女が居たりする。
しかし、二人は何故か離れられない。最初の一回だけで性交渉はないものの、軽口を言い合える良い友人のような、恋人未満のような、時として恋人以上の存在のような……そんな二人の関係で、中々興味を惹く設定だと思いませんか?


高校が終わり離ればなれになってしまう、徹と彼女。
そこで、もう一度だけ彼女との性交渉が描かれます。性的なシーンなのですが、先にも述べた通り、いやらしさや、所謂エロゲ的なそれとは一線を画している事、お伝えしておきます。

そして、その後に彼女の消息を知る、という形で物語は幕を下ろします。
所謂サンドウィッチ型の作品なんですが、ラストシーンがいいんですよ。とってもほろ苦くて、「ありそうで無い」「無さそうである」、というような絶妙なリアリティで、胸がキュンキュンする事請け合いです。

大体、私がプレイして15分でしたから、短い作品なんですけれども、結構インパクトのある作品だったんじゃないかな、と思います。特に男の人にはw この作品で描かれるようなキュンキュン具合って男じゃないと分かりにくい気がしますよ。


気になった点、という程でもないのだけれども、少し色々述べてみましょう。
作中で彼女がシュガークラフトという趣味を持っている事が描写されます。それが中盤、主人公と彼女の接触をナチュラルにする為に効果的に使われていたのですが、もう一押し使い所があったんじゃないかな、なんて思います。

例えばですよ? 
ラストシーンのメールで、彼女の作ったシュガークラフトの画像が添付されている、とか。
主人公と彼女を繋ぐ装置として、だけではちょっと勿体ない設定でした。まぁ、ここらへんのさじ加減って難しいですよね。「こういうのはどう?」って云っても、作ってる本人からしてみたら「蛇足」だと思えるかもしれないですし。



15分の尺の中で、丸二年+αを描いてしまうという作品です。
かといって、超スピードでストーリーが進むのかと云えばそうではなく、要所要所を抑えながら季節が推移するので、違和感は殆どないはずです。
そして、その中に、胸の中に残り続けるほろ苦い感触。私好みの良い作品だったと思います。
ほろ苦いラブストーリーをお探しの方は、是非プレイしてみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-03-01 19:00 | サウンドノベル


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