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2012年 04月 08日

フリーサウンドノベルレビュー 『本気で恋愛ゲー作らないか』

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今日の副題 「ゲーム、作ってます?」

※吟醸
ジャンル:ゲーム制作恋愛ノベルゲーム
プレイ時間:4時間ほど
その他:選択肢なし、一本道
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2010/10/16
容量(圧縮時):426MB



道玄斎です、こんにちは。
今日は、プレイしようと思って長らく放置してきた作品のご紹介。一風変わったテーマのVIP系の作品ですね。
というわけで、今回は「ゲーム企画本気で恋愛ゲー作らないか」の『本気で恋愛ゲー作らないか』です。
良かった点

・同人ゲームを作る、という一風変わった設定が光る作品。

・要所要所を引き締める事件が、プレイをダレさせない。

・ゲーム制作し、発表する、というワクワク感が味わえる。


気になった点

・元ネタが分からないと楽しめない恐れがあるテキスト(作品中でそれに関して言及アリ)。

・もう少し、個々のゲーム制作の作業に焦点が当たっても良かった。

ストーリーはサイトへのリンクを張っておきましょう。こちらからどうぞ。



ノベルゲームを作る、というテーマを正にノベルゲームで表現する。
そうした作品はあまり存在しません。ノベルゲームそのものをネタにする、という作品はチラホラ散見されるのですが、やはり、「学園恋愛ノベル」のようにメジャーな存在ではないでしょう。
ゲーム制作に焦点を当てた作品としては『ゲーム作ってます』という作品がありました。本作はそうしたテーマを受け継ぐ、強化版のような作品ですね。

主人公石井拓海は、個人でゲーム制作サークルを立ち上げ運営しているわけですが、作品の絵を依頼していた絵師が逃げてしまって……というのがイントロです。
これ、ゲームを制作した事のない方にはピンと来ないかもしれないのですが、結構良くある事だそうですよ。絵も文章も自分で出来てしまう、そんな人は本当に一握りで、大抵の場合、「シナリオは書ける」「絵は描ける」といった具合で、だからこそ共同制作、というスタイルを採るわけです。

でも、絵師が逃げてしまう。或いはお願いしていた声優さんが音信不通になってしまう。そんな事は割と普通にあるらしいのです。
酷いのになると、シナリオライターが逃げちゃったりして……w


絵師が逃げて混乱する主人公の前に、一人の女の子西原秋奈が現れます。しかも彼女は味のあるイラストを描いているのです。当然、絵師に逃げられた主人公は最後の望みをかけて、絵師として参加してくれるように頼むのですが、実は、その女の子が、例の逃げてしまった絵師であった事が判明して……。
と、ストーリーは進んでいきます。一ひねりある出だしで、プレイヤーを前のめりにさせてくれますね。

ところで、先にも書きましたが、「同人ゲームを作る」というのが本作の大きなテーマで、他の作品が持っていない大きな特徴の一つです。
そして、その同人ゲーム制作を通しての人間模様や、事件が描かれる事になります。

本作で良いな、と思った点は、ゲーム制作という軸を保ちながらも、丁度良い塩梅に事件が起こり、プレイをダレさせない、という作りです。
主人公宅に転がり込んできた妹、大手サークル主催者の友人、そして、絵師の秋奈を巻き込んでの事件、エピソードが、主軸に上手に寄り添う形で提示されるので、プレイしていて飽きる事がありません。
凡そ、4時間程度の尺があれば、ダレてしまう箇所が一箇所二箇所出てくるものですが、本作はその点、非常に巧みに作ってあると感じました。


ちなみに、ヒロイン秋奈は、所謂ツンデレ系のキャラですね。
妹も、ノベルゲームでお馴染みの造型ですし、友人キャラも、大手サークルの主催者という付与属性を除けば、やはりお馴染みのキャラクターです。
なので、キャラクターという意味では、そこまで新味があるわけではないんですよね。勿論、登場キャラはもう少し多いのですが、些か唐突感のある片岡さんや、本当にラスト近くにならないと登場しない、秋奈の友人とかは、ちょいもったいないなぁ、と思ったりもします。
もう少し、中盤くらいから、ガシガシストーリーに関わってきてもいいかな? という事ですね。

一つの山場となる、秋奈に対する嫌がらせ事件の犯人も、プレイヤーとしては「恐らく、あいつ(ら)だろう……」と察しは付くんです。
が、その「あいつ(ら)」は、その段階では登場しないキャラなんですよ。そういう意味で、もうちょい早い段階でキャラクターを出てきていれば、もっと納得感があったのかもしれません。


もう一つの良い所は、ゲームを制作する、というワクワク感をゲームを通じて体験出来る、という事でしょう。
ゲームを作った事がある人は勿論、そうでない人も、紆余曲折を経ながら、少しづつ作品が完成していく様子を楽しむことが出来ます。
だけれども、ここは気になった点と表裏一体で、折角の、ゲーム制作というテーマがあるわけですから、個々の作業が、具体的にどういうものなのか、をもう少し描写しても良かった、と思います。デバッグに関しての説明なんかはあるのですが、肝心のシナリオ書きの様子だったり、イラスト制作の様子だったりがチラリとでも描写されていれば、より一層のリアリティが出たのではないかと。
あまり、ダラダラと「この作業は○○で、○○をして○○を……」とか書くと、やっぱりダレちゃうんでしょうけれども、も少しフレーバー程度でも、実際の作業の追体験が作品を通して出来ると良かったかな。


細かな点では、結構序盤~中盤に掛けて、ギャグっぽいノリで進んでいくのですが、VIP系作品ならでは(?)の、「元ネタが分からないと、おいてけぼりにされる文章」があったりします。
ここらへんは、本当に賛否両論あるような気がしますね。実際に作中で、そうした文章に関して言及もあるわけですが。
あとは、恋愛的な意味では、非常に予定調和だったかな、という辺りでしょうか。まぁ、期待を裏切られてもアレですから、このくらいのバランスの方が実は、いいのかもしれませんねw



ちょっと変わったテーマが光る作品です。
共同でゲーム制作をしたことのある人も、これからやろうという人も、そして、ゲームを作った事の無い人も、是非一度プレイしてみて下さい。
きっと、共感出来たり、参考になったりすると思いますよ。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-04-08 16:32 | サウンドノベル


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