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2012年 06月 20日

フリーサウンドノベルレビュー 『獣道 白の刹那』

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今日の副題 「7年越しのアノ作品」

ジャンル:SF伝奇ノベル(?)
プレイ時間:3時間半程度
その他:選択肢一箇所アリ。しかし、実質的には1ルート
システム:NScripter

制作年:2012/5/14
容量(圧縮時):360MB




道玄斎です、こんにちは。
今日は、懐かしい作品……のリメイクの紹介です。私も以前、チラッと言及していた作品ですね。
というわけで、今回は「MBF FILMs」さんの『獣道 白の刹那』です。
良かった点

・一新されたグラフィック、演出が非常に凝っており、好印象。

・バトルを一つの軸に据えた作品、として危なげなくプレイ出来る。


気になった点

・何と云っても、本作だけで完結しない。

・実は、割と目にするタイプのストーリー展開。

ストーリーは、サイトへのリンクを張っておくことにしましょう。こちらからどうぞ。



本作は、過去に20000ダウンロードを達成している、『ケモノミチ~白ノ刹那~』(これは18禁でした)のリメイク版という位置づけになります。SF伝奇作品としてはかなり有名で、古参のプレイヤーはプレイした事があるのではないでしょうか。かく云う私も、セーブデータを見てみると(丸々、ゲーム、保存してありました)、2005年の11月にプレイしていました。

作品の細かいディティールの部分は、結構忘れていたのですが、本作の一つの特徴とも云える、「変わった武器」などはバッチリ記憶していたりします。
今回は、プレイしながら、少しづつストーリーを思い出していくのが、楽しかったですね。


さて、実は、本作のような作品、非常にレビューしづらいのです。
グラフィックや演出は、バッチリ2012年仕様ですし、ストーリーも危なげなく面白い。手に汗握るバトルシーンも完備、となれば、特に書くことないじゃないですかw それに元々が2005年(?)の作品のリメイクなので、どうしても今現在の雰囲気と違う部分もあるわけで、そこもレビューしにくい要因だったりします。
かと云って、放り投げてしまうにはあまりに惜しい作品なので、私なりにいつものように、脱線しつつ色々書いていきましょう。

本作、レビューしづらいと書きましたが、そこを深く考えてみると、一つの考えに突き当たります。
それは、プレイヤーをアッと驚かせるような、或いは、時にやりきれない思いを抱いてしまうような、そういう仕掛け、ストーリーがあるわけではないから、なんですよね。小粒でもピリリと辛い作品には、そうした要素が詰まっている事が多いですよね。

云ってしまえば、酸いも甘いも噛み分けた大人のノベルゲーム、或いは、一風変わった設定などでプレイヤーを惹きつけていく作品、というよりは、SF伝奇としての「直球勝負」の作品、それが本作『獣道』と云えるのではないでしょうか?
勿論、グラフィックや演出の素晴らしさはプレイヤーを驚かせてくれますし、強い印象を残す特殊な武器の設定なんかも魅力的です。
が、反面、「ここ!」という焦点、或いはとっておきのアイデアが、実はあまりないので、焦点を絞ったレビューがしにくいわけです。それは、本作が単独で完結しているわけではない、という部分と不可分ではないでしょう。


ガワの話ばかりしていても仕方ないので、ストーリーの方にも、少しづつ踏み込んでいきましょう。
主人公の亜塔と、ヒロインの零華は、「組織」によって改造された、所謂異能の力を持つ強化人間です。そして、例によって、その組織は、何やら怪しげで反社会的な研究をしていて、その研究成果の一つが、強化人間であるというわけです。
記憶を無くした亜塔、そして零華も組織から抜け出し、組織と戦う事を決意するのであったが……というのが、ストーリーの簡単な流れでしょうか。

ここまで読めば、本作が『クロスフェードに墜ちた夢』等と同じ枠組みを持っている事に気づきます。
そうした意味で、ストーリーの概要として、新味がある、とはちょっと云いにくいですよね。リメイクだから当然っちゃ当然なんですが、やっぱりリメイク前の『ケモノミチ』の方が、時代状況と相俟ってインパクトがありましたね。
ちなみに、『クロスフェード~』の方は、良く「B級ハリウッド」と呼ばれていますが、本作の場合は、それだと何だかしっくりきませんね。本作の方は、もう少しヒューマンドラマの面も押し出されているかな、という印象です。


ここまで、割と本作のネガティブな面について書いてしまいましたが、勿論「お!」と思った点も多々あります。
一つは、テンポ。文章自体も読みやすいですし、事件が起き、それを承けてストーリーが進み、又、事件が起こる……という展開が軽快で、プレイヤーにストレスを与えません。
私がプレイして3時間半ですが、体感時間としては、そうですね、2時間くらいの作品を一気に読む、そのスピード感でプレイ出来たという印象です。

こうしたテンポの良さは、戦闘シーンにも活きてきます。
折角の戦闘シーンがダラダラとしていては、迫力が薄れてしまいますが、文章のスピード感が手に汗握る戦闘シーンを演出してくれます。
難解な言い回し、特殊な用語の多用なども無く、ストレスフリーで楽しめる点、大いに評価したい所です。

又、次々と起こる事件も、プレイヤーを前のめりにさせてくれます。
だからこそ、「おいおい、これからどうなるんだよ……!?」という所で本作が終わってしまうので、そこは一つ気になった点にもなっています。まぁ、前編・後編の前編のような作品ですから、そこを指摘するのは、ちょっと酷かな、という気はしますが。


先に、『クロスフェード~』との比較(?)を行いましたが、『クロスフェード~』同様、本作も、危なげなくプレイ出来る作品で、バトルが出てくるような作品を求めている人には、手放しでお勧め出来ます。
色々書いてきましたが、普通に面白いんですよ、この作品。だからこそ、レビューが書きにくいわけで……。

お馴染みのストーリーという事は、「期待を裏切らない」という事と表裏一体です。
なので、「アレと同じじゃねーかよ」という消極的なものの見方よりも、「俺の好きなタイプの作品が来たぜ!」と好意的に受け止める方がハッピーになれる気がします。
ノベルゲームは、所謂「ゲーム性」は低いですが、プレイヤーの作品との向き合い方次第で、面白くなったり、或いはつまらくなったりするから不思議なものです。


2005年のリメイクという事なので、どうしても、2012年の今の雰囲気と違う部分はあります。
が、『ケモノミチ』(『獣道』)が、(2012年に至る)SF伝奇作品の成熟していく土壌を、創り上げて来た、とも云えるのではないでしょうか?
旧作をプレイした人も、もう一回楽しめる作りになっているハズです。伝奇モノ、バトルモノが大好物な方にもお勧めの一作です。続編も……フリーで出る事を期待して筆を擱こうと思います。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-06-20 15:57 | サウンドノベル | Comments(0)


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