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2012年 11月 26日

フリーサウンドノベルレビュー 『SOLAR POWER』

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今日の副題 「あなたに太陽は昇りましたか?」

ジャンル:女の子同居型恋愛ノベルゲーム(?)
プレイ時間:一時間半。
その他:選択肢アリ。バッドエンドあり。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2012/11/16
容量(圧縮時):159MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、久しぶりにノベルゲームのご紹介。兎にも角にも、「色々やってみた」感が凄い作品だったと思います。
というわけで、今回は「ヒビキソラ」さんの『SOLAR POWER』です。
良かった点

・色々と試行錯誤の様子が伺え、意欲的な作品となっている。

・ありがちながらも、キチンとしたラスト。


気になった点

・夏がテーマ、ではあるものの、あまり夏を感じられない。

・全体的に展開が強引。

ストーリーは、作者さんのサイトから引用しておきましょう。
自然豊かな、とある小さな村に住む、中学生の少年(佐渡 誠)は夏休み前日に、夏目 空と名乗る一人の少女と出会う。
   
変わった雰囲気はあるが、明るく活発で太陽のような少女。
そんな彼女に次第に心惹かれていくが、彼女には……ある秘密があった。
その秘密を知った時、少年の人生と世界は大きく変貌を遂げる。
   
「あなたに、大切な人はいますか?」
   
これは誰にでも有るけど、誰にでも無い。
   
そんな、ひと夏の、どこか懐かしくて切ない"喪失"と"出会い"の物語。

こんな感じのストーリーになっています。


本作を端的に表すことは中々難しいです。
謎の少女との同居モノ。確かにそうした面もあります。又、プレイするとすぐに分かるのですが、所謂サンドウィッチ型の構造も持っています。SF(というか伝奇か?)要素や、恋愛要素もあるし、感動モノとしての要素も持っている。中々欲張りな作品なんですよねw

ストーリーを補足しておくと、主人公の誠が、お気に入りの草原に行くと、そこに謎の少女が居るわけです。それがヒロインの空。何か目的があって、主人公の住む町に来た事は分かるのですが、どうにもそこがはっきりしない。
ともあれ、誠と空は仲良くなって、例によって例の如く、空は誠の家に転がり込むわけですw
この前半のツカミの部分、これは非常に良く目にするタイプの出だしですよね。
割と最近プレイした中だと、『forever more ~俺と彼女の、奇跡の5日間~』なんかが、この類型です。このタイプは、本当に良く目にするもので、「同居型」という、ノベルゲームの一大ジャンルを築いているのですw


本作をプレイしていて、先ず感じたのは、テンポの良さと、それと引き替えにして説得力が失われている部分がある、という事でした。
そもそもの誠と空の出会いのシーンから、テンポは抜群に良いのです。けれども、見ず知らずの人同士が、あれだけのセンテンスのやり取りだけで、「じゃあ、うちに来るか?」って事になるかっていったら、絶対にならないんですよね。
『forever more ~俺と彼女の、奇跡の5日間~』の場合、ヒロインは行き倒れですから、同じ同居型でも、自然にヒロインが主人公宅に居着く(?)事が出来ていました。

本作の場合は、途中のやり取りをすっ飛ばすような、少々強引な引っ張り方をして、ストーリーを前進させていくタイプ、と云うと分かりやすいかもしれません。
本作、冒頭でいくつか該当する型を挙げましたが、「カレンダー消化型」でもあって、一日一日がかなりの速度で過ぎていきます。
テンポの良さは評価したい所なんですが、あまりに各エピソードがサラッとしているので、後半で感情移入がしづらいんです。具体的には誠が空の事を好きだと気づくシーンがあるのですが、そこがやはり、唐突に思えてしまうわけです。

それは、作品のテーマの一つでもある「夏」をあまり感じられなかった、のと不可分ではありません。
誠が空と過ごす日々、それが夏の日であり、二人の思い出なんですけれども、どのエピソードもサラリと流れていく為に、「夏」の印象は薄いんですよね。確かにセミの声が流れてきたり、海に云ったり、お祭りがあったり、と夏の演出をしよう、という意図は感じさせるものの、結果として、「夏の物語」という印象は薄くなってしまっていました。

又、後半に選択肢が表示され、一瞬推理モノの様相を見せるのですが、その謎の真相も割と強引な気がしますw 間違えても(多分、一回は間違えると思います)選択肢直前に戻る親切な機能も付いているのですが、一発で真相を推理出来る人はいないのでは?
後書きを見ると、ここでミスディレクションをさせたかった、との事ですが、ミスディレクションそのものは、上手くいっていたと思います。だけれども、真相の方にもう少し説得力――伏線――があれば、もっと納得感があったはずです。


……と、ここまでかなり辛口なんですが、実は本作、どうやら処女作だそうです。
そして、一本のゲームの中で、色々な試みをしている事が、プレイしていてすぐに分かるのです。こういう手間暇を掛けた感触、試行錯誤している感じは、読み手に伝わります。

ザッと、私が感じ取ったものを挙げていっても、「文字の大きさを変化させる」「選択肢を付ける」「ビジュアルノベルスタイルとメッセージウインドウタイプの同居」「文字をバラけて表示させる」「縦書きの使用」「ムービーの挿入」等々、ノベルゲームで出来る事をこれでもか、というくらい詰め込んでいます。
こういう、意欲が全面に出てきている作品は、本当に久々です。

そして、ラストは、こういうタイプの作品では割とありがちな所だとは思うのですが、印象的なセリフが上手く使われ、綺麗に纏まっていたと思います。
多分、本作は、後書きにも書いてありましたが、二回目、三回目のプレイをする事で改めて、色々な事に気づく事が出来る、そんなタイプの作品でもあるようです。一回目でちゃんと分からせる、というのも大事な事なのですが、二度目の読みによって、作品の捉え方、見方が変わるという事は良くある事ですから、是非、ザラッとでも良いので、本作読了後、二度目のプレイをお勧めしておきます。



大体、書きたい事は書いた気がします。あとは、『Kanon』の秋子さんみたいな、お母さんキャラ、早苗さんは結構好きでした、というくらいかな。
レビューと云っても、今回のは、「これ、ちょっと面白いからやってみて!」というよりは、「凄い意欲的な作者さんが出てきたから、注目して!」というような意味合いが強いですけれどもねw



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2012-11-26 19:51 | サウンドノベル | Comments(0)


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