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2013年 01月 02日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『非常口さんと恋する女の子』

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道玄斎です、こんにちは。
新年一発目のレビューです。最近、この界隈で元気の良い作者さんの作品。
というわけで、今回は「Tears Lab.」さんの『非常口さんと恋する女の子』です。


最近、ふりーむ! を中心に凄く元気の良い作者さんが居ます。
それが本作『非常口さんと恋する女の子』の作者、Tears Lab.さんです。精力的に作品をリリースしており、私も『ブランコ日和』なんかはプレイしていたりします。

さて、本作ですが、一見すると「ネタゲーか!?」と思えてしまうような、インパクトのある設定が特徴の短編恋愛ノベルゲーム。
主人公の女の子は、どこかの企業でバイトをしているという設定。そして、そこで働いている非常口さん(非常口のピクトグラムの擬人化)に惹かれていき、恋をしていく……というお話です。

話の進行、流れとしては、非常にオーソドックスな恋愛ゲームのそれなのですが、憧れの相手がピクトグラム、という所で物凄い差別化が図られていますw
途中で御手洗さんという、女子トイレのピクトグラムのライバル(?)が登場してきたりと、ちょっと笑えるところも。こういう所でピクトグラムが単なる一発ネタで終わらないのもいいですよね。非常口さんだけがピクトグラムだけよりも、他にもピクトグラムのキャラが出て来る事で、作品を貫くアイデアが活きてくるわけです。

本作の一番光っていた点は、やはりこのピクトグラムに恋をする、という設定でしょうね。
これが、ピクトグラムではなく、普通の人間であれば、全く普通のヒネリのない恋愛ノベルゲームになってしまっていたハズです。
それが、ピクトグラムという記号のようなものに恋する事によって、ともすれば表出してしまう「生臭さ」みたいなものを感じる事がありません。

これが人間同士の恋愛であれば、(例えどんなに相手が美形であろうとも)そこにクサさとかが現れてしまったり、或いは、先に述べたように、生臭さを感じてしまうこともあるでしょう。
キャラクターの造型としても、非常口さんは、良い人だけれども無味無臭のような設定になっています。非常口さんがピクトグラムでなければ、絶対に「薄い」キャラになっていたはずです。しかし、その薄さをピクトグラムである、という個性が補強しており、且つ、ピクトグラム故の薄味具合が、やり取りや、恋愛に於ける生臭さを感じさせない、という絶妙なバランスなのです。

内容としては、非常にシンプルな作品なのですが、恋の相手が非常口、という設定が強いインパクトを残し、ありふれた物語にアクセントを加えています。極限まで個性が排除されたピクトグラムが相手だからこそ、逆に個性が出ている、というちょっと変わった構造で面白いですね。
一見ネタゲーかと思いきや、これは中々したたかに計算された作品になっていますよ。


大凡、こんなところでしょうか。
内容だけ抜き出してみれば非常にシンプル且つ、ありふれた恋愛モノなのですが、意外と楽しく読めてしまう仕掛けに脱帽です。
プレイ時間は10分程度。サクッと楽しんでみて下さい。



それでは、また。
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by s-kuzumi | 2013-01-02 15:44 | サウンドノベル | Comments(0)


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