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2014年 02月 12日

フリーサウンドノベルレビュー 『ゴス道の乙女たち』

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今日の副題 「惚れた女がたまたまゴスロリだっただけ!」

※吟醸
ジャンル:ゴス伝奇アドベンチャー(18禁)
プレイ時間:8時間半~9時間程度。
その他:選択肢アリ。全部で4ルートに分岐。18禁、残酷描写アリ。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2008/8/1(発売)、2011/7/16(フリー配布)
容量(圧縮時):415 MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、前回、かるーく予告しておいた作品のご紹介。元々は所謂同人シェアゲーだったものですね。
時間が経つと、昔発売していた作品をフリー公開する、というのはたまに目にするのですが、これも色々議論があるみたいですね。本作の場合ですと、2011/7/16にフリー公開が始まったのですが、例えば、2011/7/15に本作を購入しちゃった人がいたら、その人は損した気分になる、というヤツです。
そうした議論があるのは承知しているのですが、基本フリー作品を取り上げる、というスタンスの私からしてみれば、何はともあれフリーでプレイ出来る、というのは最高に有り難いのです。
特にシェアのものをフリー化して下さると、普段、あまり馴染みのないシェアゲームの世界にも触れられますしね。
というわけで、今回は「01-Torte」さんの『ゴス道の乙女たち』です。ダウンロードはこちらから
良かった点

・中盤以降、ストーリーのテンポが上がり、ギャグも冴えてくる。

・物語内歴史がバックグラウンドにあり、それが作品に奥行きと重さを与えている。

・3Dアニメーションなど、意外と凝っている部分も。


気になった点

・割と気怠い前半部。

・ちょっと投げやりなエンドを持つヒロインが一人w

・賛否が分かれるトゥルーエンド。

ストーリーは、公式サイトのURLを張っておきましょう。こちらからどうぞ。



休日、間違って原宿駅で降りてしまって、街行く人を眺めてみれば、「霞ヶ関で同じ格好してたら、好奇の目に晒される事間違いなし!」ってな感じの服装をした若者達が大勢います。
沢山のレースが付いているスカートは、中に骨が入っている為、ふっくらと形を保ったまま。「歩きにくくないのかよ……」と思わず心配してしまうような、厚底の編み上げブーツ。頭には、やっぱりコサージュとかレースが沢山ついたヘッドドレス。

そう、ゴスロリです。
っと、ここで短絡的にゴスロリというと、私の見識が疑われてしまうので、ちょい補足をしておきましょう。
上記に挙げたような服装は「ロリータ系」という大きな括りに入れられる事は多分間違いないのですが、ジャンルは細分化されています。白やピンクを基調にした「甘めのロリータ」もあるし、モノトーンがベースの「ゴシック系」もある。

随分と前置きが長くなっちゃいましたけど、本作は「ロリータ系」の格好をした女の子達をヒロインに据えた野心作です。
いやぁ、意外とありそうで無かった、って感じですけど、「意味はないけど、ゴスロリ書きたかったんで……」っていうわけでもなく、そこには必然性があり、そういう部分も込みで面白かったです。
メインヒロイン、エリカは、ハサミを持ち歩くちょっと危ないゴスロリ少女ですけど、凄い可愛いです。ちなみにスクリーンショットはエリカです。
その他にも、パンクの要素が入った服装のミサや、甘ロリ一直線みたいなアンリ、と、多様なロリータをヒロイン達がカバーしています!

さてさて、公式のサイトを見てみると、ちらほら目にする著名なゲームレビュワーさん達の賛辞の言葉が載っています。
そこに書かれている事に頷ける部分もあるのですが、全面的に肯定出来るわけでもありません。ま、こっちは、フリーメインのレビューなので、見方が違うって事で、そこらへんの違和感を先ずは追っていきましょう。


前述のメッセージの中に、スピード感がある、というような事が書かれていたりするわけですが、個人的にはそのスピード感を楽しめるようになったのは、前半分が終わってから、という印象です。
ストーリー的な部分で云うと、主人公直都が、エリカを助手にし、ようやく「ゴス狩り」への調査を本格的に行っていく、という辺りからでしょうか?

それ以前は、「ゴス狩り」事件の概要であったり、主人公周辺のキャラクターの紹介などのパート、と云ってもいいのかな。要所要所で、ギャグっぽいテキストが入り込むんですが、個人的にはそこまで笑えなかったかなぁ……。

ただ、中盤以降から、ストーリーが加速していきながらも、やっぱりギャグっぽいやり取りや、おふざけシーンなんかも入ってくるんですが、何故か質的には変わってないはずなのに、そっちの方は思わず笑ってしまう事があったんですよね。
どうも、私は、ストーリーが進捗している、という状況があって初めて、ギャグを楽しめるようですw やっぱりストーリー的な進展がないと、ちょっと焦れてきちゃいますからね。そういう状況下でギャグが出てきても、「ギャグはいいから、ストーリー進めてくれよ」って云いたくなってしまうというか。

で、中盤以降のストーリーのスピード感は、物凄く良かったですね。
今まで朧気だった事件の輪郭が少しづつ見えてきて、色んな事実も判明してくる。「事件の真相に近付いていく感触」が気持ちよく味わえます。バトルシーンもあって(主人公は、特殊な訓練を受けてる設定ですw)、そういう所も熱いですよね。とっても面白くプレイ出来ました。

結構、人死にが出たり、悲惨な状況、残酷な描写が続出するのにも関わらず、そこで湿っぽくならない軽妙さも併せ持っていて、バランス感も良かったと思います。
所々で、3Dアニメーションが出てくるんですが、これもさりげなく凄い事をやってる気がしますよ。


「ゴス狩り」の調査をし、真相を突き止め事件を(取り敢えず)解決するまでを前半、それ以降を後半と位置づける事も可能です。
私は、最初の2時間くらいで、エリカと共に「ゴス狩り」事件の調査を本格的に開始するまでを前半、事件を解決するまでを中盤、それ以降を後半と勝手に決めているんですが、そんなのは、各人がそれぞれ決めればいいわけで、当然、ザックリと前半・後半と決めてもいいのです。

で、どの区分けをしても、後半に当たるパートは、所謂「ヒロインの個別ルート」に相当します。
私が最初にプレイしていたら、どうやらエリカのルートに入っていったようでした。メインのゴスロリ娘ですし、個人的にも一番好きなタイプなので、無意識的に選択肢を捌いていたのでしょうw
ちなみに、選択肢の数はそこまで多くありません。よって、四つのエンドを見るのも多分、そんなに苦労しないはずです。

ただ、これも今まで何度となく話してますが、「フラグがリセットされない」なんて事がたまにあって、違う選択肢を選び続けているのにも関わらず、同じルートに入り込んで抜けれなくなってしまう、という事がありました。
そういう時は、サックリ本体を再起動してやれば、フラグがリセットされます。

エリカのシナリオは、中盤までの流れを汲みつつ、物語内で語られる歴史的背景がグッとせり出してきて、物語に奥行きと重みを与えています。
結局、歴史は繰り返すというか、過去を或る意味でなぞっている……という仕掛けは、この作品固有のものではないにせよ、やっぱり物凄く有効な手法だと思いました。
ループというのとは、また違うんですよね。ループは飽くまで同一人物がある時間内を何度もやり直す、っていうのが、簡潔な説明だと思うのですが、これは、時代を超えて、図らずも同じような事が起こり、同じような事を別の誰かが繰り返してしまう、というような、そういうものです。

うんと分かりやすい例を挙げると、やっぱり『源氏物語』とかになるのかなぁ。
光源氏って男がいて、オヤジさん(天皇)のお后様(自分の義母)と密通してしまうんですよね。結果、光源氏の子供が、オヤジさんの子供として生まれてくる事に。

で、光源氏自体が、そういう悪い事してるわけですから、「俺も同じ事されんじゃねーの?」って恐怖があるんですよね。よって、自分の息子の夕霧には、奥さんの一人であり、寵愛の紫の上を近づけなかったんです。その代わりに容姿の劣る花散里という女性を、養母にしています(夕霧の実母は、彼を産んですぐに死んでしまっています)。

で、時代が過ぎて、光源氏は、女三宮なる皇女と結婚せざるを得なくなってしまうのです。血筋的に考えれば、女三宮は、自分の兄貴の娘だから、姪に当たるわけで、そこらへんの感覚の違いは現代と昔では大きく違いますからスルーしてしまいましょう。
ともあれ、幼さの目立つ女三宮を娶ったはいいけれども、今度は、その女三宮が夕霧の友人でもある柏木という男と密通をしてしまい、懐妊。
生まれてきた子は、柏木の子ではなく、光源氏の子として育てられる事に……。

……と、まぁ、こんな感じで、歴史は繰り返すというか、因果が回ってくるというか……そういう、歴史的バックグラウンドに支えられた、奥行きのあるシナリオになっていくわけです。

エリカの場合は、メインヒロインですから、エンドが二種類です。トゥルーとハッピーの二つ。
最初、「絶対にハッピーの方がいいや」って思ってたんですが……そういう物語内歴史の輪みたいなものを強く感じさせ、又それを次世代に継いでいくかのような、トゥルーエンドも捨てがたいぞ、と。
今、エリカのエンドで、好きなものを一つだけ選べ、と云われたら、私は、迷ってしまいます。トゥルーは普通の恋愛アドベンチャーを望む人にとっては、バッドエンド風味な部分もあります。けれども、寧ろ、そのトゥルーの方が、この物語に通底している歴史の論理には合致するんじゃないか? と、そう考えてしまうわけですね。

ちなみに、ミサのエンドも、エリカのトゥルーエンドを見ていると、多分、その「歴史の論理」みたいなものが感じられると思います。
直都とミサも、自分たちの気持ちで、事件を解決し、処理したはずが、実はそれは……みたいな。やっぱり、そうした部分で深みが出てますよね。ただ、ミサの場合は、死体消失の謎が放置されていたような……。

一方、甘ロリのアンリですが、上記の二人と違って、物語の「歴史の論理」による束縛を受けないキャラクターなんです。ロリロリで可愛らしい子なんですが、エンドも、他の二人と違ってちょっとだけ投げやり感がw 投げやりっていうと言葉が悪いかもしれませんが、ちょっとギャグで逃げちゃった、みたいなw
その意味では、作品の持つ「重さ」を感じずに、素直に楽しむことが出来るキャラ、とも云う事が出来るかもしれませんね。



大体こんな所でしょうか?
久々に、歯ごたえがある、しかも野心的な作品をプレイ出来て、本当に楽しかったです。
中盤からの面白さは、本当に気持ちの良いものですし(凄惨な場面とかはありますけど)、ゴスロリも堪能出来ますし、ちょっとフッと怖さを残すエリカのトゥルーエンドも、賛否はありましょうが、絶対に入ってて良かった、と思います。

ゴスロリとか、ミステリー風味とか、恋愛とか、色んな要素の入っています。
ちょっとでも興味を持ったら、是非プレイしてもらいたい、そんな作品です。というわけで、今回は吟醸。



それでは、また。


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by s-kuzumi | 2014-02-12 23:00 | サウンドノベル | Comments(0)


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