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2014年 03月 12日

フリーサウンドノベルレビュー 『femme fatale』

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今日の副題 「運命の女は悪女でもある」

ジャンル:浪漫ミステリー(?)
プレイ時間:4時間半程度。
その他:選択肢アリ、間違った選択肢はバッドエンド直行。18禁。
システム:?(独自システムと思しい)

制作年:元々2001年にリリースされたものを、2006年にリニューアル。
容量(圧縮時):181 MB




道玄斎です、こんばんは。
今日は、ちょっと朝からのんびりしています。ここ数ヶ月、色々と忙しくてため込んでいた作品を少しづつ消化中。今日は、商業ブランドから期間限定という事でリニューアルし、配布された作品のご紹介。
というわけで、今回は「inspire」さんの、『femme fatale』です。ダウンロードはサイトに入って、一番したのミラーサイト一覧にて、mirror.fuzzy2.comからどうぞ(直リンク出来ませんでした)。
良かった点

・大正時代を舞台としている為、ちょっとレトロな雰囲気が味わえる。

・淡々と進むストーリーが、意外にもプレイヤーを離さない。

・今でも十分通用するイラストと、ちょっと嬉しい女性フルボイス。


気になった点

・ミステリーではあるものの、最後までプレイしてもスッキリ感はあまりない。

・システムにバグがあり、ハマると先に進めない(後述)。

・タイトルと関係のある女性が、もっと表に出てきても良かったのかも。

今回、ストーリーは私が纏めておきましょう。
時は大正時代。東京で探偵業を営む八神は、一時、郷里に戻ってきた。
そこで、父の代から知り合いである警部に、ある事件の調査を秘密裏に依頼される。その事件とは、八神の妹鈴花が通う、ミッション系学校で起きた女生徒の不審な死に関するものであった。
八神は、妹鈴花、そして元許嫁の聖美と生活を共にしながら、事件の真相を探っていくのだが……。

といったところ。

正直な所、私はあまりハードボイルド系のミステリーを読んだりした事がないので、アレなんですが、どうやら本作は、そうした系統の作品のようですね。

舞台は、大正時代。
それぞれのキャラクターの発話、或いは地の文なんかも、「現代モノ」のそれと比べると、なんだか古めかしい言葉遣いで雰囲気が出ていました。ただ、正直、読めない漢字が一箇所、二箇所くらいありましてw ルビを振ってくれてたらなぁ……なんて。

如何せん、古い作品ですから、そこらへんに文句をつけてもしょうがない部分はあるのですが、2006年にリメイクされているのならば、もうちょっと遊びやすいシステムだったらな、という部分は色々ありました。
文字表示も、クリック待ちカーソルが出るとか、表示速度とか、そういうのは一切なくて、クリックすると、一気にずらっと文章が表示される形式。実はそれなりにバッドエンドがあるのに、セーブスロットの数が少なく、またセーブ(及びロード)出来るタイミングが限られている、等々。

そうした面がある事は確かなのですが、一方で、イラストが今でも十分通じる綺麗なものであったり、女性キャラはフルボイスなど、嬉しい部分も。


ところで、本作のタイトル、「ファムファタール」ですけれども、タイトルだけ聞いて、皆さんはどのようなイメージを持たれました?
私は、と云うと「運命の女(ひと)」という、邦訳がありますから「なんだか、ロマンチックな、そういう話なのかな?」と思っていました。ところが、プレイしていくと、探偵業(?)がメインであるわけで、あんまり、そういうロマンチックな方向には話が進んでいかないんですよね。

不審に思って、ちょっと調べてみたら、どうやら「ファムファタール」には、もう一つ意味があって、そちらは「男を破滅に導く魔性の女」という意味だったんです。
で、本作のタイトルの意味する所も、そっちの方だったというわけです。


一応、本作をノベルゲームと位置づけてレビューしているわけですが、ちょっと独特なシステムもあるので、その辺りの解説も入れていきましょう。

本作は、クリッカブルマップによって物語を進行させていく形式、といって差し支えないと思います。
一日の始めに、マップが表示され、行くことの出来る場所が示されます(場合によっては複数の中から選択する事に)。そして、その場所に出向いて、事件を調査するわけです。
そして、一日の終わりには、自宅書斎にて、「思索」というコマンドを選択し、昼間の活動で得た情報を整理していきます。選択肢は、この「思索」の中に出てきます。更に、必要があれば「呼鈴」なるコマンドで、鈴花乃至聖美と会話をして、「就寝」コマンドで次の日に……。

と、まぁ、こういう流れになるわけです。
セーブ/ロードのタイミングも、クリッカブルマップ選択時か、自宅書斎に居るときに限定されています。
ある種の単調さは感じるものの、特に迷う事なくプレイ出来るのは好印象です。「思索」や「呼鈴」で、全ての情報を見ないと「就寝」出来ないので、情報の取りこぼしは起こらないんですよね。

今、ある種の単調さ、と書きましたが、ストーリーの進み方も、少しづつ盛り上がって……というよりは、淡々と描写されていき、事件の真相付近まで近付いても、そんな雰囲気は変わりません。ラストに至っても「淡々」という感じですからw ミステリーに「謎の解明」というスッキリ感を求める人には、ちょっと物足りないかもしれません。
じゃあ、盛り上がりがなくて、更にスッキリしたエンドじゃないなら面白くないのかよ? と云われれば、「いや、それは違う」と云いたいのです。

盛り上がりや、その盛り上がりを際だたせる為の日常パートが、ノベルゲームには大事、と、私は良く書いているのですが、本作の場合、それは当てはまらないのかもしれません。
一つは、あまり「ノベルゲームの文章」というよりは、「小説」の方に近い文章を採っているせいだと思います。今では使わないような、ちょっぴりレトロな言葉遣いが多用される、というのは先にも書きましたよね。逆に云えば、ノベルゲームに小説っぽさを求める人には、結構満足出来る作品ではないかと。

で、淡々としてはいるのですが、ちゃんとストーリーは進んでいきますし、別の人物から別の依頼をされ、それが追っているヤマに繋がっていったり、と、プレイしていて飽きる、という事がありません。すっごい派手な事件とかは起こらないのに、プレイヤーを離さない。見習うべき部分が多い作品だと思いましたよ。

バッドエンドはありますが、基本一本道、と考えてもいいと思います。
何故ならば、誤った選択肢を採ると、即バッドエンドに向かってしまうからです。ちなみにエッチシーンはこのバッドエンドに集中しています。
正規のルートでも、イベントとして、エッチなシーンが入る事は勿論ありますが、総量から見れば、大した事はありません。


気になった点の中で最大のものは、「バグがある」という部分でしょう。
尤も、本作はWindows XP用なので、Windowsのバージョンの違いでバグが起きてる可能性も否定出来ないのですが……。
そのバグというのは、「思索」から人物や場所を選択して情報を整理していると、突然、別のシーン(前日のシーンとか)に切り替わってしまう、というものです。

これも先に書きましたが、全ての「思索」を終えなければ「就寝」出来ず、従って、ゲームを続行する事が出来ません。
対応策としては、「何度も、繰り返し、同じ『思索』をし続けるしかない」という、ちょっと後ろ向きなものしか発見出来ませんでした。

何かのタイミングで、シーンの切り替わりが起こったり起こらなかったりするので、ひたすら、ループして、正しく判定され「就寝」出来るまで、頑張るしかない、という事になります……。これが、本作の最大のマイナスポイントでしょうか……。


話を戻して。
調査を進めていくと、学園の理事長が数年前変わった事や、その理事長がかなり胡散臭い人物である事、更に学園の外国人女教師にもよからぬ噂がある事などが分かってきます。

そうした情報が、調査の中で少しづつ判明していくのは、それが一本道であっても、結構楽しいものです。情報を提供してくれる酒場の主人だったり、古書店店主とのやり取りは、本作に於ける主人公の立場を明らかにしてくれますし(八神の父の代で家が没落、されど地元では顔が利く)、学園に通う女の子達との接触も、スリルを感じるものや、微笑ましいものまで色々あります。

登場する女の子はみんな可愛いですね。
ミッション系の学校での事件だけあって、登場する女の子は、レイチェル、カレンと、外国の子も多いのです。個人的には、一番可愛いのは、やっぱり妹の鈴花って事になっちゃうんですけどもねw 

さて、問題は、タイトルの「ファムファタール」だと推測される、外国人教師フレイアです。
本作に底流しているのは、云ってしまえば、男尊女卑的な思想で、「女性として生きるという事」みたいなものが一つのテーマとなっているようです。
主人公の元許嫁の聖美や妹鈴花、カレン、中国人女性ツェイリン、そしてフレイアを巡る問題には、その「女性として生きる」問題がつきまといます。

そうした、事件の中に潜んでいるテーマ性みたいなものが、作品に深みを与えている事、間違いないのですが、フレイアに関しては、ちょっと不足を感じる部分があります。事件の真相と関わりがあるので、詳述は避けますが、もう少し、フレイアが表に出てきて、作品を貫くものを、より強く意識させてくれたらなぁ、と、思うのでした。


本作は、どうやら、『エーデルヴァイス』という商業ゲームの前史に当たる作品のようです。
フリー化されたのは、その『エーデルヴァイス』のプロモーション用って事になりましょうか。しかし、単独で十分楽しめるものですし、以前からお勧めされていた事もあって、今回取り上げてみました。

システム的に使いにくい部分や、バグがあったりはするのですが、大正時代のレトロな雰囲気を味わったり、どちらかと云えば小説に近い、ハードボイルド路線を楽しんでみたり、と、見所は結構あります。
最新のWindowsでは動かないかもしれませんが、プレイ出来るようなら、是非ご一読あれ。



それでは、また。



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私達が運営している、ノベルゲーム制作支援サイト(素材ポータルサイト)、Novelers' Materialなんてものがあるので、良かったら、利用してやって下さいませ~

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by s-kuzumi | 2014-03-12 17:45 | サウンドノベル | Comments(2)
Commented by Low at 2014-04-09 19:04 x
バグでしょうか?あるところから 先にいけません><
今まで 試行錯誤しまくっていたのですが^^;

くやしくって ネットの海に漕ぎ出しました。  そこでひさびさに クレナイブックさんにあいました・・・・

なのかまち フリー体験版 読みました。  いやあ やっぱり クレナイブックさんはいいなあ。 思わず 購買してしまいました。(購買なんて初めてのことです。商業レーベルは買わないことにしてたけど^^;)     うん 体験版のストーリーが好みだったw  いや+Hも体にはよかったですが^^;

クレナイブックさんの作品は 私に合ってるかもしてない。 ふつう 読後 自己嫌悪するんですが、 クレナイブックさんのは そんなこと まったく無い^^ ストーリーが いいんでしょうね。

PULSE は 嵌りました。 世界観が自分の考えてたのと けっこう一致してたし。 (あ 全部購入しましたクレナイブックさんのは)

そいえば Glare のレビューされてましたね。

まだ クリアしてなかった^^; ずっと忘れてたw

あー わたしのどっちだったろう 全年齢?成人版?  わすれた~^^;
Commented by s-kuzumi at 2014-04-15 21:23
>>Lowさん

こんばんは。
多分、私が書いているバグと同一のものではないでしょうか? 何度も何度もしつこくやってると、或る瞬間にふと先に進めるようになるので、ちょっと根気が必要ですが、試してみて下さい。

同人系は、私はめったにやりませんねぇ(ホントは、適度に触れた方がいいんでしょうけど)。

けど、たまに自分が作ったBGMを使ってくれてるサークルさんとかもあって、そういうのは積極的に買って応援したいですね。


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