2014年 03月 20日

フリーサウンドノベルレビュー 『よんひくいちは』

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今日の副題 「期待の地平を裏切る名作」

ジャンル:未来予知が可能な少年が主人公のノベル(?)
プレイ時間:1時間半ほど。
その他:選択肢なし、一本道。
システム:吉里吉里/KAG

制作年:2014/3/2
容量(圧縮時):121MB




道玄斎です、こんばんは。
日々、「あの時、ああすればよかった」と悩んでいる私ですが、もし、私に未来予知があれば、そうした後悔はしないで済んだのか? 或いは別の悩みが生じてしまっていたのか、とにかく、そんな事を考えさせられる作品のご紹介。
というわけで、今回は「現屋」さんの『よんひくいちは』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・1時間半の中に密度の濃い物語が詰め込まれている。

・場面場面で、プレイヤーに考えを促すような、不思議な作品内容。


気になった点

・割と難しい表現を使う為、分かりにくい部分がある。

ストーリーは、ふりーむの方から引用しておきましょう。
ある日不思議な力を手に入れた男子高校生。
「自分は、未来予知ができる。」
その力で彼は、何を掴むのか。
その力で彼は、何を失うのか。

雨の日を境に何かを失った彼が、
いつもの非日常のなか、生き抜くお話。

大雑把ですけど、面白いノベルゲームって二種類に分けられると思うのです。
それは、プレイを開始して、少しづつストーリーが盛り上がっていって、最後に「ああ、面白かった」と終わるタイプ。今一つは、プレイを開始して幾ばくも経たぬ内に「お! これは面白いぞ……」と気付くタイプ。

あんまりにも、単純で一面的な切り分け方ですけれども、経験ありませんか?
本作、『よんひくいちは』は、まさにこの後者のタイプでした。プレイして、10分くらいで「あ、凄い面白いじゃん!」と感じたのです。
でも、一方で、ラストまで読んでみると、最初に感じた面白さとは別の種類の面白さがある事にも気付く。そういう作品でした。

主人公、宥大(ゆうた)には、所謂予知能力が備わっています。
その予知とは、予知の対象となる、人物・内容・場所・期間が分かるというもの。但し、人物・内容は必ず分かるものの、残りの二つは振れ幅があり、分かる時と分からない時、或る程度の制限が付くもの(期間なら、一週間以内、など)がある。

そんな宥大が、ある日、クラスメイトの男子が「主人公になる」という予知を得てしまうのです。
そこが、この物語のスタート地点と云っても差し支えないでしょう。面白そうでしょ? 「主人公」という、小説とか、ゲームの中にしか存在しないであろう漠然とした存在に、クラスメイトがなってしまう。そんな予知を得て、この物語が動き出します。

そして、その予知をきっかけとして、宥大は、凌太(これが主人公になる、と予知されたクラスメイト)、寛、そしてどこか不思議な黒助という友人に恵まれて生活をしていくのだが……という感じ。

宥大の予知能力者故の苦悩、みたいなものを孕みながらも物語は進んでいくわけですが、本作の凄い所は、そうした予知能力だけを推進力にしているわけではない、という点です。
詳述は避けますが、ホラーの雰囲気を持つパートがあったり(今日のスクリーンショットはそこからです)、超自然的な要素(まぁ、予知もそうなんですが……)が、物語に大きく関わっていたり、見所がたっぷりで、密度を感じるのです。

故に、最初の10分かそこらで予想する、ゲームの雰囲気というか、色がコロコロ変わっていく。そんな印象もありました。だからこそ、今日は「ジャンル」がかなり苦しい書き方になってしまったのですw
ともあれ、そこを、この作品の欠点と見るか、或いは面白い所と見るか、意見は分かれそうですが、私は後者の立場です。予知能力だけじゃない、と、書きましたが、そこがやはり、一つの芯になっている部分はありますしね。


全部プレイすると、ちょっと不思議なタイトル『よんひくいちは』の意味も分かるのですが、そうした、物語の謂わば焦点、と共に私が気になったのは、宥大の母親の存在でした。
何も、この作品に限りませんけれども、ゲームに於ける母親の存在、ってのも、ちょっと考えていくと面白いテーマなのかもしれません。商業作品なんかだと『Kanon』の秋子さんとか、凄い人気ですし、魅力がありますよね。

宥大の母親に、話を戻して。
母親らしい、慈愛に満ちあふれた存在なのは間違いないのですが、その母親の持つ優しさや、「信じる」という事が、やっぱり、物語の焦点や核心に届いている気がするのです。そんなに作品中で沢山描写されるキャラクターではないのですが、だからこそ、凄く印象深く、いいキャラクターだったなぁ、と思います。


ちなみに、文章そのものは比較的読みやすい、と云ってもいいのですが、使っている漢字や言い回しに難しいものがあったりして、実は「すんなり読めない」という印象です。例えば、「落暉」なんて言葉を私は、生まれてこの方使った事がありませんw
一つは、宥大の心中思惟を、結構緻密に描いているから、という事はひとまず云えそうなのですが、高校生の男の子がこんな言葉を使って思考するかなぁ? とか、いや、けど、「小説」だったら、そういうのも全然アリなんだよな……とか、色んな事を考えてしまいます。

作品や、その内容を、じっくりと反芻して、ノベルゲームから「考える事」を引き出したいプレイヤーっていますよね。私の知り合いにもいますw 「多分、作者はそんな事考えてないよ」ってな事でも、真剣に考えちゃう。
下手な考え休むに似たり、ってことわざもありますけれども、そういう人は、頭がいい人が多いんですよねぇ。
そういう人にとって、この作品の持つ、「読みにくさ」っていうのは、寧ろ逆にプラスに働くのかもしれません。

まぁ、私は馬鹿で、考えるのがニガテなので、難解な漢字や表現によって、ストーリーをストレートに読み解きにくいという所で、「気になった点」として挙げましたが、こういう作品が出てくるから、ノベルゲーム漁りが止められないんですよw



大体、こんなところでしょうか?
最初の10分で感じる「面白い!」という感触と、プレイしていく内にその「面白さ」の内実が変化していく、密度の濃いストーリーが光る作品でした。一応、無印にしてはいるのですが、ちょっとまだ、吟醸にしようかどうか、迷っていますw もう一度くらいプレイしてみて、最終判断をしますw
短すぎず、長すぎない尺で、良い作品を探している人には、断然お勧め致しますよ!



それでは、また。



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by s-kuzumi | 2014-03-20 20:02 | サウンドノベル | Comments(2)
Commented by Low at 2014-03-26 18:55 x
よくわかりませんでした。 しくしく。

前作は なんとなく判りましたが  今回は^^;
Commented by s-kuzumi at 2014-03-29 17:44
>>Lowさん

こんばんは。
よく分からなくても、いいんじゃないでしょうか??

私も私なりの理解に基づいて、記事を書いてますけど、実は間違った理解をしている可能性だってあるわけでw

逆に、「作品の全てを理解出来る」なんて事は、多分、不可能ですよw 作者だって、気付かないような部分ってあると思いますしねぇ(プレイヤーからメールとかで意見が来て、「確かにそれはあるな……」とか考えちゃう場合とか)。

作品の中身が十分理解出来なくても、「面白い」と思いながら読めたのなら、ノベルゲーム体験(?)としては、大成功だと私は思いますw
「こりゃ、ハズレだなー」って事があったら、それはサラリとスルーすればいいのですw


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