2014年 08月 24日

フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『今日僕は自殺をします』

b0110969_170331.jpg

道玄斎です、こんばんは。
今日は、久々のノベルゲームレビュー。全ルートをオマケまで含めて見ても、20分といった所なので、今回は番外編です。
というわけで、今回は「闇黒天使」さんの、『今日僕は自殺をします』です。



ちょっと前に、ファンタジーの要素を取り入れたノベルゲームにまつわるヘンテコ話をしたのですが、今日取り上げる作品の作者さんは、ファンタジーノベル作品、『クレイズン・ハート』というものもリリースしていたりします。ちょっと女性向けのテイストを感じますが、興味があれば是非是非。


「自殺」を一つのテーマに据えた作品を、ちょくちょく目にするようになりました。
それもこれも、発端は『ナルキッソス』だったように思います。『ナルキッソス』を目指して作られた作品がある一方で、また別の切り口から自殺の問題……もっと云えば、「生と死」の問題に取り組んでいる作品も増えてきました。

中には「これはちょっとなぁ……」と思ってしまうものがあるのですが、非常に大きなテーマを扱うものですから、真剣に作ってあったりして、概ね、力作が多いような気がしています。

そうした「自殺」を扱う作品群の中で、本作は「割とシンプル」に作られているのではないでしょうか?
フルボイスで(声優さんは皆、好演でした!)、気合いの入った作りなのは、間違いないにせよ、シナリオそのものは、じっくり読んで(聞いて)も、10分そこそこ。

一つには、少しづつ、自殺に至るまでの道筋を描き、そして「死ぬか生きるか」の選択を描くのではなく、主人公が「今日、自殺をする」と決心する所から物語がスタートする、という部分と関係があるのでしょう。
「最後の一日」を焦点化していく、という手法ですね。


本作には、面白い試みがいくつもありました。
一つは、「セーブ/ロード」が出来ない、という事。更に、スクリーンショットを見て頂ければ分かる通り、「自殺する」という禍々しいボタンが、基本、画面に表示されていますw

基本的に、プレイヤーが主人公の自殺決行のタイミングを制御出来る、という事なのですが、「いつ自殺するか」が、エンドを分けるのです。選択肢を使わないエンド分岐というわけで、これは中々面白い仕掛けだったと思いますよ。まぁ、或るタイミングでは自殺ボタンを押しても、「今は様子を見よう……」みたいな感じで、自殺出来なかったりするのですがw

主人公が「自殺へと至る理由」の方は、比較的オーソドックスなものなのですが(所謂、イジメです)、そうした作品の仕掛けの部分が、この作品を特別なものにしていたように思えます。
プレイしながら、場の流れを読んで、自殺ボタンをクリックする。そうする事で、トゥルーエンドへの道筋も拓けてきます。

更に、トゥルーエンドの方では、「死ぬ」という意味が逆転したりして、そこは素直に「おお、上手いなぁ!」と思いました。一発でトゥルーエンドに行くのは難しいかもしれませんが、尺自体が短いので、何度か試してみれば、すぐに到達出来るはずです。

所謂、エンターテイメント、とはちょっと違う雰囲気の作品ですが、これも亦、やはり楽しめる作品だと思っています。作品の作り(構造)的な部分で、あれこれ考える事も可能でしょうし、ストーリーを味わう、というのも勿論アリです。バッドエンドを楽しむ、という遊び方だって当然可能(バッドエンドが楽しい作品もありますからね)。


そういえば、後書きにて、「敢えてイラストを付けなかった」という事が記されているのですが、私はそれは大正解だと思います。
昨今、フリーのそれであっても、「綺麗(や、可愛い)イラストが付いているのが当たり前」というような風潮すらあるわけですが、敢えて、イラストを排除して雰囲気を作っていく、という方法は、私はとっても好きです。

確かに、美麗なイラストがついていれば、それだけでダウンロード数が跳ね上がります。
けど、好きに作ってるものなんですから、ダウンロード数だけを絶対に価値基準にする事はないんですよね。そりゃ、多いに越したことはないんですがw

本作の場合、イラストこそないものの、やはり、タイトルワークが目を引くので、そこでダウンロード数は補填出来てるんじゃないかな、なんて勝手に思っていますw 完全に余計なお世話ですが……w


さて、作品については大体これくらい、なのですが、今日はちょっと久々なので、蛇足を書いていくつもりです。

本作の主人公は、所謂イジメにあっていて、それが為に、自殺を決心するわけですが、「学校という場では、なかなかイジメの問題は解決しないだろうなぁ」というのが、私の正直な所感だったりします。

そもそも、当たり前の事なんですが、学校というのは結構矛盾に満ちた空間です。
「イジメはいけないんだよ」と教えている教師が、職員室の中でイジメをやっている、なんて事は日常茶飯事なのですから。子ども達の中で発生するイジメに教師も加わっていた、なんてニュースも見たことありますでしょう?

学校を出て、社会に出たとしても、イジメは至る所にあります。
しかも、その手段はもっと巧妙になりますし、その被害は学生時代の比ではありません(休職に追い込まれてしまったら、収入がなくなっちゃいますからね)。

なので、学校は「イジメをなくそう」じゃなくて、「どうしたってイジメは出てくる」っていうスタンスの方がいいんじゃないかなぁ、なんて思うのです。
どういう場面でイジメが発生するのか、どうやって解決していくのか、そっちの方に重心を置いて、「イジメに対処する手段」というか、そういうものを学ばせる方が、意義があるように思えるのです。

勿論、対処出来ないような酷いケース、と云った例外はあるでしょうけど、基本的に「力のある奴がそうでない奴をイジメる」という構造自体は、あまり変化はしません。
「イジメはいけないよ」と、イジメそのものを全否定するより、「イジメはいつでもどこでも起こり得る」という立場で、それに対抗する術、逃げる方法を教えて免疫を付けてやる……というのが実践的かなぁ、なんて愚案致します……。


ガラにもなくあれこれ書いてしまいましたが、脱線はいつもの事なので、どうぞご容赦下さいませ。
ともあれ、今日はこの辺で。


それでは、また。



/* 以下、宣伝

私達が運営している、ノベルゲーム制作支援サイト(素材ポータルサイト)、Novelers' Materialなんてものがあるので、良かったら、利用してやって下さいませ~ 素材作者さんも大募集です!

http://novelersmaterial.slyip.com/index.php

リニューアルも完了し、より使いやすい素材ポータルサイトになっております。

以上、宣伝 */
[PR]

by s-kuzumi | 2014-08-24 17:00 | サウンドノベル


<< フリーサウンドノベルレビュー ...      なんてことない日々之雑記vol... >>