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2014年 09月 04日

フリーサウンドノベルレビュー 『処女失格 ~初めては貴方に捧げたかった~』

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今日の副題 「型と面白さ」

ジャンル:乙女処女失格ノベル(readmeより)
プレイ時間:2時間程度
その他:選択肢なし、一本道。18禁。本レビューは「ネット公開版」にて。事前にパッチを当てておくこと。
システム:NScripter

制作年:2014/6/15
容量(圧縮時):196MB




道玄斎です、おはようございます。
早いもので、もう九月です。気が付けば、照りつけるような暑さはなりを潜め、少し涼しい秋風が吹くようになりましたね。
私は、と云えば、少し忙しさが増しつつあるのですが、何とかまた最近、ノベルゲームをプレイする時間を取ることが出来るようになりました。
というわけで、今回は「agony/禁飼育」さんの『処女失格 ~初めては貴方に捧げたかった~』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・独特の作風は今以て健在! しかも、マンネリ感がない。

・ちょっとほろ苦さを残すラスト。


気になった点

・誤字修正パッチを当てても、誤字が多め。

・陵辱的な要素アリ。苦手な人は要注意。

ストーリーは、今回は私が簡単にまとめておきましょう。
ぬいぐるみ少女(?)「ちぎみ」と、同居人である「ごかく」さんは、ちょっぴりメルヘンでラブラブな日々を過ごしていた。
そんなある日、ごかくさんは、会社で必要な資料を家に忘れたまま出勤してしまう。ごかくさんの役に立つべく、ちぎみは、ぬいぐるみの体というハンデを乗り越え、彼に忘れ物を届けようとするのだが……。

と、このくらいにしておきましょう。


いきなり脱線しますけれども、気が付けば、私、サウンドノベル/ノベルゲーム用のBGMを制作するのが、趣味の一つになっています。「音楽作ってます!」って大上段に構えて云える程ではないのですけど、まぁ、チマチマとね。

たまに、ゲームをプレイしていて、自分の作った曲を発見すると、凄いテンションが上がったりしますw テンションが上がったあとで、妙に気恥ずかしくなって、その曲が流れている所は、凄い速度で読み飛ばしちゃったりするわけですが……w

で、本作『処女失格』の作者さんがリリースしている、所謂シェアゲーム(『淫靡で残酷な豚』)にも、私の作ったBGMを使って頂いているみたいで、感謝感謝です。


さてさて、タイトル、そしてスクリーンショットをご覧頂けば、本作が、『さくっとパンダ』、『キナナキノ森』など、話題になった作品の作者さんだという事、すぐに分かるかと思います。

吸血鬼を思わせる、野性的な容貌の中年男。
変わった名前を持つ、肉感的なヒロイン。
そしてヒロインを待ち受ける過酷な運命……。

この作者さんの作品は、大体このパターンというか、この型で出来ています。
本作も亦、この変奏でした。けど、それでもやっぱり、本作は(というか、この作者さんの作品は)面白いのです。


本作は、大きく、前半と後半に分ける事が出来ます。
前半は、ストーリー部分で書いた通り、少しギャグっぽいテイストが入り込んだ穏やかな日常パート。
後半は、その日常の裏にある、「真相」を探っていくパート、と位置づける事が出来ましょうか。

この作者さんの作品を、何作品も読んでますから、前半を読んだ時に、「絶対、このまま微ファンタジックなほのぼの路線で終わるハズがない!」と、斜に構えて読んでいましたw
或る意味で、「絶対凄いのが来るぞ……」という、信頼感がそこには存在している、と云ってもいいのかもしれません。


そこで私は、はたと考え込んでしまったのです。
前述の通り、ある種のパターンによって物語が作られている。勿論、細部は作品によって違いますが、同じ型を使っている、と、言い切って良いような気がします。

毎回同じような話で飽きてしまう作者さんがいる一方で、本作の作者さんのように、同じ型を使い続けていても、魅力を放つ作品があるのか、どうしてなのか、と。
真面目に考えていけば、本当に色々な要素があるのでしょうけど、パッと思いついたものは、「型の部分での個性がずば抜けている」という事。

本作も、比較的女性向け……だとは思うのですが、そもそも「中年男」がヒロインの相手役になる、っていう設定が、物凄く個性的ですよね。しかも、その中年男もただカッコいいだけじゃなく、その内側に、ドロドロとした悪意を秘めている、という。

素直な女性向けゲームでは、或る程度、攻略対象の男性キャラのパターンが決まっていて、そういう安心感みたいのはあるんですが(勿論、素直な作品も私は好きです)、間違っても極悪中年男と結ばれるパターンはないんですよねw

ヒロインの造型にしてもそうです。素直なそれだと、あまり個性が無く、「可愛くない」とか称されつつも、普通に立ち絵、一枚絵を見ると美少女だったりして……。で、色んな男性キャラから、色んなやり方で愛されていく……みたいなね。所謂一つの「愛されガール」というか。
本作のヒロイン(?)ちぎみも、確かに可愛いんだけど、実は口は悪いし、変顔多いし、食い意地は張ってるしと、やはり、広く流布しているヒロイン像とは違いますよね。

この主人公(ヒロイン)と相手役の型は変わらないけれども、その型そのものに既にして個性が宿っている、という訳です。


今一つの要素は、「そこに、ちゃんとしたストーリーがある」という事。
パターンや型に或る程度沿っているとはいえ、ちゃんとストーリーが流れていきますし、結末というか〆のパートがちゃんとあるんですよね。ストーリーの緩急も凄いシッカリしてますし。

そうしたオチみたいな部分はなくて、何となく雰囲気で流れちゃう作品っていうのも、世の中にあって。
その雰囲気が、心地良いものだったら、全然それも作品としていいと思いますし、そうした作品の中に、私も好きな作品が結構あります。

ただ、大凡の傾向として、その雰囲気系の作品を作る人は、延々と同じような雰囲気系を作り続けるみたいな部分はありますよね。ちょっと言葉は悪いけど、同じようなネタで同じような雰囲気がウリの作品を量産されちゃうと、最初の数本は楽しめるけど、段々、新鮮さや面白さを感じなくなっていく事があって……。


というわけで、型の部分で物凄い個性を持っているという事。そして、緩急の効いたストーリーをちゃんと持っているという事。
この二つが、本作を「いつもの作品」ではなく、ちゃんと「新作」として成り立たせているんじゃないかなぁ、なんて愚案致します。

寧ろ、この要件があるからこそ、「個性」が際だつような、そういう部分もあるんですよね。前述の通り、「この人の作品なら、絶対このままじゃ終わらない!」というような、信頼感があったりね。
あっ、そうそう。作品の〆についても、少し話しておきましょう。

本作は、例によって悲惨なパートを挟んで、それにどう向き合っていくのか、というのが最終的な着地点になるわけです。そこが、ちょっとほろ苦くて、凄く良かったですよ。
この作者さんの持ち味の一つとして、「人間の心理描写」が上手い、というのが挙げられるんじゃないかな。

悪意のような、ドロドロとした心理を描くのもお手の物だし、後悔や諦念……そうした部分の心理描写も凄くいいです。少し暗めの人間の心理、心情という事になるかな。幸せな感情よりも、そういう負の感情の方が、プレイヤーとしてグッときたりする事が多いんですよねぇ。
もっと云えば、負の感情をしっかり描けるから、その後の正の感情にも入り込める。そういう部分って絶対ありますよね。


気になった点は、やはり、誤字修正のパッチを当てても、それなりに誤字が多い、という所でしょうか。
「なんにせよ」とありたい所が「なんによせ」になっていたり……そういう部分がチラホラと。

あと、一応注意書きの延長みたいなものですが、結構キツい陵辱シーンもあります。
18歳未満はプレイをしない。そうしたシーンが苦手な人も、プレイを控える、というのが吉。


結局、今回は、作品の中身について、全然触れませんでしたねw
敢えて云いますが、「いつものパターン」です。けど、やっぱり読み応えがありますし、面白いのです。
個人的に好きだったシーンは、「バスの中」のシーンと、ラストのほろ苦く、少し切ない部分ですね。

人を選ぶ部分は勿論ありますが、agony/禁飼育さんのファンなら、是非プレイしてみて下さい。期待を裏切らない作品になっていると思いますよ。



それでは、また。


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by s-kuzumi | 2014-09-04 11:37 | サウンドノベル | Comments(3)
Commented by Low at 2014-09-07 01:17 x
つい先ほど 読了いたしました。

いやいいや だいぶ HPとMP もってかれました。

ラストはねえ やっぱ あれしかないですよね^^; あの状況だとあれが最善?

うー うー ちぎみさんにシンクロしてしまうぜ。うー 仕方ないかもしれないけど 納得はできへん・・・

ちぎみさん けっこう ストライクゾーン なのよね・・・ 立ち絵もかわいいよね ほんま あらさー?   お肉はそうかもしれない・・・
Commented at 2014-09-07 22:50 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by s-kuzumi at 2014-09-11 20:06
>>管理者のみでコメント下さった方

ありがとうございます! 少しづつですが、また頑張って、面白い作品、引っかかる作品をご紹介出来れば、と思ってます。

で、あれは、昨夜、久々にやりましたw
また、ちょくちょくやっていこうかな、なんて思っているので、是非、遊びにきて下さいね!


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