久住女中本舗

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2015年 03月 09日

フリーサウンドノベルレビュー 『一生に一度の、』

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今日の副題 「神様らしさが決め手です」

※吟醸
ジャンル:神様と生活するノベル(?)
プレイ時間:1時間ちょいといった所。
その他:選択肢なし、一本道。
システム:NScripter

制作年:2015/2/23(ふりーむ登録)
容量(圧縮時):98.0MB




道玄斎です、こんばんは。
今日はタイトルがとても素敵だったので、ダウンロードしておいた作品をプレイ。
勿論、タイトルだけでなく、作品内容もとっても良いものでした。というわけで、今回は「都築製作所」さんの『一生に一度の、』です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
良かった点

・神様のキャラクターが非常に良かった(後述)。

・伏線などはあるが、基本、素直な作りでそれ故の良さが十全に発揮されていた。


気になった点

・げんこつシーンが多少くどいかも。

・ワイド画面でなくても良かったような……。


ストーリーは今回は私が簡単にまとめておきましょう。
会社をクビになり、ニート生活を送るも、藤吉郎は、今、運気の絶好調にあった。
賭け事では大勝ちし、高級な弁当をタダでもらう……。
人里離れた場所で、その弁当をビールと共に楽しもうとした瞬間、藤吉郎は、そこにあった祠を壊してしまう。そして、その「祠の神様」を自称する女の子が現れ、「祠を建て直せ!」と要求してくるのだが……。

大体、このようなストーリーになっています。


久々に、物凄くグッとくる作品をプレイしたように思います。
冒頭でも書きましたが、何と云ってもタイトルが既に素敵なんですよね。『一生に一度の、』なんて、中々出てくるタイトルじゃありません。
或る意味では、シンプルなタイトルワークでもあると思うのですが、「、」と、少し含みを持たせている所とか、「一生に一度」という言葉の持つ力強さが、プレイする前から期待感を煽ってくれます。

作品内容の方も、とっても素敵で、私好みのものでした。
序盤は比較的賑やかというか、ギャグっぽいテイストですが、徐々にシリアスになっていく、というような流れもしっかりしていますし、強烈で刺激的などんでん返しこそないものの、伏線が張られ、それがラストにちゃんと結びつく作りは、本作が丁寧に作られた事を感じさせます。

又、一時間ちょい(私がプレイした所、一時間15分でした)という尺も良かったですね。
変な引き延ばしや、よどみがなく、すんなりと読了出来てしまいます。
これは、「祠を建て直す」という目的が明確に示されているからでしょう。この目的の遂行に沿う形で、藤吉郎、そして「神様」との同居生活があり、その果てに「一生に一度の願いを叶える」という神様の約束が示されるわけです。


こうした物語の仕掛けも良かったのですが、何より、私が気に入ってしまったのは、神様のキャラクターそのものです。
外見が可愛い、とかそういうのも勿論ありますが、印象的なセリフ(これが後々効いてくるんです)もありますし、藤吉郎とバカをやったりしつつも、そこに「神様らしさ」を凄く感じさせてくれる、そこが何より良かったと思います。

作品のキモとも云える一生に一度の願いに関しても、それがどんな利己的なものであれ受け入れる。
神様という、人間よりも(まぁ、表現するのが難しいのですが)「上」の存在であるにも関わらず、上から目線ではなく、「神様としての目線」に立ち続けるというか。
そういう、一本筋が通った、人間っぽくても、やはり人間とは違う神様のスタンスがこそが、彼女の本当の魅力だったのではないか、と愚案する次第です。


後半からラストに掛けて、それまでに張られていた伏線が回収されていったりと、物語的に展開があるわけですが、それは、奇を衒ったようなものではなく、寧ろ或る意味では予定調和的とも云えるものになっています。
そして、私は個人的に、その予定調和が非常に好ましく感じたのです。

ノベルゲームも段々と進化してくると、所謂(定義は非常に難しいですが)オーソドックスなシナリオに対する抵抗感というのも生まれてきます。
プレイする側からすれば「またこのパターンかよ」という反応だったり、作る側に立てば「このシナリオで受け入れてもらえるだろうか?」という不安が生まれる、とでも云いましょうか。
故にそこに、ヒネリを加えるという事が行われるわけですけど、それもまたいつしか飽和していき、限りなくtoo muchになっていく……。

けど、オーソドックスなものも、ヒネリを加えたものも実は表裏一体なのです。
オーソドックスな作品という基盤があるからこそ、ヒネリを効かせたものが存在感を持つし、逆も又然り、というわけです。

それに、ノベルゲームに限りませんが、ヒネリの効いたものばかり読んだり見ていたりすると、それはそれで飽きてしまうのです。
そうした時、オーソドックスの良さが再認識されたりする事が多いですね。オーソドックスというか、そのオーソドックスさを作った元祖的なものというか。そうしたオーソドックスではあれど「力のある」物語を皆が求める時期っていうのもあるんじゃないでしょうか。

……と、随分脱線してしまいましたが、本作の場合、私は変にひねったものよりも、断然、現在の結末の方がいいと思ってます。例えそれが予定調和的なものであっても、丁寧に積み重ねられた物語は、ちゃんと感動を与えてくれるのです。


気になった点に関しては、先に挙げた通りなのですが、割と、神様と藤吉郎がじゃれ合うというか、そういうシーンが多くて、しょっちゅう藤吉郎は余計な一言を口に出して、神様に殴られてますw
中盤くらいまで、二人が会話すれば殴られる、という状況が続くわけで、ちょっとくどいかも、と思ったのが一点。

もう一点は、ワイド画面の問題です。
ワイド画面を採用しているのですが、スクリーンショットをご覧頂ければ分かる通り、メッセージウインドウはその「枠」と比してかなり小さいですし、そのワイドさが物語に寄与している部分は、あまり無かったんじゃないかな、と。それならば普通に800×600でも良かったような……といういつもの私の主張ですw


つらつらと書いてきましたが、こういう作品に対しては、自分の考えたことや、その良さを言葉を尽くして書こうとすればするほど、その本質から離れていってしまうような、そんなもどかしさを感じる事があります。
ひとへに、私の文章能力の稚拙さに拠るものですが、「考えるんじゃない、感じるんだ」というようなタイプの作品もやはり、あると思いますし、本作はまさにそれだとも思っています。

とってもお勧めの作品です。
一応、吟醸ではあるのですが、もう少し考えて、大吟醸にするかもしれません。



それでは、また。


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by s-kuzumi | 2015-03-09 19:56 | サウンドノベル


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