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2007年 08月 06日

フリーサウンドノベルレビュー 『僕の心は雨のち晴れ』

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今日の副題「留まることと進むこと」

※吟醸
ジャンル:少年の成長(?)
プレイ時間:一時間半~
その他:選択肢無し、一本道。

システム:Windows/PSP対応 Hybrid Mini-novel
容量(圧縮時):53.9MB




道玄斎です、こんばんは。
随分長い間、サウンドノベルのレビューを書いていなかった気がします。
先週は凄く忙しくて、なかなか纏まった時間が取れなかったのが原因でした。

本日は、日曜日でしたので(もう月曜日になってますが)、一本、プレイしてレビューを書きたいと思います。
今日は、『僕の心は雨のち晴れ』です。7/26日のレビューで書いた『楽園』と同じ「Team Eye mask」さんの作品です。以前にプレイした事のある作品ですが、改めてレビューを書くにあたって、プレイし直しました。

ちなみに俺がプレイしたのは「for Windows」というヴァージョンで、例によってPSPでプレイ出来るバージョンもありますよ。驚くべきは、どうやら携帯でもプレイ出来るらしい事です。
対応する機種を持っている人は、是非インストールしてみて下さい。

では、またいつものように……。



良かった点

・音楽が場面場面にマッチ

・しっかりとした構成。効果的に、そして丁寧に主人公達の気持ちを追っていくので、纏まりのあるストーリーとなっている。

・美麗なイラスト。好みの問題は勿論あるけれども、フリーで配布されているこうしたゲームの中で、間違いなく高水準のイラストが付いています。個人的には、ハルヒと長門に見えるのだけれども……。



気になった点

・前半のドタバタ劇がちょっとくどい。担任教師までもが主人公イジメw に走るのはいただけない。

・ちょっと気になる誤字脱字。



こんな所です。
物語の全体像としては、『ぼたんゆき』に似ていますね。ついでに述べさせて貰うと『ぼたんゆき』も名作です。

『ぼたんゆき』も本作も、或る意味、ベタな展開なのですが、そこはしっかりとした描写やストーリーの確かさで、新鮮な感動を与えてくれます。
ベタな設定でも、細かい味付けや丁寧な描写、そして「工夫」があれば作品はオリジナリティ溢れるものに成るはずです。

前半部分をプレイしていると、ベタベタなドタバタ展開で、決して作品自体のレベルが低くはないのですが、どうにも「よくある」タイプの描写となってしまっていました。又、それに付随するギャグというか、そういうのも冗長な気がしました。

ただ、後半から一気に「一個のゲーム」としての水準が上がります。
選択肢が存在しない、一本道ノベルですけれども、後半の描写は秀逸です。効果的に配置された過去の描写、そして今の自分の気持ちの変化。
物語のキーパーソンである夢乃という女の子も、前半ではただ単に騒がしい子だったのですが、後半に入ってからグッと魅力を増してきます。
テキスト自体の質も、後半で向上しているようです。前半は特に粗はないものの、どうにも読みにくさみたいなものを感じたのですが、後半以降はそうした印象を与える事はありませんでした。

正直、前半~中盤までプレイした時点で「これは評価は三かな」と思っていたのですが、後半部が素晴らしく、前半部を十分フォローしているので「四」としました。


何か大切なモノを失ってしまった時、人はそこに留まろうとするか、無理をしてでも前に進もうとするか、大体この二択な気がします。
けれども、この二つは真逆なようで、実は同じ行為なのです。
結局は、自分の中でその失ってしまったモノに対して、折り合いをつけれず、逃げてしまっているという意味で。

本作には、方向性は違うけれども、主人公の空と、その幼なじみ永海が、恋人/友人であった美湖から逃げつつ日々を送っています。
この二人、それぞれの視点から喪失体験を描く手法は良かったですね。

過去を捨てる事なく、前向きに歩き出す。
そんなテーマが作品に通底しています。
一見、ちょっとジメジメして見えますが、とても前向きで明るい作品です。明るいといってもカンカン照りの太陽ではなくて、ほんのり明けゆく朝日のような、そうした明るさなのです。

前半部で、「ちょっと合わないかも?」と思っても、是非最後までプレイしてみて下さい。
きっと後半からがらっと評価が変わる筈です。

そうそう。誤字脱字についても少し。
クライマックス部に、テキストの「打ち間違い」みたいのがありました。かなり良いシーンだったので残念です。
又、これは本作に限らず、他のサウンドノベルの作品でも往々にして見られる事なのですが、「却って目立つ」というような文章を「返って目立つ」としてしまっているケースがありました。

「却って」と「返って」。
この二つの区別がついていない作品は、相当な数があります。読み方が同じですし、混乱してしまうのですが、気になる人は気になってしまうので、出来たら直した方が良いでしょう。


本作は、特に悲しい経験をした人にお勧めです。
好きだった人との別離などを経験して方に、是非読んでもらいたいです。
少しだけ、心に晴れ間が見えるかもしれませんよ?
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by s-kuzumi | 2007-08-06 01:29 | サウンドノベル | Comments(0)


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