2007年 08月 31日

フリーサウンドノベルレビュー 『遠来』

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今日の副題 「離れていても繋がるもの」

ジャンル:SF(?)
プレイ時間:二時間半~三時間程度
その他:選択肢あり。
システム:HyperNovelSystem

製作年:2002/?/?
容量(圧縮時):


道玄斎です、こんばんは。
昨日は、ちと忙しく更新が出来ませんでしたね。ちょっと残念です。

さて、今回は今まであまり扱ってこなかった(というか、そういうジャンル自体が少ない?)SF作品です。アーサー・C・クラークの短編が大好きな私にとっては、SFというのはそれだけで魅力的なものなのです。
ということで、今回は、「Team NagiKaze」さんの『遠来』です。


良かった点

・宇宙船が飛び立つ様子など、随所にムービー(?)が使われている。

・ハード過ぎず、ユル過ぎずの絶妙なバランスのSF作品。


気になった点

・音楽が切り替わる時のウエイトが、スムーズなプレイの妨げになっている。

・NScripterや吉里吉里とは違う、ちょっと使いにくいシステム。

・もう少し、ヒロインのマヤオアの境遇に触れても良かったのかも。



この作品をプレイしながら、私の頭の中にはずっと、アーサー・C・クラークの『遥かなる地球の歌』や『明日に届く』、『天の向こう側』なんかの短編作品が思い出されていました。
多分、これらのアーサー・C・クラークの作品は「ハードSF」というのとはちょっと違うんですよね。
それこそ「アーサー・C・クラーク風味」みたいな。

ハードでも無く、かといって緩すぎるわけじゃない。そういう多分私のようなSFファンが好むような。本作はそうした感触の作品です。

ストーリーを見ておきましょう。


 それは突然の出来事だった。

 深宇宙を転移航行中に起きた事故。

 止む無く降り立った未知の惑星。

 俺達は出逢った。

 地球から遠く離れたこの星で。

 どこまでも限りなく青い空の元で。

 俺達は出逢った。



こんな感じ。
宇宙冒険家フタバの宇宙船がり着いた星は、20世紀後半の地球そっくりの惑星。オマケにかつての「日本」なる国とそっくりの土地でだったということで、足が八本生えてる火星人だか木星人だかは出てきません。
ま、今私たちが生きている日本そのものが舞台、と言ってもいい感じですね。

しかし、差異も当然生じていて、「名前」が「逆さま読み」する事で私たちになじみの深い名前になる、と。
例えば、ヒロインの「マヤオア」は「アオヤマ」→「青山」だったり、フリーライターの「イワサ」は「サワイ」→「澤井」だったりと、そういう感じです。
SFで良く出てくる「逆さまの世界」を意識して、こういうネーミングになったんでしょうかね。


多少、前半部に誤字が多いのですが、割と読みやすい文章でサクサクと読み進める事が出来ます。しかし、気になるのはサウンドが切り替わる際のウエイトに時間が掛かりすぎる点です。
多分、スペック的には十分なマシンでプレイしている筈なので、システムの問題なのでしょう。
NScripterなどで作られた方が良かったのかな、と。

中身自体は、単純そのもので、宇宙人フタバが現地民であるマヤオアと交流する、というもの。
ですが、宇宙船のAIクルーMIKAN(美少女型)の存在や、宇宙の悪者「灰色」や「星渡り」などの存在が示唆される事で、SFらしさに抜かりはありません。

良いな、と思ったのは、作中に出てくる神社の起源が、実は宇宙人が降りてきた事に端を発していたりした所で、私はそういうのは結構夢があって好きなので、楽しく読むことが出来ました。

そういうSFらしさ、と女の子との交流という所謂「ボーイミーツガール」的なテイストが、お互いを邪魔せずに併存している点、評価出来ます。
最近、よく感じる事なのですが、ストーリーがありきたりかどうかではなくて、そのストーリーをどうやって料理するか、そこが重要なのだと思います。その意味で本作は、なかなか味のある作品なのではないでしょうか。

一番、気になったのは、マヤオアとウコ(フリーライター)がフタバが宇宙人である事を知るくだりです。
正体がバレる事自体は問題はないのですが、フタバがこの星を離れなければならない前日に正体がバレてしまう為に、ラストのエピソードがやや唐突に感じてしまいます。
もう少し、マヤオアの葛藤やら、或いはフタバの葛藤やらが描かれていても良かったのかな?と。あと、作中で示唆されるマヤオアの境遇についても、もう少し補足が欲しかったですね。

実は、エンディングが三パターンあり、三つともちゃんとした終わり方なので安心です。
バッドエンドが無いというのはいいですよね。こういう作品にバッドエンドがあったら興ざめしてしまいますからw
一応、トゥルーエンドがあるのですが、やっぱりトゥルーエンドこそが、真実のエンドだなぁ、と。いや、意味が重なりまくって変な言葉になってますが……。

エンド2、エンド3は簡単に辿り着く事が出来ると思います。
トゥルーエンドを見る為のヒントは、タイトル画面の「オプション」から見ることが出来る親切設計です。

全体的に、SFとボーイミーツガール的な要素が上手に混ざり合った纏まりのある作品だと思います。SFを読んだ事が無い人でも十分に楽しむ事が出来る筈です。
最初タイトルが『遠来』だなんて、ハードSFっぽいタイトルだったので、少しだけ身構えてしまったんですけれどもね。
SFファンの人は、「あーこの場面は、~に似てるなぁ」なんて楽しみ方も出来ると思いますよ?

システム面での難を除けば、非常に遊びやすい(プレイしやすい)作品です。
是非、この機会にプレイしてみて下さい。
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by s-kuzumi | 2007-08-31 22:53 | サウンドノベル | Comments(0)


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