2007年 09月 07日

フリーサウンドノベルレビュー 『TRUE REMEMBRANCE-remake-』

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今日の副題 「本当の記憶」


お勧め指数(五段階評価):五
ジャンル:ファンタジー(?)
プレイ時間:二時間程度



道玄斎です、こんばんは。
そろそろ、ネタが無くなってきそうだったので、過去にプレイした作品を又紹介する事にします。
言わずとしれたフリーノベルゲームの金字塔「里見しば」さんの『TRUE REMEMBRANCE』です。

名作中の名作ですが、コミックメーカー製だったが唯一の欠点でした。
しかし、昨年リメイクされて、吉里吉里2/KAG3という環境で、大きく生まれ変わった作品です。今回はこの「リメイク版」のレビューをしていこうかと。
良かった点

・圧巻のOP、EDムービー。

・丁寧に練られたストーリーと、テキスト・描写。

・選び抜かれた音楽と、背景画像。


気になった点

・追加された一枚絵が、過去の一枚絵と微妙にニュアンスが違ったりするかも。

今更ですが、ストーリーも抜粋しておきましょう。
忘れたいほど悲しい記憶を持った人々が訪れる、白い街。
その街で記憶を封じる職業、『封士』を生業にする青年、黒目。
黒目のもとに客としてラという少女が訪れる。

彼らの日常と、街を訪れる人々との出会い、そして小さな秘密をつづった物語。

名作です。私も大好きな作品です。
もう、今回のレビューの為にプレイしたのを加算して5回はプレイしていると思います。

リメイク版で先ず驚かされるのは、ハイクオリティのOPムービーでしょう。
音楽、画像がばっちりハマるOPはただただ驚かされるばかりです。

ストーリーに変更は無いものの、追加されたエピソードやCGがありリメイク前の作品をプレイした人も、是非是非リメイク版をプレイして欲しいと思います。
今回、また改めてプレイした時に気付いたのですが、タイトル画面に現れている英文が、さり気ないながらも結構物語の核心みたいなものに触れているような……。

今更私なんかがレビューをしてもしょうがない、という気持ちが今、常に頭の隅にあるのですが、それでも頑張って続きを……。

最近、ジャンルの項目にどう書いたらいいか、段々と悩むようになってきています。
どの作品も単純に「恋愛」とか「ファンタジー」とか「ミステリー」とか分ける事が出来ないからです。一応、今回は「ファンタジー(?)」としたのですが、オムニバスファンタジックミステリーロマンス、みたいな?w 兎に角、本作は懐の廣い作品なわけです。


これは蛇足ですが、ファンタジーと伝奇の違いを、人に聞かれた時に、私は以下のように答える事にしています。

・伝奇は、日常世界の非日常を描くもの。

・ファンタジーは、非日常世界の中の日常乃至非日常を描くもの。

勿論、全てのファンタジー、伝奇がこの限りではないのですが、まぁ無難な答えかなとは思っています。以上、全くの蛇足でした……。


前半から中盤に掛けては、ラと黒目の生活を軸にしながらオムニバス風に物語が進んでいきます。特にキョウなんて脇役がかなり美味しいですね。これはどうでも良いことなんですが、リップスみたいな女性って結構いません?w ああいうのって結構迷惑なんですよねw
物語的には「美味しい」脇役なんですが、実際にああいう手合いが居たら、私だったら関わりたくないのですが……。

本作で、私が特に注目したい所はテキストと描写の質の高さです。
一見、可愛いラちゃんのイラストに目が奪われるのですが、本質はテキストとその描写にアリ、です。

プレイ時間は、ちゃっちゃとプレイしちゃう人だと一時間半くらい。普通にプレイして二時間くらい、と少し長目ではあるのですが、「長編」という感じでもないんですよね。まぁ、オムニバス風な演出がなされている為かもしれないのですが。
兎も角、そこまで長くはない筈なんです、ストーリーそのものは。しかし、ラと黒目の距離が縮まっていく過程が過不足なく丁寧に描写されていて、凄く巧みだなぁ、と思いました。
決して、テキストの分量を多くしているわけでもない。毎回毎回、ラと黒目が主人公となるエピソードが出てくるわけでもない。それでも、十分に二人の距離の変化を描ききっているあたり、相当の力量を感じさせます。
「描かれない時間を想像させる力」がそこには存在していて、読者の想像力が物語を自然に補完出来るようになっている、そんな印象です。

又、世界に読者を惹きつける力が凄いですよね。
プレイしていると、「『封士』って仕事は面白そうだな、俺もやってみたいぜ」とか、「こんな街があって、辛い記憶を消してくれるなら俺も行ってみたい」なんて思ったりするのですが、プレイを続けていく内に「やっぱり大変な仕事なんだよなぁ」とか「辛い記憶でも自分の記憶だから保持している方がいいのかな」とか、いつの間にか世界に自分を惹きつけて考えてしまったりして。
世界観や設定の魅力が、読者を物語の中にぐっと惹きつけているわけです。


本作は、癒す者/癒される者、忘れる事/覚えている事なんて問題も扱っていたりして、奥の深さも持っています。老若男女、幅広い層にお勧め出来る本当に良作です。一本道のノベルですが、エンディングもハッピーエンドで、何だか妙に優しい気持ちになれる事請け合いです。

通常版をプレイした人も、そうでない人も、是非リメイク版をプレイしてみて下さい。
新作の『送電塔のミメイ』も良作ですが、本作の方が分かりやすく親しみやすいかと思います。『送電塔~』の方も折を見てレビューを書きたいですね。


※2009/10/14 コメント欄にてご指摘頂いた点があったので、改めて本作をプレイし直して、そこの所を修正しておきました。
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by s-kuzumi | 2007-09-07 23:14 | サウンドノベル | Comments(4)
Commented by SiA at 2007-09-08 01:16 x
初めまして。NaGISAさんのご紹介で・・・。SiAと申します。。
NaGISAさんも仰ってましたが、更新頻度が呆れるくらい(←失礼)高いのには驚きました。レビュー自体も非常に丁寧で分かりやすいですし。まぁやはり整理して一覧にすると見やすくなるだろうとは思いますが・・・。
私は最近、またHPを作ろうかなぁなどと考えていますが、時間が取れないかも、という理由で検討中です。作るならノベルゲームのレビューもしてみたいと思いうんですけどねぇ・・・。

TRUE REMEMBRANCEは(ノベルゲームは20本くらい読みましたが)読み始めた頃に読んだ作品で、そのクオリティと文章には驚きました。
私自身は「感動はするけどめったな事では泣かない」という質なのですが、この作品はほんわかした優しい感じの感動と幸せをくれるような作品だったと感じました。大泣きするような感動ではなくて。
送電塔も読んでみようかな~。

P.S.
プレイはされているかもしれませんが、「ヒトナツの夢」と「マホウツカイ」はものすごくお勧めなので是非レビューしてみてくださいね。(NaGISAさんの方にレビューもあります)
Commented by s-kuzumi at 2007-09-08 01:49
>>SiAさん

道玄斎です、はじめまして。
こんなブログにいらして下さって、本当に嬉しいです。

NaGISAさんのような大御所に少しでも近づく為には、更新頻度しかなかろうw という安易な判断で、今の所は「更新を途絶えなくする」事を目標に頑張っています。50本くらいレビューがたまるまでは、今のペースを崩したくないですね。
ただ、私自身、NaGISAさんのレビューにもの凄く影響を受けていて、レビューした作品を改めてNaGISAさんのお書きになったものと見比べてみたりすると、かなり近い事が書いてあったりして、もっとオリジナリティも出していかないと、と思っている所です。

サイトの方は、実は鋭意制作中で、今まで書いたレビューを見やすく纏めようかと思っています。

『TRUE REMEMBRANCE』が気に入られたのなら、『送電塔』も恐らく気に入られるのではないかと思います。
多少方向性は違いますし、難解な所もあるのですが、優しい感動を楽しめる良作です。是非、プレイしてみて下さい。

作品紹介、有り難う御座いました。
『ヒトナツの夢』『マホウツカイ』はプレイ済みですが、すっかり存在を忘れていました。是非、近いうちにレビューをさせて頂きたいと思います。
Commented at 2009-10-13 14:55 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by s-kuzumi at 2009-10-13 22:47
>>匿名でコメント下さった方

こんばんは、初めまして。
いや、こういうご指摘は助かります。改めてプレイするきっかけになりますしね。

で、ラスト付近からプレイし直してみて、サラリと読み飛ばしていた部分を見つけましたので、近い内に修正しておきます。

ご指摘有り難う御座いました。


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