2007年 09月 13日
今日の副題 「最大の怪作あらわる」 お勧め指数(五段階評価):四 ジャンル:高校教師系シュールストーリー(?) プレイ時間:一周20分程度。 その他:全てのシナリオを見ると二時間以上掛かるかも。 道玄斎です、おはよう御座います。 最近は、そろそろ人の目が痛くなってきたので、多少無理しつつこの時間にレビューを書こうかと。 で、何とも言えない怪作を発見してしまいました。 私自身は「人ごととは思えない……」と思ったので、評価は自分に惹きつけて「四」にしたのですが、プレイした人によって評価がまっぷたつに分かれそうな作品でした。 というわけで、今回のレビューは「上京ペキニーズ」さんの『第二保健室』です。 良かった点 ストーリーは、 「第二保健室って知ってる? こんな感じ。 いや、面白いんですよ、本当に。ただ絶対に「爽やか学園ドラマ」ではないことは確かですw ラインから外された教師、蟹山が「第二保健室」で生徒の悩み相談を行っていく、というのが超簡略なストーリーです。 全く職員室で相手にもされない教師が、「第二保健室」なる居場所を得て、生徒の悩みを解決していく、という設定が面白いですよね。 実は、結構プレイしていて「これは人ごとじゃないぞ」と私は思いました。 いや、別に私は教師じゃありませんよ?教職課程(国語科)は履修しましたが無免許ですしね。 ただ、何て言うか作中学校に於ける蟹山先生の扱われかたが、デフォルメした学校の縮図だったんですよね。 小・中・高・大・院と教育を受けてきた私ですが、どの段階でもこういう蟹山先生みたいな存在の先生はいましたし、場合によっては学生がそういう立場になっている、なんてケースもありました。学生は気楽なんて言われますけれども、結構辛い人は辛いんですよ。 兎に角、本作は知名度こそないものの、かなり凄い「怪作」なのではないかと思いました。 シュールを極めた作風、しかしマトモなストーリーがそれに乗っかり独自の世界を出しています。選択肢も割と多く、ゲーム性にも優れていました。 ド派手なギャグがあるわけじゃない、だけれどもきっちり笑わせる所は笑わせてくれる。そんな上質のエンターテイメントがそこにはありました。決して登場人物に奇抜な発言をさせたりする事が笑いを取る手段ではないのです。 ほんの少し日常をずらす事で生まれる笑い。ループの中に閉じこめられる事で生じる笑い。本作には様々な笑いの要素が含まれていて、本当に一プレイヤーとして楽しませて貰いました。 兎に角私にとっては面白くて、一つのエンドを迎えたら次のエンドへ、と何かに取り憑かれるようにプレイを進めていきました。最終的にエンディング曲が流れるトゥルーエンド(?)に辿り着いたわけですが、そこで本作は終わりません。 「出世」なる番外編が読めるのです。それも単なるオマケではなくて正に本作の〆を担うに相応しい番外編だったと思います。 ただ、これだけ本編のルートが多様だとクリアリストのようなものがあったら良かったな、と思いました。 学園で起こる事件の数々は、シュールでありながら実は一定のリアリティを確保しています。 妙に出世欲の強い先生とか、生徒を妊娠させちゃった先生とか。 えっ?リアリティがないですか?私の通っていた高校では、生徒と関係を持って辞めさせられた先生とかいたんですが……。 まぁ、もっと言えば先程も触れましたように学校、特に大学の縮図みたいな感じかもしれませんね。そういう意味では筒井康隆の『文学部唯野教授』に近い手触りもあるかな? 本編では「第二保健室」を尋ねてきた女生徒の悩みを蟹山が聞き、協力していくというのがメインの流れです。女生徒の存在自体もシュールだし、相談内容もシュール。そして次々起こる出来事もシュール。 だけれども、話を進め複数のルートを辿るうちに、過去にあった学園での犯罪(陰謀)が姿を現してきます。是非、全てのルートをプレイしてみて欲しいですね。 トゥルールートは、女生徒の悩みと過去の学園での犯罪が絡み合った、意外にもマトモなストーリーでした。 さて、番外編では何故「伝説の教師」だった蟹山が、「第二保健室」に居ることになったのか、という事も語られていきます(本編でも示唆されますが)。 最終的に悪が滅びる展開は、見ていて気持ちの良いものです。 ただ、判官贔屓といいますか、最後の最後で蟹山先生にもう一度晴れ舞台を与えて欲しかったなぁ、と個人的には思いました。 何はともあれ、是非是非プレイして貰いたい作品です。 多分「女教師美喜シリーズ」や「サンダーボルト三部作」が好きな方なら、先ず間違いなくハマれると思います。 この怪作をどうみるか。是非皆様のご意見も聞かせて下さい。
by s-kuzumi
| 2007-09-13 04:57
| サウンドノベル
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