久住女中本舗

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2007年 09月 17日

フリーサウンドノベルレビュー 『早瀬に案山子は』

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今日の副題 「化物(けもの)達の日々の暮らし」


※お勧め指数の付け方を検討しており、もう暫くしたら全面的に切り替える予定です。それまでは従来通りのお勧め指数を付けていきます。

お勧め指数:三
ジャンル:化物(けもの)達の日々(?)
プレイ時間:一時間~一時間半程度
その他:フルボイス。一枚絵無し。


道玄斎です、こんばんは。
ここ数日、風邪のせいですっかりと更新ペースが鈍ってしまいました。
正直な話、大分具合は回復してきたものの、まだ多少のだるさが残っているのでスローペース更新、でいこうと思います。

今回は、私が密かにプッシュしていた『挽歌の候、如何お過ごしでしょうか』をお創りになられた、「花を吐く抄女」さんの『早瀬に案山子は』です。
確か、ついこの間、コミケで販売されていた作品だと記憶しているのですが、もうフリーで遊べるようにして下さっています。
良かった点

・フルボイス。ちょっと古風で小粋な会話を存分に楽しめる。

・和風なサウンドと世界。和風の素材を多用すると、妙なくどさが出る事があるのですが、そうしたものも見られず、好印象。


気になった点

・あまり事件が起きるとか、そういうのが無いのでストーリーに起伏は乏しい。

・江戸時代の粋な町人風の会話(遊女風もアリ)なので、さらっと読む事が難しい所も。

ストーリーもサイトから引用しておきましょう。
この世に見えなくとも物の怪類は存在する。
それはただ姿を変えていたり、気がつかないだけの話である。
そんな物の怪達は時には寄り合い、時には自慢話をし時には苦労話をする。
その場所と言うのは、いつも案山子の立っている河川敷。
今日も今日とて集まっていたが、最早それぞれ住む場所も困る時分。
物の怪達の行く末を如何にするか。
そんな思案と心配も関係あったり無かったり。

こんな感じです。
登場人物は、案山子・石斑魚(うぐい)・狸・兎・白鷺ですが、それぞれ美少女の形態を取っていて、尚かつ長いこと生きている化物(けもの)なのです。

この登場人物達が、入れ替わり立ち替わり、ちょっと粋な会話(井戸端会議?)をしていく、というのが本作の流れです。
章立てがなされており、案山子と石斑魚が会話をする章が終わると、石斑魚と狸、次は狸と兎、兎と白鷺というように、登場人物が一人づつづれ込んでフィーチャーされていきます。
そして終章では、全員が登場し……。

それぞれのキャラに個性があって良いのですが、ただ、なんていうか別段明確なストーリーが存在するわけではないので、キャラの会話を立ち聞きする事がメインとなります。
会話自体もさしたる意味もなく、化物(けもの)達の日常が淡々と語られていきます。

これだけだと、何の面白味もないように思えますが、会話が「江戸時代の粋な町人(或いは遊女)」風なので、会話それ自体に「粋」や新鮮さを感じさせてくれます。
ただ、本当に「江戸時代風」な会話の為に、理解するのが結構難しいです。
平安時代とか鎌倉時代の古文よりも、江戸時代の方が読むのは難しいと思いませんか……?

なんてことない化物達の会話を、一つの作品に仕立てているのは、小粋なテキストともう一つ、「案山子」の存在です。
早瀬に立って、化物達と会話を交わすだけの存在。だけれども化物達は、みな案山子に集まってくるのです。本作での化物コミュニティは、案山子を中心にしたものだったわけです。
このコミュニティは一種の、無何有郷のような世界でもあります。

ラストまでプレイすると、本作のテーマというか主題みたいなものがおぼろげながら見えてくる気がします。「移り変わる時代とそれでも変化しないもの」みたいな、そういうテーマが本作には底流していた気がするのです。

盛り上がり、という面では多少不足しているものの、こうした雰囲気は結構好きです。
なんてことない化物達の会話。そこには現代人たる私たちが失ってしまったある種の「余裕」が感じられます。のんびりと会話を楽しみつつプレイして欲しい作品です。

そうそう、最後に一点。
ボイスの件ですが、案山子さんの声がちょっと小さくて聞き取りづらかったような。
淡々と喋る案山子の口調といえばそれまでなんですが、もうちょっとだけ案山子の声の音量があっても良かったかな、と。

それでは、流石に疲れたので眠ります。
おやすみなさい。
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by s-kuzumi | 2007-09-17 03:13 | サウンドノベル


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