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2007年 10月 03日

フリーサウンドノベルレビュー 『死狐様』

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今日の副題 「神様は実は意外と身近な存在」


ジャンル:現代電脳紙芝居劇(とサイトの方に説明が)
プレイ時間:一時間~一時間半くらい
その他:本レビューは『死狐様web版』(フリー)にてプレイしたもの。選択肢無しの一本道。



道玄斎です、こんばんは。
明日、明後日、明々後日と少し忙しくなりそうな気配が見えているので、今日のうちに一本レビューを挙げておこうかと思います。

今回は「花を吐く抄女」さんの『死狐様』です。
「花を吐く抄女」さんの作品を取り上げるのは、これで三作目ですね。つまりリリースされている作品をコンプリートしてしまった事になります。で、今回取り上げるのは第一作目の作品です。
個人的に好きな作風なので、これからも活動には注目していく積もりです。

さて、それではいつものように……。
良かった点

・くどすぎず、あっさりし過ぎずの和風な世界。

・ちょいと粋な会話を楽しめる。

・意外と、現代社会に対するメッセージ性みたいなものを有しているように思える。


気になった点

・文章や会話に回りくどさがある為、テキストに関しては人を選ぶ。

・声優さんが、(恐らく)漢字の読み方を間違えていると思しき箇所が。

・盛り上がりなどが少ない為、少し物足りなさも。

こんな所です。
ストーリーは、サイトの方から引用しておきましょう。
死を統べる死神 死を憧憬する少女 珈琲と稲荷寿司 鳩と橋姫
リリカルの終焉はまるで迷宮の様。 徒然の先は奈落の闇か、虚空の輝きか。嗚呼、私の赦してはどこにあるのだろう。

これだけじゃ分からないですねw 補足を加えてみましょう。
母が死に天涯孤独の身となった怜。縁もゆかりもないような、形だけ親戚であるような人が引き取るという事になっているが、向こうはどうやら迷惑がっている。
そんな怜は、自殺を計画し、自分の好きな場所である学校の屋上に行く。
そこには、子供のような姿の死狐様が居て……。

文章が下手なのは目を瞑って下されば幸いw

さて、私は個人的に「花を吐く抄女」さんの作風が好きです。
何とも言えない粋な会話や、なんだかんだで決して後味の悪いエンドにならない配慮、ほんのり和風風味など、どうも私の好みに近いものがあるようです。

粋な会話なのですが、何て言うのかな?登場人物達が言葉遊びをしながら会話している、みたいな、そういう風情なんですよね。
人によっては「ちょっと冗長」とか「くどい」とか感じるかもしれませんね。
確かに、読んで瞬間的に内容が理解出来る、というよりは少し頭を使いながら読んでいくような、そういうプレイスタイルが要求されるかもしれませんし、正直テンポが良いとは言えない部分もあります。しかし、私自身、言葉遊びは大好きですし、それなりに日本文化や日本文学に関しては知っているつもりですので、何だか妙に楽しめてしまうんですよね。
一つ一つの文章を恐らくじっくりと考えつつゲームを作ったんだろうな、と想像させるようなそういう文体が特徴の一つです。

『挽歌の候~』はともかくとして、結構和風な雰囲気に満ちた作品を作られているな、と。
それは音楽であったり、つらつらと述べてきた文体であったり、なんですが、和風って意外と難しいんですよね。やりすぎるとゴテゴテして粋じゃなくなるし、かといって薄めにしてしまうと存在感が無くなってしまう。
こうした「和風のバランス」感覚が非常に優れているとプレイして感じました。
もしかしたら、特徴的な文体がこの「和風のバランス」に寄与している面もあるのかもしれませんね。

ストーリー自体はオーソドックスなものだと思うのですが、死狐様たる琉那のキャラクターが立っているので、一味違う作品になっているかと。
『早瀬に~』もそうなのですが、物の怪や神様とか「あっちの世界の住人」が意外と身近な世界。そういう世界観が非常に魅力的です。
例えば、琉那が「お供え物」としての「ふぁみりぃまぁと」のコンビニ御飯に喜んでみたりする描写は、神様と人間の距離が今よりももっと近かった昔の日本を想起させます。
そして、神様も現代に(それなりに)適応しながら生きているという事で、妙な親しみやすさが出ているわけです。

丁度、今日は神社に行ってきたり、古墳を見てきたりとしているので、割と「日本の原風景」「古き良き日本」とかそういう話に持っていきがちになってますねw
古いこと/モノが必ずしも良いというわけではない、というのは誰しもが知っている事だと思いますが、どうしても日本人のDNAをくすぐる懐かしさがそこにはあるように思えます。

そんな懐かしさなんかを感じさせる作品だったと私は思いました。

本作を含め、三作品「花を吐く抄女」さんの作品をプレイしているわけですが、ここに来て、どうやら作品に現代に対するメッセージ性みたいなものが、実は込められているのではないか、と思うようになりました。前回の『早瀬に~』のレビューでもそれっぽい事はちらりと書いたのですが、現代社会に対する警鐘っていうと、ちょっと大げさだけれども、「もうちょっとのんびり楽しもうよ」的なそんなメッセージが各作品から伝わってくるような気がします。
敢えて言うなら「楽しく生きようよ」みたいな、そういう印象を受けました。
勿論、私が勝手につっぱしってヘンテコな事を言ってるだけかもしれませんよ??


気になった点は、やはり万人受けはしづらいであろう、テキストですね。
なかなか漢字変換率も高めです。言い回しも古風なものも多く、「声優さんは大変だったのでは?」と思ってしまいます。
文体のせいかのかどうかは分かりませんが、声優さんがどうやら「誤読」しているような部分がありました。

例えば「理」という語があって、文章の流れやあの口調では恐らく「ことわり」と読むかと思うのですが、それが「り」と発音されていたり、「生業」は「せいぎょう」でも間違いではないのですが、やはり琉那のあの口調から察するに「なりわい」と読むのが本来的な読み方だったのでは、と思うのです。もう一点挙げると「引く手も数多に」が「ひくてもすうたに」になっていました。「数多」は「あまた」でしょうねぇ。
せっかくの美味しい(と私は感じる)テキストだったので、少し残念に思いました。

又、物語の起伏の少なさに物足りなさを覚えるプレイヤーもいるかも知れませんね。すっきりと一個の作品としての纏まりは持ちつつも、プレイし終わって全体を見ると、少し淡泊な印象があったので、何か、もう一歩、作品の見せ場や見所みたいな所があると、良かったなと思いました。


兎にも角にも、私は個人的に好きな雰囲気を持った作品だったので楽しんでプレイする事が出来ました。今後の活動もチェックしていきたいサークルさんです。
早いものでもう神無月。神様不在のこの月だからこそ、神様との交流をゲームをプレイしつつ楽しんで欲しいと思います。


10/4午前零時半、ちょっと単語を置き換えた。
同午前一時十五分頃、やっぱり少し直す。
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by s-kuzumi | 2007-10-03 22:53 | サウンドノベル | Comments(0)


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