2007年 10月 06日

フリーサウンドノベルレビュー 『Steel Rain』

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今日の副題 「雨を切り裂いて」


ジャンル:近未来型アクションモノ(?)
プレイ時間:二時間~二時間半くらい
その他:一本道ながら、戦闘時などに選択肢あり。選択にはタイムリミットもあり、何もせずにいると死亡したりする。



道玄斎です、こんばんは。
結局、昨日レビューをアップ出来ませんでした。そして、今日もこんな時間に……。
次にプレイすべき作品は何本か見繕ってあるのですが、割と長編みたいで、また少しレビューの感覚が空きそうです。
さて、今回のレビューは「やなぎ」さんの『Steel Rain』です。
良かった点

・選択肢にタイムリミット制が設けられており、戦闘の緊迫感を上手に演出。

・LiveMaker製ながら、システムがしっかりしておりプレイしやすい。

・テンポよく物語が進んでいく為、ダラダラした雰囲気にはならない。


気になった点

・もう少し、近未来である事を活かした描写や戦闘があっても良かったかも。

・マスターが何故悪に手を染めたか、などの理由付けが欲しかった。

・優衣の境遇をもう少し描写して、共感が出来るようにして欲しかった。

ストーリーは、サイトのURLを張っておきます。こちらからどうぞ。

というわけで、プレイしました『Steel Rain』。
ダウンロードだけはしてあったのですが、色々と忙しくプレイ出来たのは、三日くらい前からです。

さて、ジャンルは「近未来型アクション」という風にしたのですが、そこには友情だったり、「生きる事の意味」みたいなものに対する問いかけがあったりと、様々な内容を包括していたように思えます。それぞれの方向性がバラバラにならずに、上手く収束していった点は評価出来ますね。

アクションシーンには、選択肢によって戦況が変化するという仕掛けもあり、なかなか楽しませてくれます。アクションだけでなく、作品全体を見てもテンポはなかなか良いのでプレイしやすい作品ではないかと。
プレイのしやすさ、という点ではシステム面がNSceripterや吉里吉里ほどメジャーではないLiveMaker製ながら、基本的なシステムが充実していてプレイのしにくさを感じる所はありません。こういう所も評価すべきポイントだと思います。

基本となるストーリーラインは、元殺し屋の優衣が、一般人の女の子として、友情を育みながら生きていく。そしてその掛け替えのない友達や日常を守る為に、戦っていく、みたいな。
キャラクターはそれほど特徴的で個性的ではないのですが、みんなで洋服を買いに行くなどの描写があって、優衣を含めた三人の仲の良さや、優衣にとっての二人の位置がしっかりと描かれており、好感が持てます。
無理をして、ヘンテコな特徴を付けるよりも、こうしたさり気ない日常生活の中で、キャラクターの魅力を出していく、というのがいいですね。


ただ、気になる点がいくつかありました。
先ず、優衣の立ち位置です。ただでさえ元殺し屋の中学生女子、という或る意味で異常な設定を持っているのに、優衣が殺し屋であった理由や、どういう心境から殺し屋から足を洗ったのか、というその突っ込んだ説明が、物語も後半にならないと分からなかったのです。
一見すると『クロスフェードに堕ちた夢』なんかに似ているように思えてしまうのです。
そこが分からないと、ちょっと優衣を視点にして感情移入をしながらプレイしていく、という事が難しく思えました。後半部ではちゃんと説明がなされており、一定の納得感はあるので、前半部からそれを少しづつ出していったら良かったのかもしれません。

又、優衣と双子の姉である真衣の父にして、殺し屋の元締め通称「マスター」に関しても、もう少し突っ込んだ説明が必要だと感じました。
真衣は、マスターが父であり、殺しの腕を磨くたびに優しくしてくれた事をずっと覚えており、妹の優衣と違い、ずっと組織に所属し続けるわけですが、物語を裏側から支えているマスターの立ち位置も少し不明瞭で説明不足だったのではないかと。
何故、殺し屋の元締めをやっているのか?何故、実の娘達を殺し屋に仕立て上げたのか?そうした理由は物語の根幹に関わってきます。是非、その所は描いて欲しかったです。
これは単純に個人的な意見なのですが、マスターを完全に悪者にしないで、元々はいい奴だったのに、何かの理由があってこういう道に入り込んでしまった、みたいなマスターが本当は善人だったというような形が欲しいな、と思いましたねぇ。


そういえば、いいな、と思ったのはイラストです。
決して洗練された所謂「美麗」なイラストではない。だけれども非常に味があって一生懸命描いてるな、というのが伝わってくる良いイラストだったと思います。
最近、イラストについて色々考えているのですが、洗練されたクオリティの高い絵、とされるものの中には、イラストを描いていらっしゃる方の個性が見えないものもあるような気がしているのです。勿論、そうじゃないものも沢山ある事は承知の上で、ですが。
或る意味、女の子(美少女)のスタイルが記号化し、画一化されてしまっているような状況も少なからずあるんじゃないかな、と。
私は、多少粗があったとしても、何かイラストを描いていらっしゃる方の個性が見える絵が好きなようです。そうですね、例えば成功した同人作品なんかも、「上手で美麗」というよりは寧ろ「味がある」イラストである事が多い気がしています。
その意味で、本作のイラストは、なかなか私は気に入っているのでした。

他にちょっと面白いな、と思ったのはプレイを進めていくと、他のキャラからの視点のアナザーストーリーがプレイ出来るようになる点です。
過去の話だったり、作中時間を別人物の視点から見るものだったりタイプは様々ですが、作品の裏側を描いていて、なかなか良かったと思います。
ただ、一度タイトル画面から戻って(つまりプレイを中断、或いは本編クリア後に)からでないと見れないのが、残念な点でした。
もしかしたら、これらのアナザーストーリーを本編に上手く織り交ぜたら、私の挙げた「気になった点」は大分消化出来たのかもしれません。


本作はアクションシーンも多めで、ライトノベルみたいな印象もあります。
もうちょっと突っ込んだ説明や描写が欲しい、と思うわけですが、これはこれでなかなかに楽しむ事が出来ます。
アクションやそして感動系のお話しが好きな方はプレイしてみると良いでしょう。

※午前零時頃、文章の一部手直し。
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by s-kuzumi | 2007-10-06 23:31 | サウンドノベル


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