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久住女中本舗

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2007年 10月 13日

フリーサウンドノベルレビュー 『そこに幸せある限り』

フリーサウンドノベルレビュー 『そこに幸せある限り』_b0110969_6332018.jpg

今日の副題 「お約束、だけれども……」


ジャンル:イジメ撲滅ノベル(Readme.txtから)
プレイ時間:三時間半~四時間くらい
その他:後半、一箇所分岐アリ。微妙にエロいw



道玄斎です、おはようございます。
何だか、昨日は何も記事を書いていないのに、いつもの1.5倍くらいのアクセスがあって驚いています。誰かが紹介か何かして下さったのでしょうか。
もし、そうなら有り難い限りです。基本的に今のところは「自分からはあんまり宣伝しない」をコンセプトに活動をしているのでw どこかで誰かがリンクを張ってくれたり、あるいは紹介なんぞをして貰えると嬉しいですね。あっ、別にリンクとかに許可はいりませんよ?好きな所を好きなように張って下さい。
ただ、紹介して下さると嬉しいので、もし宜しければリンクなどを張った場合はご一報下さると、滅茶苦茶喜びます。

さて、今回も昔にプレイしたものを再度プレイしてみました。
2CHのステフスレの方で制作者達が集まり、作った作品です。
ということで、「ステフ18」さんの『そこに幸せがある限り』です。
良かった点

・二人のヒロインのイラストは別々の人が描いているのだが、片方が浮いたりする事もなく、なかなか良い調和が。気合いの入った一枚絵もアリ。

・たっぷりのボリューム。長い間楽しめるかも。

・基本的なシステムが搭載されていて、快適なプレイが可能。


気になった点

・少し冗長な場面も。

・もはや「イジメ」じゃない気がw さらに後半では恋愛や、人生訓のような別テーマにシフトしてしまい、一作品としての纏まりが少し悪いかも。

ストーリーは、ベクターの方の、紹介文を引用しておきましょう。
高校二年の一学期。新しい学校生活が始まろうとしていた。
いつもツンツンしてる親友や新しく知り合う仲間達。平凡の中にも幸せを感じていた。

がしかし──
あることを些細にその関係が崩れていく。そんなハートフル物語。

こんな感じです。

本作は、どうやら「イジメ撲滅ノベル」というちょっと変わり種のジャンルでして、対象としている読者はやはり中学生~高校生くらい、って事になるんでしょうかね。
けれども、高校なんてとっくの昔に卒業してしまった私でも結構楽しめる所があったので、是非色んな人にプレイして貰いたいですね。

なんていうのかな、良くも悪くも「美少女ゲーム」、という感じがしました。
一本でも二本でも恋愛ものの美少女ゲームをプレイした事があれば、大体のノリはそういう感じだと分かって貰えるのではないかと。

主人公の鈴木君の設定からして、それっぽいんですよ。
高校生。朝は苦手で遅刻する事も屡々。馬鹿でお調子者だけれども本当は優しい友人(男)がいて、幼なじみ的な女の子(タカビーで暴力癖アリ)も居る。割といつも腹ぺこで、学食のレアモノの調理パンに執着を見せる。恋愛関係に興味はあれど、極めて鈍感。こんな性格だけども、意外ともてる。

と、まぁお約束のオンパレードでして。
キャラクターメイキングという点からみると、新味は少ないんですよね。
こういう設定が明かになるにつれて、冷ややかに見てしまう自分に気付いたりしますが。。
けれども、美少女ゲームが長年育んできた究極のベーシックというモノはやはりそれはそれで、無視出来ないものがあるわけで、意外とゲーム自体は楽しめちゃうから不思議。
「お約束」っていうのは、取りも直さずそれが「人気が高い」から多数の類似設定が出てきて、いつの間にかスタンダードになってしまっているという側面があるわけで、歳を取ってくると辛いものは確かにあるんですがw 危なげなくプレイ出来る、という長所はあるんですよね。

で、今回は、敢えて一枚絵じゃなくて、普通の立ち絵のスクリーンショットを撮ってきました。
というのは、ヒロインが二人並んでいる場面なのですが、絵師さんがそれぞれ違うんですよね。こういう複数の制作者たちがコラボレートした作品だと、絵のばらつきが気になる事がわりとあるような気がします。そういった雰囲気が好きという方も大勢いらっしゃるかと思うのですが、やはり私は個人的には、「ヒロインの絵は何かしらの調和が取れてるといいな」と考えるタイプなので、本作の隠れた見所、という事で二人の絵師さんによる二人のヒロインの調和を示してみました。
どうでしょうか?この二人、並んでいてもあんまり違和感はないですよね?

最近、自分でも絵の練習なんぞをしたりしているので、何となく分かるのですが、多分、頭身というか人体のバランスが同じだから、違和感が少ないのかな?とも。勿論、制服などのデザインの共通性とか、色々な要因もそこにはある事は承知の上で、言ってますよ?
つまり、これが六頭身のヒロインと3頭身のヒロインが混在するような作品だと、ちょっとキツいかななんて思うわけです。
他のキャラ(鈴木君の母とか、センセイとか)はヒロイン達からみると、絵のタッチが違って若干違和感を覚えない事もないんですが、一番多く立ち絵として出てくるヒロイン二人が、良い調和を保っているのは高ポイントだと思います。

肝心の中身の方ですが、「イジメ撲滅ノベル」とは違うよなぁ……、と。
いや、イジメなんです。けれども高校生とかに見られるタイプのイジメというよりは、「大人のイジメ」みたいな感じです。パワーハラスメントに近い感じですね。大人の世界にごろごろ転がっているタイプのイジメなので、実は中高生向きではないのかも?
最初にプレイした時は昔週刊少年ジャンプで連載されていた『元気やで』(知ってる?)みたいなノリかな?なんて予想していたのですが……。

ヒロインの一人である沙紀ちゃんが、やはりヒロインの一人である財閥の娘麻奈ちゃんに虐められるっていうのが、前半の流れ。
ただ、沙紀ちゃんはクラスでパシリにされかけている描写があったんですよね、前半の割と早い場面で。そういう流れでイジメが進行するのかと思いきや、全く違うもう一人のヒロインに虐められるという。うーん、やっぱり一応ヒロインなんだから麻奈にはイジメを実行させて欲しくなかったな、と思いますねぇ。

イジメの内容も、命の危険を伴うようなものもあったりして、単純にイジメで片付けられない問題になっているところも。
沙紀ちゃんの優しさや、主人公の男気溢れる性格によって麻奈ちゃんは改心して、また3人が仲良くなっていくのですが、普通自分を殺そうとまでした相手を許せるのかなぁ……。なんて考えてしまうわけです。

個人的な意見なんですが、普通に「イジメ」という看板をとっぱらっちゃった方が良かったのかもしれませんね。ヘタに「イジメ撲滅ノベル」という看板を掲げているからイメージと違う部分が出てきてしまうわけで、普通の学園ノベルものにしてしまうと、そういう違和感みたいのは殆ど払拭されてしまいます。

それと、美味しい脇役が居たのに、それがあまり活かされていなかったのが少し残念です。
そう、亜子ちゃんです。彼女はパンツ見せ要員くらいにしか出てこなくてw もっともっと物語に介入させて、イジメの描写をナチュラルにしたりとか、虐められる側の救いの存在にしたりとか、色々応用が利いたと思うのです。中盤以降、全く姿を現さなくなってしまったのが非常に残念ですね。

で、イジメが一段落付いた後半からは、恋愛モードに入っていきます。
途中途中で、株の話が出たりして、株で苦労せずに儲けることは良いことなのか?みたいなそういうテーマも出てきます。

ちなみに、みなさんは株やってますか?
私はやっていません。というのは我が家の家訓があって、一つは賭け事を禁ずる条項があるからなんです。多分他家には無い変わった条項としては、他に「姫路城に入るべからず」なんてものもあります。先祖が姫路城で客死してるんですよ。
それ以来、我が家のものが姫路城に入ると、良くない事が頻発するようになって、それが家訓に取り入れられたと。結婚は出来そうにない私の代でそんな家訓も無くなってしまうのですがw
ま、これは蛇足ですな。


本題に戻りましょう。
というわけで、後半からは完全に恋愛モノの匂いがしてきます。
オーソドックスな恋愛シナリオという感じですが、結構読ませてくれます。沙紀ちゃんの方に比重が傾いてるかな?という気がしないでもないのですが、意外とセンスのある描写が出てくるような。もう少し磨きを掛けたら、もっともっと良くなるシナリオだったのではないでしょうか。

全体的には、ちょっと詰め込み過ぎかな、という気がしました。
もう少しコンパクトに、主題を明確にしていけばかなりの作品になった気がします。
ま、ボリュームがあってそれはそれで悪い事じゃないんですが、少し「惜しい」気がしますね。

とはいえ、イラストも標準以上だし、取っつきやすさみたいなものもあります。
割と今回は厳しく書いている気がしないでもないのですが、それでも十分に楽しめる作品だったのは確かです。或る意味でおなじみの美少女ゲームの世界なんですが、だからこそ気軽に楽しめる良さも持っています。
もし、中学生・高校生の方がいらっしゃいましたら、是非一度プレイする事をお勧めします。

そうそう、ステフのスレッドでは、ゲーム制作の同士を募集していたりしますので、興味のあるかたは制作サイドに回ってみても楽しいかもしれませんね。

詳細はこちらからどうぞ。

by s-kuzumi | 2007-10-13 06:39 | サウンドノベル | Comments(5)
Commented by JKC at 2007-10-13 08:23 x
初めまして。おじゃまします。
ノベル愛好家の人は、やっぱり検索を活用すると思います。
「タイトル名」+「レビュー」で、大抵ここを発見するでしょう。

・ダウンロードを迷う → 意見を聞きたい → 検索する → 辿り着く
・プレイして感動 → 感動を共感したい → 検索する → 辿り着く

そのサイトが毎日更新となれば、もうお気に入り確定ですね。
毎回チェックしているうちに、道玄斎さんを身近な人に感じ(一方的ですみません)、普通の雑記も興味深く読めてしまいます。
Commented by 夢幻ゲームショップ at 2007-10-13 12:19 x
本日に訪問させていただきました。
実はこちらが夢幻ゲームショップブログを移動しました。よろしければ是非遊びに来て下さい。 o(^0^)o   http://blog.livedoor.jp/mugen001/
…ちなみにこちらは色々なネットゲーム通貨取引のサービスを運営しています。
http://www.rmt-trade.com
これからどうぞよろしくお願いします(*′ `*)
Commented by s-kuzumi at 2007-10-13 22:41
>>JKCさん

はじめまして。そして、書き込みありがとう御座います。

検索ってそういう風に使うんですねぇ……。
私の場合、ノベルゲームを始めた時期と、抜群に良いレビューサイトを見つけたのが同時期だったのであまり、ゲームを探したり、評価を定めたりする際に検索を使わなかった記憶があります。

毎日、更新っていうわけにはなかなか行かなくなってきてる所もあるのですが、頑張って更新は続けていきます。
もし、レビューやそれ意外の記事でも何か、身近に感じて頂けるものがありましたら、それは何にも優る喜びです。

是非、これからもよろしくお願いします。
それでは、失礼致します。
Commented by JKC at 2007-10-14 10:21 x
もう次のがアップされている。すごい‥‥。
おはようございます。丁寧なご返事をいただき、嬉しくなりました。
紹介OKということでしたので、調子に乗って記事に取り上げてみました。

> 抜群に良いレビューサイト

NaGISA 様のサイトは、もちろん存じております。主要レビューサイト4本柱のうちの1つです。あの時は「homeless, the vagabond」で検索して発見した記憶があります。あっ、そういえば正式版が延期になりましたね。待ち遠しいです。

◆道玄斎さんにしてやられたレビュー
「死に至る病」「卑怯な温もり」どちらも掘り出し物ですねー。
スクリーンショットだけだと、とても手を出せなかったと思います。

◆道玄斎さんに紹介したいノベル
「私の黒猫」「homeless, the vagabond」
なぜか4本とも重い雰囲気の作品ばかりになってしまった‥‥。

駄文失礼しました。これからも頑張って下さい!
Commented by s-kuzumi at 2007-10-14 13:23
>>JKCさん

ご紹介ありがとうございました。後ほどお礼を兼ねて書き込みに伺わせて頂きます。

NaGISAさんのレビューはやはり凄いですよね。
私自身、相当に影響を受けていて、特に「ナルキッソス」のレビューなんかを見比べてみると、かなり似たような事を書いていたりして少しショックを受けたりする事も屡々です。

「死に至る病」は、元々私も知らなくて、紹介して頂いた作品ですね。
いや、本当に面白くプレイ出来たので私にとっても掘り出し物だったな、と。

作品の紹介有り難う御座いました。
「Homeless~」は正式版のリリースを待っている所なんですが、「私の黒猫」は初めて聞く名前です。是非プレイしたいと思います。
ご紹介、有り難う御座いました。
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