2007年 12月 02日

フリーサウンドノベルレビュー 『ななつのユメをみる』

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今日の副題 「繋がる思い。そして記憶」


※吟醸
ジャンル:記憶とか予知とか、人と人の繋がりとか(?)
プレイ時間:10~12時間くらい。
その他:選択肢があり、バッドエンドも。


道玄斎です、こんにちは。
本当ならば、昨日のうちに一本レビューを書きたかったのですが予想以上の大作でして、結局こんな時間になってしまいました。
というわけで、今回は、「みつやしき」さんの『ななつのユメをみる』です。
久々に大作をプレイした気がします。普通にプレイすれば10時間オーバーのプレイ時間なわけで、フリーのノベルゲームの中でもかなりのボリュームを持った作品だと思われます。
良かった点

・個性あるイラストが、作品の雰囲気にあっていて良かったと思う。

・ヒロインこよりと主人公トモヤの交流の描写が良かった。

・脇役達も積極的に物語に介入してきて、作品に厚みが生まれていたと思う。


気になった点

・後半あたりに、ちょっと直視するのが辛い場面が。

・些か伏線が回収出来ていないような所もあるような。

こんな感じです。
ストーリーはサイトの方から引用しておきましょう。
大石智也はかつて生まれ育った街に戻ってきた。

………垣根花市。
7年ぶりに帰った街は、いわゆる超能力者―――
PSI ( サイ )の集まる場所へと変貌を遂げていた。

そこで智也が出会う、不思議な力を持つ少女達。

(二人三脚は、好きですか)
テレパシーでそんな事を尋ねてきた女の子。

(乱暴されて、ころされるみたいだったけど)
自らの未来を、そう淡々と予知した少女。

7年前の震災で、過去は全て失った智也。
複雑な思いで臨むこの地で、
彼はどんな物語を紡いでいくのか。

「ななつのユメをみる」
現在進行形で公開予定のこのお話、
しばらくの間お付き合いいただければ幸いです。

元々は、連作という形で公開されていたようですね。
今回はパッケージ版でプレイいたしました。

とにかく、ボリュームのある物語でした。
話の焦点もぼやけていくことなく、綺麗に収束していったと思います。
多少、トーンがくらめな所があるのですが、それでもどことなく透明で綺麗な世界が描かれているような印象を、今感じています。

イラストが良かったですね。
個性があって作品の雰囲気にマッチしていたと思います。こういうイラストは結構好みです。
一枚絵も多めでした。随所随所で見ることが出来ますが、クリア後にオマケで閲覧室みたいなものがあったら良かったなと。

ストーリーは、なかなかとらえどころが無くて、うまく纏めていくことが難しいのですが、ヒロインこよりと、主人公トモヤの交流がメインとなる、という感じですかね。
一人でも生きていけるように、とトモヤはこよりをつれて、山でサバイバル生活を始める辺りが個人的には見所の一つかなと思いました。
水を探して、ゴミ捨て場から使えるモノを取ってきて、山の中で食べられるものを探して、竹を利用したシェルターを作ったり、ドラム缶でお風呂を焚いて一緒に入ったり。

この二人のサバイバル生活が物語の大きな分岐点です。あっ、いや選択肢の分岐とかそういう意味じゃなくて、ターニングポイントっていえばいいのかしら。まぁ、そんな感じです。
何もない状態から、何とか二人で最低限の「人間らしい」生活をするなかで、育まれていく愛情というか。ここで培われた二人の絆はその後のストーリーも大きく支配していきます。

一応、超能力が存在する世界観なんですが、大方の予想に反してどはでな戦闘シーンとかはありません。勿論、対超能力との戦闘シーンはあるのですが「ドラゴンボール」みたいな事にはならないのでご安心を。
戦闘場面では、「こよりと二人で戦う」というあの選択が良かったですねぇ。トモヤは普通に接近戦。こよりはトラップ(非常に原始的)を解除しながら相手を共に追い詰めていくという。
こよりとトモヤの二人の共同作業みたいなものが随所に見られますが、戦闘シーンでもそうした趣向が活かされていました。

こよりとトモヤのコンビだけじゃなくて、数多くの脇役が登場します。
皆、一定以上の存在感を持って物語に介入していくので、ストーリーに厚みが生まれていました。サイトの紹介ページを見ると、三人しか登場人物としてあがっていないのですが、かなり沢山の登場人物が出てきます。
しかもただ闇雲に登場しているわけじゃなくて、ちゃんとした必然性を伴った登場なので読んでいて登場人物の多さが負担になる事はありません。


さて、一方で気になった点ですが、後半ちょっと直視するに耐え難い場面があります。
ちょっと読んでいて辛いんですよねぇ……。物語の中だと分かっているのだけれども、どうしてもああいう場面にはつらさを感じてしまいます。
結構、物語の根幹に触れる部分ですので敢えてぼかした形でお伝えしました。

あとは、伏線が完全に回収されていないような気がしたり。
例えば、浅葱さんなんですが、彼女はなにやら密命を受けて、単独行動をしていると思しいのですが、結局何をやっていたのかが定かにならない。
或いは、ホームレスを狙った連続殺人犯は物語に直接的にどう絡んでくるのか、或いはサイ能力(超能力の事ね。サイキックから採ってるんでしょうね)を信仰する宗教団体との関わりなど、プレイ後に全体を思い返してみると、多少の消化不良感は残ります。
まぁ、主要なストーリーラインとそこまで密接に関わってはこないので、気にしてもしょうがないのかもしれませんが。

あとは、多少後半から難解になってくる、という所でしょうか。
こよりの予知の能力とは何か?という最重要な問題にまつわる解説が、やや難解な気がしました。


兎に角、凄いボリュームと、深いストーリーが印象的でした。
単純に「面白かった」ではなくて、更に深いレベルの作品になっていたと思います。何となく心の中に残り続けるものがある、という感じですね。
こよりの予知能力、トモヤの過去、受け継がれていく記憶……。様々な要素が絡み合いながら一つの深いストーリーが紡がれていました。
「END」と表示されるものがトゥルーエンドで、それ以外はバッドエンドという事みたいです。
ただ、トゥルーエンドも「ああ、感動した!」という単純なものではなく、今までの物語が走馬燈のように蘇ってきて、ちょっともの悲しいような、切ないような余韻を残したエンドで、私は個人的に凄い良かったと思います。

一応、七つにストーリーは分かれています。
一つ目のストーリーを読み終えると、スタート画面に戻り、そこで「はじめから」を選択し、二つ目のストーリーを選ぶ事で先に進めます。
ある条件を満たさないと先に進めないものもあったりするので、こまめにセーブをとると良いかもしれません。サイトの方でフォローも行われているので詰まったらそちらのほうに。
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by s-kuzumi | 2007-12-02 16:09 | サウンドノベル | Comments(0)


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